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5月13日 Protectionism 保護主義の行末

おはようございます。今朝も #ドラッカー #365の金言  からスタートしましょう。
本日、 #5月13日  
#Protectionism
#保護主義の行末

#成果をあげるうえでの最大の障害はわれわれの視野を狭める昨日の問題である


雇用の担い手としての製造業の地位の低下は、間違いなく新たな保護主義をもたらす。最初の反応は、寒風から自らの庭を守るための障壁の構築である。しかしいかなる障壁といえども、国際水準に達しないものを守ることはできない。さらに脆弱にするだけである。
そのよい例が、1929年から50年間国内経済を世界経済から遮断したメキシコだった。それは外国製品に障壁をつくっただけではなかった。20世紀としてはきわめて珍しい政策として、自国製品の輸出を禁じた。
しかし、この特殊メキシコ的な近代化政策も無残に失敗した。工業製品だけでなく、食糧まで輸入に依存するようになった。輸入に必要な代金を払えなくなり、開国を余儀なくされた。しかも産業の多くが、生き残ることさえできない状態にあることを思い知らされた。

(『新しい現実』『明日を支配するもの』『ネクスト・ソサエティ』)

ACTION POINT

#製造業における雇用の減少は 、製造業の基盤の弱体化を意味しますか。

#先進国が肉体労働力によって動かされる経済でなくなったことはなぜ理解されないのでしょうか

本日のテキストは、『新しい現実』『明日を支配するもの』『ネクスト・ソサエティ』から、とありますので、該当箇所を拾い上げてみたいと思います。

『ネクスト・ソサエティ』(2002年刊)では、35〜37ページ。第4章 #製造業のジレンマ  から #新種の保護主義#保護は有効か  の部分。

ドラッカーは、政府の保護政策について

成熟産業に対する保護は無効である。すでに70年に及ぶ農業保護の経験が明確に示している。(中略)過剰雇用の成熟産業に金を注ぎ込む政策は害をなすだけである。それらの金は、一時解雇された高年者を助け、若年者を再教育し再雇用するために使わなければならない。

『ネクスト・ソサエティ』、37ページ

と一刀両断している。

『新しい現実』(1989年刊)10章 経済開発の矛盾 によれば、第二次大戦後、成功した経済開発政策は2つあったという。

1つは低賃金労働による工業製品の輸出であり、1つは、幼稚産業の保護である。

『新しい現実』、214ページ

 しかし、日本は、低賃金による輸出が長続きしないことをかなり早くから認識していた。
 そこで日本は、すでに1960年代において、同じく19世紀の失敗した経済開発政策、すなわち幼稚産業保護政策をその低賃金輸出政策と組み合わせた。(中略)自国の幼稚産業を保護するため、政府は、外国製品輸入に対して門戸を閉ざす。もちろん理論的には、その幼稚産業が競争力をつけた後、国境を開くことになっている。
 しかし、現実には、そのようなことは決して起こらない。
 逆に、幼稚産業は、保護されている期間が長くなればなるほど、一層の保護に依存するようになる。しかもさらに、この政策のもとに育った幼稚産業は、成長すればするほど、自らが必要とする部品、機械、設備を先進国からの輸入に依存するようになる。
 その結果、部品や機械の輸入を増やすことなく成長することは、全く不可能となる。しかも、それらの部品や機械の輸入に必要な外貨を、その製品の輸出によって賄い切るだけの競争力を手にすることはできない。
 こうして結局のところは、保護された幼稚産業は、自らの成長によって自滅してしまう。

同書、216ページ

そして、こう結論づけている。

 我々は、経済開発に向けて機能することが保障されているような公式や政策は、存在しないことを知っている。そして経済開発の基礎となるのは、設備投資よりも、教育や能力であることも知っている。

同書、223ページ

そして、『新しい現実』の10年後、1999年に発刊された『明日を支配するもの』第2章 経営戦略の前提が変わる>4 グローバル競争の激化 のなかで、今日の本文が紹介されてます。(71〜72ページ)

 どんな企業・組織であれ、

 世界最高水準の域に達しなければ、いかにコスト削減し、いかに補助金を得ようとも、やがては窒息する。いかに関税を高くし、輸入割り当てを小さくしようとも、保護的措置ではなにものも保護し切ることはできない。
 それにもかかわらず、今後数十年にわたって、保護主義の波が世界を覆うことになる。

『明日を支配するもの』、71ページ

そして、処方箋としては、

企業に限らずあらゆる組織が、世界のリーダーが事実上設定した基準に照らして、自らのマネジメントを評価していかなければならない。

同書、72ページ

とドラッカーは記している。

メキシコ人は、国内の雇用の減少に伴い、米国へ移動しており、それが、国境問題で、トランプ氏が移民の入国拒否案をぶち上げ、実際に、国境に壁まで作り、「Make America Great Again」というキャンペーンのもと、2016年大統領選挙に勝利したことは記憶に新しい。

世界は、保護主義の波が覆っており、これは2018年10月のペンス演説以降、米中激突、

 そして、2022年5月の現在も続く中国・武漢から世界中に広がったコロナ感染症の流行、そして、2022年2月24日から始まったロシアのウクライナ侵略行動という一連の国際情勢の変化により、グローバル経済バンザイ、から、姿勢は一変。

 世界はブロック経済圏化が一層進んでいる。具体的には、先制独裁国家vs自由民主国家の対立であり、先進国vs発展途上国であり、米・環太平洋・アジアのブロックvs中国の一帯一路政策であり、多元化した世界の中で、争いと協調を繰り返している。

 世界の前提が変わることが、むしろ、「当たり前」(by 「平家物語」&ドラッカー)。
そして、変化が常態という中、僕らは、悪天候や厳しい環境でも、今日を生きていく。信じ合える人がいるだけで、どんなに世界が変わっても、僕らは大丈夫なんだ。(by 映画「天気の子」)
 自らの強みを知り、時間を作って、自ら学び直して強化しよう。(ドラッカー)↓


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