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日本のフィットネス人口はなぜ低い??

こんにちは。Dice Trainingです。
岩手県でトレーニング指導を生業にしてます。
アメリカ留学中にNSCA CSCSを取得。
留学中のインターンシップも含めると、
トレーニング指導に携わって20年以上になります。

あるYoutuberさんが
「日本のフィットネス人口の低さ」
「日本のフォットネス施設の少なさ」
を指摘していました。

確かに一理ある。
僕が都内のフィットネスクラブに
勤務していた15年くらい前から、
「日本のトレーニングジムの少なさ」は、
よく話題に登っていたこと。

でも、施設が増えれば
フィットネス人口は増えるんでしょうか?
ちょっと考えていきたいと思います。

日本と欧米各国のフィットネス参加率の差はおよそ5倍。

米国:ボストンに本拠地があるIHRSAという団体

が、毎年フィットネス産業に関するレポートをあげています。
それによると、2021年の日本のフィットネス施設会員数は以下の通り。

日本のフィットネス人口(2021年)
クラブ数: 6,757軒
会員数 :433万人
参加率 :3.45%

これに対し、欧米の先進国の
フィットネス参加率は15〜20%。
統計だけだと確かに低い。。。
この傾向は、ここ10年くらい変わってません。

過去2年間は感染症の影響もありました。
会員数も、一気に100万人近く減少。。。
でも、小規模型ジムやヨガスタジオなど、
トレーニング施設は増加。
今は会員数も徐々に戻ってはきてはいる。

それでも日本のクラブ数は、
単純に人口を考えると、
17,000〜18,000人に対して1クラブ。
といった感じです。
ちなみにアメリカの場合、
7,000〜8,000人に対して1クラブ。
といった感じになります。

確かに人口比でフィットネス施設数が
少ないとは言えるのかもしれません。。。

施設が増えたら、フィットネス会員数が増えるのか??

実際に施設数が増えれば、
フィットネス人口が増えるでしょうか。
ここで、全国2万人を対象とした
「令和3 年度スポーツの実施状況等に関する世論調査」
の結果を見ていきたいと思います。

Q1 健康だと思うか?
80.7%が健康、どちらかといえば健康と回答

Q2 体力に自信があるか?
45%が自信がある、どちらかといえば自信があると回答

Q3 普段、運動不足を感じるか?
77.9%が大いに感じる、ある程度、感じると回答

これを見る限り、
多くの人は健康面にあまり不安はない。
でも、体力はちょっと落ちてきている。
そして、多くの人は運動不足だなと実感している。
だったら、どんな運動を日々行っているのでしょう?

Q4 この1年間に行った運動・スポーツは?
ウォーキングが64.1%
トレーニングが14.4%
さまざまなスポーツ競技が数%
1年間、何もしなかった人が17.3%

多くの方が、簡単に始められる
ウォーキングなどを実施。
歩くことは健康維持につながることは、
先行研究でも明示されていること。
座りっぱなしより、
断然、いいことです!

Q5 運動の頻度
週5日:15.7%
週3日:14.7%
週2日:12.3%
週1日:13.7%
運動頻度週1日以上の人:56.5%

汗をかく運動の頻度
週5日:10.1%
週3日:11.8%
週2日:11.9%
週1日:15.7%

これを見ると、
約半数の方は定期的に
”何らかの身体活動”
していることになります。
でも、その内の約半数は
強度の弱い運動のようです。。。

一方で、”定期的に運動していない人たち”
の理由が以下になります。↓

Q6 週1日以上、運動できない最も大きな理由
仕事や家事が忙しい 23.1%
面倒くさい     20.5%
運動が嫌い     7.4%
病気・怪我     5.2%
年をとった     4.8%
感染症対策     4.2%
お金に余裕ない   3.4%
施設や場所がない  1.9%

運動をする施設や場所といった”ハード面”や、
実施するための”費用面”が、
”運動することの妨げになってる”
というわけではなさそう。

・運動する時間が取れない
・単純に動く気になれない。
という理由が約半数を占めます。
となると、”リーズナブルでアクセスが良い”
トレーニング施設が増えていったとして、
本当に、フィットネス参加率は上がるのでしょうか??

・場所はあるけど、忙しくて行けない。
・場所はあるけど、そもそもめんどくさい。
なら、フィットネス人口はふえないですよね。。。
もっと、根本的なことから変えないと、
日本のフィットネス人口は増えないような気がします。。。

Q7 運動を実施した最も大きな理由
健康のため   35.4%
気分転換    13.2%
ダイエット目的 12.1%
体力増進    10.0%
運動不足解消  8.8%
筋力増進    5.7%

ということで、実施する理由。
やはり健康重視は納得。
気分転換、運動不足解消も、
ポジティブな理由でいいなと思います。
でも、Q1から約8割は健康面に不安がない。。。
緊急性がないから、そこまで
「運動しよう!」
には、ならない人もいるのかな。。。

Q8 運動の実施場所
公道   48.3%
自宅   29.9%
自然環境 17.6%
公共施設 14.0%
民間施設 11.9%

大多数がウォーキングをしているので、
当然、実施場所は道路です。。。
感染症のこともあり、
自宅で運動をする人も増えましたよね。

一方で、民間施設、
いわゆる”フィットネスジム”
を使用している人は、11.9%。
ウェイトトレーニングはまだまだですね。。。

Q9 運動への参加形態
個人で自由に    76.8%
家族と自由に    20.6%
友人と自由に    10.0%
会員制スポーツクラブ 8.3%

時間の自由がきいて、
気楽に始められる。
だから、1人でできで、場所を選ばない
ウォーキングが多いのかな。。。
施設だと、ピークタイムだと、
混み合って、やりたい種目が
できない時もありますからね。。。
24時間ジムも増えてきているので、
時間を気にせずに通える施設はあるけど、
結局、「忙しい」からいけない。
もしくは、行こうと思っても仕事で疲れて
それどころじゃないって感じの人が多いのかな。。。

Q10 直近1年間の運動継続
6ヶ月以上 45.9%
6ヶ月以内 6.6%
不定期だが実施 47.6%

Q11 非実施の人の意向
運動する意向あり 22.6%
運動する意向なし 77.4%

運動習慣がある人は、
頻度は別として、
継続している傾向があるのかなと。
何事も習慣化が大切ですね。

一方、運動していない人は、
とことん運動する気がない。。。
この辺の人がフィットネスに参加しないと、
日本のフィットネス人口は増えないです。。。

フィットネス参加率が増えない理由

ここまで、スポーツ庁の
「スポーツの実施状況等に関する世論調査」
を見る限り、
・運動自体をしていないわけではない。
・スポーツ施設の利用率が少ないだけ。
という結論になるのかなと思います。
健康促進という点では、
別に施設を利用することがポイントではなく、
身体活動の時間が確保されるかどうかが重要。

でも、フィットネスに携わるものとして、
筋肉量の維持・向上も意識して欲しいな。。。
=ウェイトトレーニングもして欲しいな。。。
と思ったりもします。

ジム利用率が増えない大きな理由は、
以下の3つになるのかなと個人的には思います。

① 多忙なライフスタイル

スポーツ庁のレポートにある通り、
運動しない最も大きな理由は、
「仕事や家族のことで忙しい」から。
トレーニングをする時間が取れないという理由です。

どんな人でも、1日は24時間。
時間は完全に平等です。
運動に限らず、”自分の時間”を確保するのが
難しい人も一定数いるのは間違いない事実ではないでしょうか。

「時間は作るものだ!!」
と言う方もいると思います。
とはいえ、現実問題、なかなか調整は難しい。。。
業務の効率化、家事の分担など、
自分1人でコントロールできない部分もあります。
”働き方改革”なんて言われてますが、
一部の大企業を除いて、
実情、何も特に変わってないですよね。。。。

もちろん、自分の時間を作る工夫はしてほしい。
実際、時間を作って運動している人がいることも事実。
ライフバランスというか、
時間の割り振りは、
優先順位をどうつけるかなのかなと感じます。

② 体型へのイメージ

海外だと、自分の体型を維持していないと、
「だらしがない人間」
「自分をコントロールできない人間」
と評価される傾向があります。
これが仕事面の評価につながったりも。。。
(今は差別につながるという観点で、
 そこまで厳しいことはないとは思いますが。。。)
だからこそ、自分の体型を維持しようと努力する。

また、男女差別は無くす方向で動いてますが、
なんだかんだで男性性、女性性は求められるかなと。。。
留学中の僕の印象ですが、
アメリカでも西海岸の人は、割とマッチョを好む傾向。
東海岸はそうでもないかな。。。
あと、特にポリネシアン系の人たちは、
「男性はごつくなくちゃいけない。」
みたいな傾向が強い印象です。
(僕が留学してたのも、結構前ですからね。
 時代の流れとともに、変わってきているとは思います。)

でも、日本だとゴリゴリのマッチョは敬遠されますよね。
”スリムな体型”、もしくは”細マッチョ”が好まれる。
とはいえ、日本の細マッチョの基準って、
海外で行けば、ただ細いだけなんですよね。。。

事実、2018年の国民健康・栄養調査によると、
日本人の約74%に人がBMI25未満。
つまり標準体型〜痩せ型に分類されます。
男女問わず、日本人は体型が細い人種です。
そして、”単純に細い”ことが
いいことだと思ってる人がまだまだ多い国だと思います。
・筋肉をつけて、代謝をあげる。
・筋肉をつけて、ボディラインを作る。
このほうが健康的でスタイルも良くなります。

③ 健康保険制度

 日本では世界でも珍しい国民皆保険制度があります。
月々、保険料を納めていますが、
病院で診察や治療を受けても、
個人負担は通常3割です。
負担が少ないので、身体に不調があれば、
すぐに病院に行くことができます。

これはこれで、とても素晴らしいことだとは思いますが、
ある意味、”予防”に力を入れないで
”治療に頼る”って感じになります。

多くの諸外国では公的保険制度がありません。
医療機関を受診しようとすると、個人負担は10割。
場合によっては、とても高額な費用を支払わないといけません。
じゃあ医療保険に入ろう!っと思っても、
そこは国ではなく民間の保険。
保険料だけが月額10万円以上かかってしまうことも。。。

なので、海外の人は
「病院にかからないようにしよう」
ということで、予防医学の点で、
運動が生活の一部になっていると思います。

日本ももっと「予防医学」に予算を使って、
医療費削減の方がいいと思うんだけどな。。。

まとめ

スポーツ庁の国勢調査を見る限り、
”単純に施設数を増やすこと”

”フィットネス参加率を上げること”
には繋がらないと思います。

もっと別の角度で啓蒙活動を
していかないといけない。
・健康寿命を伸ばすため
・生活習慣病を防ぐため
・スタイルを維持するため
などなど。。。

でも、こういうことは、
「分かってはいるけど。。。」
ですよね。。。
正論ですが、人は動かないよな。。。
と感じます。

健康で病院にかからなかった人に対しての還付金とか、
もっとわかりやすいメリットがあれば、
普段から運動する人も増えるんだろうな。。。

こういった社会的な背景とともに、
文化的な背景も変われば。。。

海外の人が運動するのは、
それ自体が”かっこいいから”とか、
”逞しい肉体が好まれるから”もあると思います。
運動するのが当たり前というか。
こういう認識も日本で作っていきたいですよね。

必要以上にごつくなる必要はないです。
でも、適正な筋肉量は健康維持には必須。
さらにいえば、体のラインを作るのは筋肉。
スタイルをよく見せるのは正しい姿勢を作る筋肉。
”健康”も”見た目”も、トレーニングで作れますよ!

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