Ⅲ.習近平新時代中国特色社会主義思想・学生読本・初中  p.28【3-1-2】②

2-3:民主是社会主义现代化国家政治建设的要求,人民民主是社会主义的生命,是创造人民美好幸福生活的政治保障。我们要走中国特色社会主义政治发展道路,发展社会主义民主政治,体现人民意志、保障人民权益、激发人民创造活力,用制度体系保证人民当家作主。

意訳:「民主」(人民ファースト)とは、「社会主義の現代化」をした国家の政治建設に求められるものであり、人民の「民主」(協商民主主義)は社会主義の生命線で、人民の「より良い幸福な生活」を作り出すための政治的保障です。私達は「中国的特色のある社会主義」政治の発展という道を歩み、社会主義的な民主政治を発展させ、人民の意志を体現し、人民の権益を保障し、人民の創造的な活力を奮い起こし、体系的制度を用いて「人民が〔中国という〕一家の家長となる」(=人民が主導権を握る)という理念を保証しなければなりません。

①民主:「五位一体」の一つであり、24個の「社会主義核心価値観」の一つ。注意すべきは中国の「民主」とはかつて「民本」(民を以て主と為す)と呼ばれていた概念であり、日本語の「民主」(民 以て主と為る)とはニュアンスが違う。意訳すれば「人民ファースト」。「レディファースト」の主体があくまで男性で、女性が客体にとどまることに留意せられたし。
②社会主义现代化(社会主義現代化):現代化された社会主義。現代中国の社会主義は、20世紀にソ連や東欧で盛大に失敗した社会主義とは違うということ。
③美好幸福生活:中国共産党は段階的に中国社会を豊かにするという計画を立てており、まず「温飽問題」(飢えたり凍えなくてよい状態)を解決し、次に「小康社会」(生活に少しゆとりのある社会)、そして「美好生活」(より良い生活)、最後に「現代化強国」(世界トップクラスの生活)と発展する。中国建国100年を迎えた2019年、習近平は「小康社会」は達成されたと国内外に宣言した。今は「美好生活」の実現に着手している。
④中国特色社会主义(中国特色社会主義):鄧小平が「改革開放」を掲げ、それまでの原理的な計画経済から市場主義へと路線を換えた際、“社会主義を諦めたわけではなくて、これからは「中国的な特色のある社会主義」を目指すのだ”と説明された。というのも、どこの社会主義国家であれ、共産党は「社会主義」を実現するための緊急措置という名分で一党独裁を布いているので、もし「社会主義を止めます」と言うことになれば、独裁権力を手放さなければならなくため、こういう言い方をしたものと思われる。
⑤激发(激発):奮い起こす
⑥人民当家作主:「人民を家の主人(あるじ)にする」。中国の政治理念で「人民ファースト」を謳ったもの。
 2014年9月5日に習近平は「慶祝全国人民代表大会成立六十周年大会」の講話で述べた「中国这样一个有五千多年文明史,几亿人口的国家建立起人民当家作主的新型政治制度,在中国政治发展史乃至世界政治发展史上都是具有划时代意义的」と述べた。

图版:完善基层民主制度,发展基层民主,把党的领导贯穿基层群众自制机制建设全过程、各方面,采取措施保障群众有效行使基本权利。图为福建省某村村民通过智慧云平台查看村务公开情况。

意訳:草の根的な「民主」制度を完全なものにし、草の根的な「民主」を発展させ、中国共産党のリーダーシップを草の根的な「大衆自治制度」の機構を築き上げる全過程・各方面に貫かせ、大衆による基本的権利の有効な行使を保障する措置をとります。図は、福建省のある村の村民がデジタルプラットフォームを通じて、村の事務方が公開している情報をチェックしているところです。

①基层民主(基層民主):人民レベルで実施される「民主」主義。何度も述べているように、中国の「民主」は「人民ファースト」であり、主体は政府であり、人民は客体にとどまる。ここではその「人民」を主体に据えようという試みについて述べているのだが、結局のところ、小学校における「生徒の自主性」程度の意味でしか無い(今のところは)。
②智慧云平台(智慧雲平台)
:デジタルプラットフォーム。「平台」はプラットフォーム、「雲」はクラウド、「智慧」は(デジタル)スマート。IT技術やデータなどを用いてシステムやサービスを提供している場。例えば地方自治体のサイトで、データを閲覧できたり、諸々の行政手続きを申請できたりするもの。
群众自制(群衆自制):「群衆自治制度」の略。第17回全人代で打ち出された居民(地域住民)による自治制度。日本でいう町内会規模の小さな自治組織だが、その分小回りが効くというか、相互監視の眼が行き届くので、ゼロコロナ政策ではPCR検査の全頭実施や地域封鎖などの実行部隊として大いに活躍し、注目を集めた。
 なお「自治」と言っても、あくまで「中国共産党の下部組織の指導を仰ぐ」という前提条件付きであり、政府の居を汲んで自ら積極的に動くための組織である。学校教員が「うちは、子どもたちの自主性に任せていますので」というときの「自主性」を想像すればいいと思う。教員の意に沿わない自主性は「自分勝手」と断罪されるように(以下略)。戦前の日本の町内会を模した制度とも言われる。
参照:〈李学举部长在《求是》撰文谈我国基层群众自治制度


語録:在中国社会主义制度下,有事好商量,众人的事情有众人商量,找到全社会意愿和要求的最大公约数,是人民民主的真谛。(习近平)

意訳:中国的な社会主義制度の下では、何かあればよく相談し、民衆のことは民衆の相談により、社会全体の願いと要求の最大公約数を見つけ出す。これこそが人民「民主」の絶対不変の真理(真諦)である。

典拠:2014年9月21日、「慶祝中国人民政治協商会議成立65周年大会」で習近平が述べた言葉。
参考:〈习近平的小康故事丨“有事好商量,众人的事情由众人商量”〉、《環球網》

補説:中国は自国の民主制度を「協商民主」と呼ぶ。「問題があればみんなで話し合う」と言えば聞こえはいいが、話し合いに参加している者たちに議決権はなく、執行権もない。ただ代表者が話し合いの結果を取りまとめて地元の中国共産党に陳情することが許されていて、陳情内容が正当であれば採用してもらえるし、不当と判断されれば却下される……という仕組みである。
 陳情によって、地方役人の首がとぶということもあり、日本などの4年に一度の選挙を通じてしか政治家を交代させられない一般的な民主制度に比べて、遥かに柔軟で即応性に優れていると自賛する。
 何度も繰り返してきたが、中国における「人民と政府」の関係は、日本における「生徒と学校」の関係に近い。学校が「私達は生徒たちの声に耳を傾けています」といったところで、それは配慮するという程度の意味であり、じゃあ生徒にカリキュラムやクラス分けや人事を決める権限が制度として保証しているのかといえば、そんなことは決してない。中国の「民主」とは畢竟そうしたものである。

2-4:文明是社会进步的重要标志,是社会主义现代化国家文化建设的要求,是实现中华民族伟大复兴的重要支撑。文化是一个国家、一个民族的灵魂。我们要坚定文化自信,坚持以社会主义核心价值观引领文化建设,促进满足人民文化需求和增强人民精神力量相统一,提高社会文明程度,建设社会主义文化强国。

意訳:「文明」(文化)とは社会進歩の重要な道標であり、「社会主義の現代化」をした国家が文化を築きあげるうえで要求するものであり、「中華民族の偉大なる復興」を実現する重要な支柱です。文化はある国家、ある民族の魂です。私たちは文化に対する自信をしっかりと固め、「社会主義の中核となる価値観」によって導かれる文化の建設を堅持し、人民の文化的ニーズを満足させ、人民の精神的エネルギーを強めて一つにし、社会文明のレベルを高め、社会主義的な文化強国を建設することを促進しなければなりません。

①文明:日本語では「文明」(Civilazation)ではなく、文化(Culture)に相当する。明治初期の「ザンギリ頭を叩いてみれば、文明開化の音がする」の文明。文化そのものというより、一般大衆のメインカルチャーに対する理解度や日常的な親しみ具合といったことを指す。また公衆マナーや民度の高さをも含める。中国の国際空港の出国ゲートには海外旅行へ出かける中国人向けに「海外中国公民文明社交指南」という看板が設置されていた。
 参考:「海外中国公民文明社交指南
②中华民族伟大复兴(中華民族偉大復興):中国共産党の歴史観によれば、中華民族は人類史の大部分において先進国であり、超大国であったが、19世紀のアヘン戦争をきっかけに一気に後進国へと転落し、民族としての誇りや領土(香港・マカオ・台湾など)を失うにいたった。18世紀以前の国際的地位を取り戻し、世界に燦然たる中華民族を復興させることが「中華民族偉大復興」であり、中国人が共有すべき「チャイナドリーム」(中国夢)だとされる。
③支撑:サポート、支え
④社会主义核心价值观(社会主義核心価値観):習近平が、2012年11月「第十八回全人代」で国家主席となった後、それまでのひたすら物質的豊かさを追求する「改革開放」に代わる社会理念として打ち出した24個の二字熟語。
  国家が目標とすべき価値観:富強・民主・文明・和諧
  社会で大事にすべき価値観:自由・平等・公正・法治
  中国人民が守るべき価値観:愛国・敬業・誠信・友善
中国では公共空間のあらゆる場所にこれら24個の概念を記した啓発ポスターが掲示されている。

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