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6月14日 Pension-Fund Shareholders 機関投資家としての年金基金

おはようございます。
#ドラッカー #365の金言  から今日もやっていきましょう。

今日は、
#6月14日  
#Pension -Fund Shareholders
#機関投資家としての年金基金


#短期の業績と長期の繁栄は両立する
#この2つを意識してバランスさせなければならない

 短期の業績と長期の繁栄は両立する。この2つを意識してバランスさせなければならない。短期の業績の過度の重視は、機関投資家としての年金基金の利益を害する。
 株主主権の考えを成立させた企業の経済的側面の重視が、同時に社会的側面の重要性を際立たせつつある。1960年から70年にかけて登場し、株主主権の考えを生み出した新種の株主は、旧来の意味での資本家ではなかった。年金基金を通じ、企業を所有するにいたった年金加入者だった。すでにアメリカでは、年金基金と投資信託が大企業の発行済み株式の過半を保有している。
 株主主権は短期の見返りを要求した。しかし、年金の給付を確実なものにするには投資の将来価値を増大させなければならない。したがって、短期の業績とともに、年金の支払い者としての長期の繁栄を考えなければならない。この2つは両立する。ただし、それぞれ別のものであって、意識してバランスさせなければならない。

(『ネクスト・ソサエティ』、eラーニング教材『ネクスト・ソサエティ』)

ACTION POINT

#短期の業績とともに
#長期の繁栄のためにマネジメントしてください

 本日のテキストも昨日同様『ネクスト・ソサエティ』からとありますが、ピタッと該当する箇所を見つけることはできませんでした。

  未入手なので確認できませんでしたが、eラーニング教材『ネクスト・ソサエティ』からの引用なのかもしれませんね。

 ただ、1999年刊『明日を支配するもの』第2章 経営戦略の前提が変わる>3 コープレート・ガバナンスの変容 67〜69ページに次のような記載があります。

 あらゆる先進国において、将来の年金受給者が企業の所有者となりつつある。そして、この財産権の移行に伴い、今日、力の移行が起こりつつある。
 企業は誰のために経営するのかというコーポレート・ガバナンスに関わる問題の急浮上の背後にあるものが、この変化である。株主利益への急傾斜の背後にあるものも、この変化である。(中略)
 アメリカでは、1920年代以降つい最近まで、かなり曖昧ではあったが、企業は、顧客、従業員、株主のバランスある利益のために経営すべきであるとの考えが主流だった。その結果、実際には、誰にも責任を負わずに経営が行われてきた。イギリスでもそうだった。
 他方、日本、ドイツ、スカンジナビア諸国では、大企業は社会的な調和をもたらすために経営すべきであるとされてきた。すなわち、従業員とくに肉体労働者の利益のために経営してきた。
 今日、これらの考えの全てが無効となりつつある。(中略)
 これからは、ますます多くの人たち、とくに高年まで生きることが確実と思われる人たちにとって、老後の保障は、自らの投資に対する見返り、すなわち企業の所有者としての所得に依存することになる。したがって、株主にとっての利益につながるかたちでの業績の重要性が減ずることはない。しかし彼らは、配当にせよ株価にせよ、短期的な利得は必要としない。問題は、20年後、30年後の利得である。(中略)
 コーポレート・ガバナンスを巡る議論は始まったばかりである。企業とくに上場している大企業の目的について、新しい定義が必要とされている。株主優先の短期的利益と、長期的繁栄とのバランスを測らなければならない。(中略)大切なことは、今日株主になった人たちが年金をもらう歳になるまでの3、40年を立派に経営することである。

『明日を支配するもの』(1999年) 67〜69ページ

短期の業績と長期の繁栄という2つのバランス

 2年前「株主第一主義」だった米最大の経済団体「ビジネス・ラウンドテーブル」が「ステークスホルダー重視」へと方針転換したということがニュースで報じられました。

 既に米国では、大企業の株式の60%を年金受給者を代表する団体やファンドなどが所有しているとのこと。彼らは大株主として経営陣へ短期のみならず長期の繁栄の意向を持っている。経営陣は彼らを無視して経営はできないため、短期的な利益追求である「株主第一主義」から、長期的繁栄へという趣旨から地域社会への投資や従業員重視、そして、ESG投資にシフトしつつある、ということだったのかもしれません。

ESG投資というのは、 機関投資家が環境要因や社会問題、企業のガバナンス構造を考慮して株式や債券に投資をすることで、運用の成果を上げるだけでなく、付帯的に社会全体の利益も達成し得るという考え方

大和総研 https://www.dir.co.jp/report/research/capital-mkt/asset/20190411_30031.pdf 

 日本でも2020年度末で公的年金GPIFは、47兆円を日本株で運用しているので、2016年に「上場企業4社に1社」の株主だったから、現在ではさらに保有率も量も増えていることでしょう

 ドラッカーは、かつて日本で長期視点経営がなされていたのは、従業員を大切にする、株主持ち合いによる金融機関重視という視点で経営してきたからとし、「日本では終身雇用制によって、大企業は従業員のために経営される」「従業員が年金基金を通じて唯一の真の資本家、唯一の真の生産手段の所有者になっているため、長期視点による経営がなされている」と記して、短期収益指向でない長期視点の経営姿勢を高く評価していました。

 残念ながら、1985年のプラザ合意によって戦後長年続いてきた日米経済戦争に敗北、さらに、90年代以降、人件費の低さに目が眩み、活路を求めて中国に進出したものの、国内の優秀な従業員たちという「人的資源」を手放し、社外秘のノウハウを進出国に手渡し、付加価値創造の源泉を失い「生殺与奪の権利」を進出先国家に握られる、という戦略的に致命的失敗を犯し、再びの経済敗戦で、GDPダダ下がり、衰退国家へと進んでしまっています。

 加えて、2018年以降の米中経済激突、2020年感染症流行、2022年ロシアのウクライナ侵攻という事態を受けて、わが国の「経済第一主義」「貿易第一主義」で進んできた戦略は失敗。新たな国際戦略が必要です。

 かつての繁栄の基礎であった長期視点の経営を手放し、短期収益志向で株主第一主義へとシフトしてしまった企業経営者は、自ら墓穴を掘っているように思います。今日を変えていこう。愛を込めて。



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