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ディトレーニングを考える。

こんにちは。Dice Trainingです。
岩手県でトレーニング指導を生業にしてます。
アメリカ留学中にNSCA CSCSを取得。
留学中のインターンシップも含めると、
トレーニング指導に携わって20年以上になります。

お盆休みも終わり、
みなさん、平常運行に戻ってますか?
トレーニングも再開されてますか?

普段、定期的なトレーニングをしている人が、
今回のお盆休みのように、
一定期間、トレーニングから離れることを、
「ディトレーニング」

と言います。

トレーニングから離れると、
どんな変化が起こるのか?
そして、どのようにトレーニング内容を
戻していけばいいのか。

人それぞれと思いますが、夏休み期間、
いつも通りのトレーニングが
できていなかった人たちはぜひ読んでください。

そもそも、”ディトレーニング”とは?

ディトレーニングは簡単にいうと、

”トレーニングの縮小/停止のために起こる、
今までに獲得した
・解剖学的
・生理的
・パフォーマンス
の適応の部分的(または全体的)な消失”

です。

トレーニングには可逆性の原則があります。
当然ですが、トレーニングから離れると、
今までのトレーニングによって獲得した
・持久力
・筋肉量
・筋力
・瞬発力
・柔軟性
などの身体能力が低下していきます。

具体的な例として、

”8週間のレジスタンストレーニングによって得られた筋量は、
4週間のディトレーニングでトレーニング開始前の量に戻る”
”4週間のディトレーニングでは3~14%の筋力の減少が起こる”
”最大酸素摂取量はトレーニングの休止により低下し、
その低下率は最大酸素摂取量の値がより大きい人ほど大きくなる”
”筋のグリコーゲンの貯蔵もトレーニング休止から早いと1週間目から減少。
これによって解糖系の持久力にも影響が出る”

と、さまざまな能力の低下が報告されています。

これらはNSCAジャパンホームページより抜粋です。

しかし、ほとんどの研究は
4週間以上のトレーニング休止のケース。
今回のお盆休みのように、
1週間程度の短期間の場合はどうなんでしょう?

持久力は1週間程度でも低下する。

研究報告を探してみたのですが、
短期間のディトレーニングが
筋肉量や筋力に及ぼすレポートは
見つけられませんでした。
(ご存知の方がいれば教えてください。)

逆にいうと、1週間程度のディトレーニングだと、
筋力が低下するなどの有意な差が現れていない
のかもしれません。

一方で、持久系の能力は低下するようです。
スペイン・バスク大学の
Inigo Mujika准教授の発表によると、

ディトレーニング開始1週間程度から、
・酸化系エネルギー代謝に関わる酵素類の減少
・乳酸除去率などが低下
・筋グリコーゲンの低下

がみられるそうです。

言い換えると、
・脂質のエネルギー代謝の効率が悪くなる。
・糖質のエネルギー代謝が低下する。

ということです。

これららは、一定時間以上の身体活動に影響します。
つまり、”バテるのが早くなってしまう”ということ。

持久系能力は、日々の積み重ねがより重要と言えます。

実際の現場での主観とも合致する。

今回のことは、
・自分自身のトレーニング
・高校生を指導している現場
で感じることと合致します。

お盆休みや年末年始など、
また、学生の場合はテスト期間などで、
1週間〜10日くらいトレーニングを休止する、
または、トレーニング量が通常時よりも、
かなり減少する期間があります。

休み明けによくみられるのが、
・今まで組んでいたセットが、最後まで完遂できない。
・練習後半の運動量が一気に低下する。

という点です。

体型の変化はほぼなし。
一発の体力測定(例:立ち幅跳び)での低下もみられない。

筋肉量のダウンとか筋力低下というよりは、
単純に体力が続かない。
もしくは、いつもよりも使用重量が重く感じる。
(これは神経系の適応ですよね。)

この辺が、実際に現場で指導していう時、
また、自分自身のトレー二ング中に感じることです。

ディトレーニングからのトレーニング再開ガイドライン。

1週間程度のトレーニング休止なら、
ほぼ普通にトレーニング再開でもいいと思います。
再開直後、ちょっと体力的にしんどいなと感じる程度で、
2週目以降に結構、ウェイトトレーニングの
パフォーマンスは戻ってくる。
もし、対応するのであれば、
いつもの使用負荷を若干軽くする程度かなと。

ただし、怪我などで4週間以上、
ディトレーニング期間がある場合、
もっと計画的なトレーニング量の調整
が必要です。

基本になるのが、
「50/30/20/10ルール」

復帰1週目 ⇨ 休止前の50%にトレーニング量・強度
復帰2週目 ⇨ 休止前の70%にトレーニング量・強度
復帰3週目 ⇨ 休止前の80%にトレーニング量・強度
復帰4週目 ⇨ 休止前の90%にトレーニング量・強度
復帰5週目 ⇨ 休止前の100%にトレーニング量・強度

と1ヶ月かけて徐々にトレーニング量と強度を上げていきます。
無理をせず、安全に徐々に身体活動を戻していきます。

また、↑を参照してください。詳細が確認できます。

まとめ。

トレーニング頻度が多い方が、
何らかの理由でトレーニングを休止する場合、
身体能力の低下はどうしても起こります。

お盆休みのような短期間であれば、
筋肉量の減少や筋力の低下は限定的。
持久能力の低下がメインです。

まずは、いつも通りのトレーニング習慣に戻していきましょう。
これが一番重要です。
再開すれば、体力面も戻ってくるので、
予定しているセットをこなしていけるようになります。

ひょっとしたら、筋ー神経系の適応で、
ちょっと重量とかがしんどく感じるかもしれません。
その時は、再開1週目を少し軽めに設定。
翌週以降に重くしていく。
こういう対応もアリです。

怪我などで、1ヶ月以上の間、
トレーニング休止になった場合は計画的に。
基本は、「50/30/20/10ルール」。
あとは、自分の体調と相談しながら
焦らず、徐々に負荷を強くしていきましょう。
継続していけば、絶対に元に戻ります。

トレーニングは可逆性。
やはり継続することが重要
です。

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