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5月12日 The Manufacturing Paradox 製造業のパラドックス

おはようございます。今朝も #ドラッカー #365の金言  からスタートして行きましょうか。
本日、#5月12日。 
テーマは
#The_Manufacturing_Paradox
#製造業のパラドックス

#はるかに少ない労働力ではるかに大きな生産量を実現しなければならない


信頼すべき予測によれば、先進国の製造業生産は2020年までに倍増する。ところが、製造業雇用は就業者人口の12%に落ちる
製造業を一新し、その生産性を飛躍的に向上させるものが、リーン生産をはじめとする新しいものづくりのコンセプトである。情報化やオートメ化よりも、それら新しいコンセプトの方が大きな役割を果たす。まさにそれらのものは、80年前の大量生産のコンセプト並の成果をもたらす。
しかし、雇用の創出者としての製造業の後退は、農業の後退にともなって見られたと同様の保護主義をもたらすことが避けられない。農民の減少にともない、農民票は重要性を高めた。農民は数を減らすほどに団結を強め、利害集団として不釣り合いともいうべき発言力をもった。

(『ネクスト・ソサエティ』)

ACTION POINT

#あなたの組織も生産と雇用のパラドックスを経験していますか

#早速 、再教育プログラムをつくってください。

 今日のテキストは、『ネクスト・ソサエティ』(2002年発刊)第4章 製造業のジレンマ>雇用の減少と社会不安 32〜37ページより。

 今日の提言は、生産性向上の話じゃない。製造業雇用者数が減っても、設備投資などによって生産向上がなされているため、高品質は保たれたまま、生産量は変わらない、もしくは向上したままという話です。

そして、このことは、雇用の安定を失いつつある日本が、その後の社会をどう築くか、という話なんじゃないか、と思うのです。

 今日の提言で、ドラッカーは2020年までに米国の製造業雇用者%を12%に落ちると予言していました。果たして現実はどうなっているでしょうか。

 ちょうど2022年5月6日、雇用統計がBLSによって発表されたので、それを見ると、最新の数値では、非農業部門雇用者数150,983千人に対して、製造業雇用者は12,679千人とすでに10%を割り、8.4%。

https://www.bls.gov/news.release/empsit.t17.htm より

では、わが国はどうか、日本も辿っている??

https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/chart/html/g0005.html より

Yes。今は16.7%。

 農業従事者は、20世紀の初めには労働力人口が最大だったものが、今日ではあらゆる国で3%以下になっている。

(『ネクスト・ソサエティ』)32ページ

日本でも農業従事者人口が辿った道を製造業従事者人口も辿っているように思えます。

(日本)国内の製造業就業者数については、2002年の1,202万人から2019年には1,063万人と、20年間で11.6%減少しており、全産業に占める製造就業者の割合も2002年の19.0%から2019年の15.8%に減少している(図212-1)。さらに、製造業の若年就業者数についても、減少が続いているが、近年の好景気に伴い、2015年からやや増加傾向である(図212-2)。もっとも、新型コロナウイルス感染拡大による経済・雇用への影響については、今後注視していく必要がある。

https://www.meti.go.jp/report/whitepaper/mono/2020/honbun_html/honbun/102011_1.html より

 製造業の雇用の伸びが生活水準の向上に直接つながっていた黒人だけだった。(中略)すでにドイツはルール地方に、フランスはリール地方に膨大な失業を抱え、社会不安を伴う辛い転換期に直面している。(中略)しかし、日本社会の安定は、雇用の安定、特に大規模製造業における雇用の安定に依存するところが大きかった。いま、その雇用の安定が急速に崩れつつある。(中略)社会心理的にも、日本は製造業の地位の変化を受け入れる心構えができていない。日本は20世紀の後半、製造業の力によって経済大国の地位を獲得した。

(『ネクスト・ソサエティ』)33〜34ページ

 日本は製造と貿易が主力の国家です。
 製造業従事者人口が減ってしまう=国力衰退、とも言えるのかもしれません。しかも、製造業に代替し、外貨獲得に貢献できる産業があるのか?

 ハードではなくソフト、となりますと、ソフトウエア業界、となりますが、海外ダウンロードされるソフトというと、エンジニア系ソフトよりもアニメーションや音楽やアート部門の方がわが国の得意分野のようです。
 しかし、アニメやアート従事人口は製造業に比べて、桁3つほど下回っているように感じますが、どうでしょう?せいぜい数千人といったレベルでしょうか。

 そうなると、全体に対する影響を与えるまでとはなりにくいように感じます。ましてやエンタメやスポーツ界では、1部の飛び抜けた才能ある人材に全てが集中する業界です。嫉妬心を抑えてきた大衆にとって、若くして巨万の富と名声を得る人材に対して、平等や結果の公平さを求めて、社会的に抹殺してしまってきました。最近はそうでもなくなってきたようですが、どうでしょう。

 しかも、そこに、感染症蔓延。

 厚労省によれば、ここ2年間で、感染症の影響を受けたのは「宿泊業・飲食サービス業」22万人減、「建設業」10万人減、「生活関連サービス業、娯楽業」10万人減、そして、製造業8万人が減少とのこと。↓

https://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/nen/ft/pdf/index1.pdf より

 主に増えているのは、医療・福祉(といっても医療ではなく介護関係が大半でしょう)22万人、情報通信業16万人、学術研究、専門・技術サービス業8万人、教育、学習支援業7万人。

 製造業のみならず、設備投資や技術の進歩によって、生産性向上効果が進んでいます。従って、どの産業でも機械化・効率化が進めば進むほど、少人数で成果が上げられるようになり、雇用を保つよりも、利益分配率を高めるため、少人数での経営へと進まざるを得ません。

となると、雇用の維持には進みません。
そもそも、生産性向上の目的はなんだったか、といえば、日本生産性本部では、昭和30年5月に生産性運動の目的について、こう記しています。

生産性運動の目的は「国民の生活水準の向上」であり、生産性向上はそのために不可欠な手段です。日本生産性本部には経済界・労働界・学識者の三者が参画しており、生産性運動の推進には労使の協力が不可欠との設立当時の強い思いを反映して、「生産性運動三原則」(①雇用の維持拡大、②労使の協力と協議、③成果の公正な分配)を掲げています。

https://www.jpc-net.jp/movement/movement.html より

 ところが、生産性向上によって、「生産性運動三原則」の促進どころか、現在ではむしろ逆の状況を迎えていることとなっているのではないだろうか。

これこそ本日のタイトル「製造業のパラドックス」なのかなと思います。

さらに、

 生産=供給の方はわかった。だが、肝心の需要はどうなんだ?少人数で生産できるようになり、供給を賄えるようになったことはプラス。

そして、ドラッカーも「供給はそれ自ら需要を作り出す」という「セイの法則」

の信奉者なので、供給力を増やせば、需要が増える、と考えているように思われます。

 だが、ここ20年、我が国が経験していることから言えば、生産性向上→従事者が減る→雇用が減る→収入を得る人口が減る→金を払える人口が減る→需要が減る→デフレ価格にして売る→利益率の悪化→年収減の雇用者増→更なるデフレ、
というサイクルにあるように思います。

この点、以下の記事で指摘したけれど。。。

生産性上げても、需要が無ければ廃業・失業が増えるだけ。

ドラッカーは、次のような提言をしている。

 史上初めて、社会と経済が肉体的な労働を中心とするものではなくなり、一国の存続と繁栄にとっては、身体を使って仕事をする者の数はそれほど必要としなくなったことを受け入れられない。(中略)過剰雇用の成熟産業に金を注ぎ込む政策は害をなすだけである。それらの金は、一時解雇された高年者を助け、若年者を再教育し再雇用するために使わなければならない。

(『ネクスト・ソサエティ』)37ページ

 政府が高齢者や社会の変化に合わせた、ジョブシフト用の社会人教育に投資せよ、という提言です。

 かつて明治政府は、貧乏だったにもかかわらず、国家も民間も教育に投資を怠らなかったことによって、富国強兵を成し遂げ、日清・日露・第一次大戦と勝利し、強い国家として成長し続けることができたし、その基盤があったからこそ、戦後の発展も成し遂げられたのではないだろうか。

 ところが、今の政府も企業も、人材への教育投資、ジョブシフト投資は、自己責任だ、というように、支援の手を差し伸べていないように思えるがどうだろう。むしろ、逆に、国富を使って、外国留学生、しかも、反日国の学生らに年間150万円を無償で提供し、肝心の国民への教育投資はほとんどなされないという。政府自身が亡国を進める政策をしているようにも思える。

 かつて、民主党は、「コンクリートから人へ」と人的資源への投資を主張し政権を獲得したわけだが、実際に行われたことは、単なる利権政治の焼き直しに加えて、売国政策でした。

人口減少が進む中、個人が個人のできる範囲で、自らの成長につながるべく自己教育に投資していくことが大切に感じた、今日の提言でした。

今日を変えていこう。愛を込めて。

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