Ⅲ.習近平新時代中国特色社会主義思想・学生読本・初中 p.31-32【3-2-0】

第三讲 “五位一体”和“四个全面”

第三講「五位一体」と「四つの全面」

二.协调推进“四个全面”战略布局

二.「四つの全面」という戦略的布陣を調和的に推進する

0-1:我国先秦著作《吕氏春秋》中有典故讲到,假使让最强壮的大力士拽牛尾,即使把力气用尽,把牛尾拽断,牛也不会跟着他走。而如果叫一个小孩牵着牛鼻环,牛就会顺从地跟着他走。由此,后世产生了“牵牛要牵牛鼻子”的说法。

意訳:我が国の先秦時代の著作である『呂氏春秋』のなかには、もし最強の力持ちに牛のしっぽを引っ張らせたら、たとえ牛の尻尾を引きちぎるほど全力を尽くしたところで、牛は彼と一緒に行こうとはしないだろう。しかし、もし一人の小さな子供が牛の鼻輪を引けば、牛は素直にその子について行くだろう。これにちなんで、後世には「牛を牽いていくなら、牛の鼻を牽かなければならない」という言い方ができました。

①先秦:秦の始皇帝による天下統一(前二二一年)より前の時代。多くの場合、「春秋戦国時代」(前七七〇~前二二一)を指す。
②《吕氏春秋》(呂氏春秋):『漢書・芸文志』で『淮南子』とともに「雑家」に分類されている。一説には始皇帝の実父だったとも言われる秦国宰相の呂不韋が、秦王政(後の始皇帝)八年に食客(私的に抱えていた客分)に命じて編纂させた書物で、呂不韋が「古今東西の事象を記した」と豪語しただけのことはあり、諸子文献としては最大の文字数を誇る。呂不韋は『呂氏春秋』を市中で一般公開し、「一字でも訂正できたら千金を与える」と誇示したという(「値千金」の語源)。
③牵牛要牵牛鼻子(牽牛要牽牛鼻子):中国のことわざで、問題を解決するにはやみくもに頑張ればいいというものではなく、要点を抑えなければならないという意味。《呂氏春秋・重己》「使烏獲疾引牛尾,尾絕力勯,而牛不可行,逆也。使五尺豎子引其棬,而牛恣所以之,順也。」

0-2:2015年初,在十八届中央政治局第二十次集体学习时,习近平总书记指出,要协调推进全面建成小康社会、全面深化改革、全面依法治国、全面从严治党,是当前党和国家事业发展中必须解决好的主要矛盾。我们既要注重总体规划,又要注重牵住“牛鼻子”。没有主次,不加区别,眉毛胡子一把抓,是做不好工作的。

意訳:2015年初頭、習近平総書記は第18回全人代の中央委員会政治局の第20回グループ学習で、「ややゆとりのある社会」(小康社会)の全面的建設、改革の全面的深化(深化改革)、全面的な法に依る国家統治(依法治国)、全面的な党内の綱紀粛正(从严治党)を歩調を合わせつつ進めなければならなず、これは現在中国共産党と国家事業が発展していく中で必ずうまく解決しなければならない主たる矛盾であると指摘しました。私たちはすでに総体的な計画に注力すべきですが、また「牛の鼻」を牽くこと〔、つまり無理のない自然なやり方を選ぶこと〕にも力を注がなければなりません。優先順位をつけず、区別もせず、眉毛とヒゲを一緒に抜くようでは、仕事はうまくいきません。

①中央政治局:中国共産党を指導し、政策を討議・決定する機関。中国の最高権力機関は全国人民代表大会(日本の国会に相当)だが、5年に1度しか開かれない。それで全人代が選出した中央委員会(日本の内閣に相当)が国政を担うが、これも1年に1回しか開かれない。それで普段は中央委員会全体会議が選出した中央政治局が国政を担っているが、実は中央政治局も毎月1回しか開かれない。結局、日常的な政治判断は中央政治局の上位機関である政治局常務委員会が担っており、こちらは毎週1回開催されている。
②全面小康社会:「少しゆとりのある社会」を中国全土で実現すること、中国の全ての人が「少しゆとりのある生活」を手にすること。鄧小平が1979年に打ち出したスローガンで、中国共産党は「温飽」(衣食に事欠かない生活、脱貧困)→「小康」(少しゆとりがある生活、総中流化)→「富裕」(豊かな生活、先進国化)という青地図を描いている。なお習近平は2021年の中国共産党設立100周年記念大会で「全面的な小康社会を完成した」と宣言し、次の「全面的な社会主義現代化国家の建設」へとフェーズを移行することを告げた。
③全面深化改革:「あらゆる分野で、改革をさらに深めること」。中国共産党中央全面深化改革委員会があり、習近平が主任を務めている。
④依法治国:「法律に依って国を治めること」。「法の下の平等」の実現。
 中国は徳治主義というか人治主義というか、権力者が妥当と判断しさえすれば相当な融通を利かせてくれる(大岡越前のお裁きを想像するとよい)。よく言えば「柔軟な対応」だが、悪く言えば「コネがモノをいう」社会であるので、これをどうにかしようという改革。ただ個人的には、中国共産党は変わらず超法規的な立場を維持するだろうし、中国人民が「習近平も法は守れ」という発想を有するに至ることはないだろうと思う。今も昔も「法は尊きに加えず」「刑は大夫に上らず」である。
⑤从严治党(従厳治党):党内の引き締め、綱紀粛正。習近平は中央規律委員会で述べた「虎も蝿もまとめて叩く」(打虎拍蝇)をキャッチコピーとして、汚職撲滅キャンペーンを推進した。

0-3:2020年10月,党的十九届五中全会根据历史条件的变化,对“四个全面”进行了新表述。

意訳:2020年10月、党の第十九回第五次全人代中央委員会全体会議は、歴史的状況の変化にもとづいて、「四つの全面」に対して新たな表現を推進しました。

①新表述:「全面建成小康社会」が「全面建设社会主义现代化国家」へと変更された。この翌年、習近平は「全面的な小康社会の建設」が完成したことを高らかに宣言し、新たな目標として「社会主義にもとづく現代化された国家」(社会主义现代化国家)を掲げている。この「社会主義」とは、つまり「共同富裕」(豊かさのシェア、冨の均等再分配、格差解消)を目指すということである。


図版
全面建成小康社会、全面深化改革、全面依法治国、全面从严治党。
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全面建设社会主义现代化国家、全面深化改革、全面依法治国、全面从严治党

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