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34歳、体育館を何十周も走れるのは息子への愛でしかない

息子の療育がスタートした。
療育というのは、発達に遅れや心配がある子供が通う発達支援を目的とした施設である。

息子は2歳半になるが、まだ言葉を話さない。またコミュニケーションに少し難がある。そのため保育園を辞め、1年間療育に通園することにした。

我が家が通園する施設には、毎日運動の時間がある。昨日付き添った夫からは、1時間体育館を走り回ると聞いていた。運動が苦手な私は気が遠くなった。しかし、しばらくは付き添わねばいけない決まりなので腹を決めて行ってきた。

どれほど過酷な1時間になるのかと心配したが杞憂だった。とても愛に溢れた1時間だった。

先生がピアノや太鼓で場を盛り上げ、子供たちが保護者や先生と一緒にぐるぐると体育館を走る。音楽が止まったら、走るのも止める。(これはGO&STOPと呼ばれるもので、気持ちや体のコントロール力を養うプログラムである)

運動会の徒競走でよく流れる「天国と地獄」にはじまり「トンボのメガネ」「おんまはみんな」といった童謡などさまざまな曲が入れ替わり流れる。

曲が変わるたび、こどもたちの取るべき動きの型も変わる。全力で走ったり、手を広げてトンボになりきってみたり、ハイハイで馬のように走ったり。

曲に合わせて動きを変えるというのも、こどもにとってはなかなか難しい。大人も変化についていくのにいっぱいいっぱい。正直運動不足の体にはキツい。

でも全力の笑顔で走り続ける息子の姿が、あまりにも眩しくて愛おしくて。

運動は好きな方だと思っていたけど、これほどまで持久力があるとは思わなかった。

2歳で最年少クラスなのに、年上のこどもたちに臆することなく、人の隙間をすり抜けてタッタタッタと走り抜けていく。

走るのに一生懸命で、まだ少し大きい運動着のズボンが下に下にとずり落ちる。止まったときに息が上がって顔を真っ赤にして咳き込む。でも音楽がかかればまた笑顔で走り出す。

こんな姿も、家にいただけでは、保育園に預けていただけでは見ることができなかった。

我が家だけでなく、多くの親御さんが我が子と一緒に体育館を走り回っている。

運動が苦手な子、大きな音が苦手な子、いろんな問題を抱えた家族が、ここに集まってみんなで走っている。しかも笑って走ってる。

すっごい愛だなって思った。

我が家もそうだけど、みんな仕事があるはずだ。夫婦で参加している家族もいる。

都合をつけるのは並大抵のことじゃないはずなのに、こどものために折り合いをつけてここにきてるんだと思ったら、すごく心強い気持ちになった。ここには子供を愛してる親しかいないんだなって。

はじまる前は不安が大きかったし、今もその気持ちが消えたわけではないけど、1年間ここで家族で頑張りたいなって思った。

一年後、ここに通うすべてのこどもたちな、なにかしら前向きな変化が起これば良いなと思う。

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