現代の金融システム論

現代の金融システムは、複雑怪奇だが、要するにこういう仕組みになっている。

1 基本的に、国家はお金を刷らない。刷ることもできるが、原則として国家はお金を刷らない。
2 民間銀行が、与信行動に伴い、無からお金を借金として発行する。
3 2は、利子と共に返済されることを要し、返済されると消滅する
4 基本的に経済はこの繰り返しなので、民間部門は常に借金をし続けてお金を生み出す必要がある。
5 現代では、実体経済の天井に当たっている(本当にそうかは議論がああるが)ので、金融機関がファイナンスでお金を生み出している。
6 しかしながら、金融機関の生み出したお金は投資にしか行かないので、結局最終的には各国政府が国債を発行して資金を市場に供給している
7 6は基本的には返済を予定しておらず、利子だけ払って借り換え続ける
8 7の制約は、国家の財政運営への信任、つまり国家が借り換えを続けられるか、という点にかかる
9 しかしながら、日本や米国のように、自国通貨で国債を発行可能な国家は、自国通貨を刷って国債を返済することが可能なので、国にお金が足りない、という事態は論理的にあり得ない
10 そもそも、国債でなくても、自国通貨を必要なだけ刷って、配ればそれでたりる
11 しかしながら、通貨を印刷できることと、それに対応する供給力があるかは別問題なので、供給力を上回る通貨が生み出されれば、インフレになる
12 従って、結局のところ、自国通貨を持つ国家において、最終的な財政制約は、どれだけ財やサービスを生み出せるか、という問題に帰着する
13 しかしながら、この点についてはさらに検討が必要である
14 まず、自国で供給力があると言っても、それが一部の人の利益になるような形になっている場合、結果としてお金を流し込んでもそこだけが潤うので、お金の流れを変える必要がある
15 また、国民に無制限の財政力を前提にした要求を肯定すると、過剰消費やモラルの低下が起こる可能性がある
16 我が国の場合、これらの事情を踏まえつつ、基本的には企業の成長により税収を増やし、それによって財政措置をとる、ということで対応している
17 しかしながら、増大する社会保障費をこれらで賄うのは困難であり、かつこれをやりすぎると過剰労働や賃金水準の低下を招く
18 かといって、単なるばらまきでは、いつまで経っても過剰消費サイクルが継続し、おそらく持続可能性が担保できない
19 結果として、日本では一部の人たちだけが豊かになり、大多数が崩壊しつつ奈落の底へと下がる、という最悪の状況が生まれている。

以上は、ファクトであって、議論の前提にすべきことである。

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