Diar13

詩、歌詞、短歌などを紡いでいきます。

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美しい逆説

明るい星をみたいなら 明かりのない地へ行くこと 自分が満たされたいなら 他人の心をあたたかくすること 弱さを知った者は弱くなく 卑小さを知った者は もう卑小ではない 強さを恐れるものは強く 偉大さを知れる者は 既に十全に偉大なのだ 生き続けることが 死へ向かいつつあるように わたしたちは 美しい逆説

    • 【小説】メッセージ・ボトル 第1話④

      マスターは慣れた手つきでメモ帳、その上に万年筆、それから新しい、ステムのないワイングラスを男の前に静かに置いた。 「青ワインはこれで飲むのが決まりなのか」 「いえ、そんなことはありません。 単なる私の気まぐれですが、こちらの方が一気に飲める人が多いので」 「……まずいのか」 「いえ。味わいとしては赤ワインとさほど変わらないんです。 ですが、やはり見慣れない色をしておりますので、一気に飲み干す人が多いですね。とはいっても、それは人間の場合ですが。違うグラスで召し上がりますか」

      • 【小説】メッセージ・ボトル 第1話③

        キャンドルライトを見ていた男はそう話すと、少しだけ微笑みながらマスターの方を向いて続けて言った。 「それで今日、ここに来たって訳だ」 マスターはゆっくりうなずきながら、 「そうでしたか。それでここに。 ……時の流れというものは、あ、いや、何というか、……変わらないものはないんですね」と言った。 「青ワインを飲む前に、普通の、赤か白、お召しになりませんか。 お客様の気持ちの整理も必要かと思いますので」 「ありがとう。 それならバローロをグラスで。 時間だけはたっぷりあるから

        • 【小説】メッセージ・ボトル 第1話②

          全ての形あるものに無化する力が働くように、私のような時を明示する者たちにも、その役目を終える時がくる。 かつて人類は、太陽が作る影の動きをヒントに日時計を作り、また、容器から水が減っていくのをヒントに水時計を作った。 燃焼時計もそれから、マスターが今言った、砂時計も、長い間、時の流れを示し続けていた。 それまでの時計は自然の力を利用していたから、それぞれに正確さを欠いていたものの、人間が時を自覚するのに大いに役に立った。 知ってるかい、砂時計の砂は繰り返し使うことで、擦

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        美しい逆説

          【小説】メッセージ・ボトル 第1話①

          都内のとある場所にひっそりと店を構えるバー、「メッセージ・ボトル」。 ここは不思議なワインとお客さんが集まる、一風変わったお店です。 今夜もまた1人、このお店にお客さんがやってきたようです。 —————————————————— 細身で背の高い男が、最終電車がなくなって1時間ほど経った頃、細い階段を下り、透明で重たいガラス戸を開けた。 「まだやってるか」 「ええ、もちろん。いらっしゃいませ」 カウンターの席が7つしかない、こじんまりしたバーだ。 店内は薄暗く、

          【小説】メッセージ・ボトル 第1話①

          【短歌】人のため

          人のため生き抜くことが出来なくて 涙を流すあなたが素敵

          【短歌】人のため

          【短歌】我が生は

          我が生は知る所から 我がことを 他人事では なく、今、ここで。

          【短歌】我が生は

          【短歌】この世をば

          この世をば神の見えざる手としても 我の手を添え叶えてく秋

          【短歌】この世をば

          【短歌】沈みゆく

          沈みゆく夕日であれどあしたには 素知らぬ顔でまたはじめてく

          【短歌】沈みゆく

          【短歌】遅すぎる

          遅すぎることなんてない いつだって そう決めた時がスタートの時

          【短歌】遅すぎる

          【短歌】微笑まし

          微笑まし 怒らず叱る親の愛 祈りにも似た姿がそこに

          【短歌】微笑まし

          【短歌】救いない

          救いないニュースを見ては手は止まり 一体何を思えばいいのか

          【短歌】救いない

          【短歌】変えていく

          変えていく 冴えぬ日常だとしても心次第で どうにでもなる

          【短歌】変えていく

          【短歌】メディアより

          メディアよりネットの記事より噂より いつも頼りは君の便りだ

          【短歌】メディアより

          【短歌】張り付いた

          張り付いた笑顔の仮面捨て行けば 息苦しさに解放されて

          【短歌】張り付いた

          【短歌】いつか来る

          いつか来るさよならの時 その日まで 私らしさのままで生けたら。

          【短歌】いつか来る