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「体幹が強い=腹筋が強い」だけではありません。大切なのは重心位置・体軸・支持力の3つです。

こんにちは。Dice Trainingです。
岩手県でトレーニング指導を生業にしています。
アメリカ留学中にNSCA CSCSを取得。
留学中のインターンシップも含めると、
トレーニング指導に携わって20年以上になります。

スポーツ現場でよく聞く言葉。
「あの選手は体幹が強い」
これは、単純に”腹筋が強い”
という意味ではないですよね。
意味しているのは、
”静的に適正な姿勢保持”が
できる事はもちろんですが、
それ以上に、
”動的に適正な姿勢保持”
ができることです。

スポーツ競技で例を挙げると、
・相手選手とのコンタクトに負けない
・多少、バランスが崩れても体勢が保てる
・常に安定感のある動作を再現できる

などの場面になります。

「よし、体幹を強くしよう!!」
といって、まず腹筋運動を始める。
もちろん、腹筋を鍛えることで、
背骨のサポート力が高まり、
姿勢保持に効果は出ます。
しかし、スポーツにおける、
「体幹の強さ=動的な姿勢保持」
を実現するためには、
”いわゆる腹筋運動”
だけでは足りません。

もっと大切なのことは、
・重心位置のコントロール
・体軸の傾きのコントロール
・姿勢保持しながら支持する下半身の強さ

の3点になります。

① 重心位置のコントロール

動作中に重心位置がズレてしまうと、
安定性は一気に変わります。
ここで、
・上体の位置を変化させる(傾ける・ひねる、etc)
・手足の位置を変化させる(広げる、抱え込む、etc)
することで、
”重心位置を適正な場所”
に戻すことができます。

まずは基本ポジションの確認。
いわゆる、”パワーポジション”です。
重心位置を
・前後左右の中心にセット
・やや低くセット
する
ことによって、
一番安定して、力の入りやすい位置を確認します。
ちょうど、クォータースクワットのような姿勢です。

・左右均等に加重されている。
・肩ー膝ー母子球(足の親指の付け根)のアライメント

パワーポジションを基準にして、
状況ごとに体の位置関係を調整する能力”
が必要になります。

もちろん、基本になる動作習得は必須。
パワーポジションができないなら
応用も何もありません。。。。
ただし、状況に応じた適応力みたいなものは、
「どれだけいろんな動きを経験するか?」
で決まる
と考えています。

決まった動作だけではなく、
バリエーションに富んだ
さまざまな動きを
練習・トレーニングに組み込み、
経験することで、
重心コントロール=身体操作
がうまくなっていきます。

② 体軸の傾きのコントロール

さまざま外力に抗うために、
適正な身体の位置=体軸の傾きが必要です。

僕自身がスキーをやっていたので、
上図のスキーのターンを例にします。
スキーのターン中は、
・傾斜下側(谷側)に落とされる力
・遠心力のために外側に引っ張られる力
が作用します。
それに抗うために、体を内側に傾けています。
突っ立ったままだと、ターン外側に流されていきます。。。。

斜度、速度、ターン弧の大小によって、
この傾きを調整し、ターンを構成していきます。
この辺は重心のコントロールと一緒です。。。
プルークなどの基本から始まり、
徐々にさまざまなシチュエーションを滑る。
・速度を変えながら。
・ターン弧の大きさを変えながら。
その中で適正な体軸の傾きを覚えていきます。

まずは”きちんとまっすぐ立てるか。”
パワーポジションと同様にこの確認からです。
・重心位置は前後左右の真ん中にあるか。
・頭ー肩ー腰ー膝ー足首のアライメントがあっているか。
・頭から足まで一直線の軸をイメージできるか。

軸が取れないと、傾けることもできません。

球技などの場合と、
・ポジション取りなど、対戦相手からの外力
・加速局面、減速局面、方向転換時の慣性力

など、スキーと同様に外力に抵抗しなくては
いけない場面が多くあります。
適正なポジション=体軸の傾きを保たないと、
外力に抵抗しにくくなり、
バランスを崩しやすくなってしまう。
もしくは体が流れてしまいます。

・タックルダミーや対人練習での押し合い。
・チューブやタイヤを使ったレジストラン。
・さまざまな設定の方向転換ドリル。
などで適正な体軸の傾きを意識し、
調整能力を高めていきます。

③ 支持力

いいポジションが作れるようになったら、
あとはしっかりと支えるだけ。

ポジションを保つ支持力が強ければ、
外力に負けることもなくなります。

重心位置・体軸のコントロールは、
より実践的な練習や動きのバリエーションで
身につけるものだと考えます。

一方で支持力は、
平たく言ってしまえば筋力
体を支える力です。
外力に負けないように踏ん張る力です。
従って、フィジカルトレーニングで
作り上げていくことができます。

脊柱へのサポート高めるために、
いわゆる腹筋運動も大切。
上半身の姿勢が定まっている方が、
安定感は増します。
しかし、支持力で重要になるのは、
やはり”下半身”です!
上半身の姿勢を保ったまま動作する
下半身エクササイズは、
支持力アップに効果的
です。

特別なエクササイズではなく、
定番の下半身エクササイズを行います。

<”体幹の強さ”を高めるエクササイズ>
・スクワット
・ランジ
・BOXステップアップ
・ブルガリアンスクワット
・ワンレッグデットリフト
などです。

まずは自体重で実施。
慣れてきたらバーベルなどで
負荷をかけていきます。
過負荷の原則に従って、
徐々に重たいものに挑戦
します。
そうすることで筋力のベースアップをはかります。

一定の重量を扱えるようになったら、
次は、漸進性の原則に従って、
難易度を上げていきます。

・両足で行っていたことを片足で実施。
・バーベルにつけるおもりをわざと左右、
 違うものをつけて非対称の状態で動作を実施。
・チューブ・ケーブルマシンなどで
 横方向に負荷がかかっている状態で実施。
・ウォーターバックやプレートをロープなどでぶら下げて、
 ”動くおもり”を持ちながら動作を実施。
などで下半身エクササイズの
難易度を調整していきます。

より強い負荷で、より難易度の高い状況で、
姿勢を保ちながら、体を支える能力を高めていきます。

まとめ

強い体幹を作るための要素は、
・重心位置のコントロール
・体軸の傾きをコントロール
・支持力の強化
の3点です。

重心位置・体軸の傾きは、
競技特性などを考慮しながら、
さまざまな状況設定
・走るエリア、ルート
・動作中にかかる抵抗の向き
などを調整してコントロールの仕方を
練習する必要があります。
ある種、コオーディネーショントレーニングなのかなと。
より実践的な練習の中で身につくことだと考えます。

一方で、支持力の強化は、
・脊柱へのサポート力アップ
・下半身の筋力アップ
が必要になるので、
ウェイトルームの中でも、
十分、作り込むことができます。

基本的な腹筋運動。
基本的な下半身トレーニング。
使用重量とテクニックができたら、
徐々に難易度の高い種目に移行。
ウェイトをわざとアンバランスにしたり、
ウェイトを持つ位置を変えたり、
ウェイトが動く状況にセットしたり。
工夫次第でバリエーションは増やせます。

まず基本の徹底。
パワーポジションが作れるか。
体軸を真っ直ぐ保てるか。
基準がないと調整が難しいです。
その後、フィールドでのトレーニングと
ウェイトルームでのトレーニングを併用として、
強い体幹を作っていきましょう!

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