【小説】メッセージ・ボトル 第1話④
マスターは慣れた手つきでメモ帳、その上に万年筆、それから新しい、ステムのないワイングラスを男の前に静かに置いた。
「青ワインはこれで飲むのが決まりなのか」
「いえ、そんなことはありません。
単なる私の気まぐれですが、こちらの方が一気に飲める人が多いので」
「……まずいのか」
「いえ。味わいとしては赤ワインとさほど変わらないんです。
ですが、やはり見慣れない色をしておりますので、一気に飲み干す人が多いですね。とはいっても、それは人間の場合ですが。違うグラスで召し上がりますか」