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4月9日 真摯さの欠如〜「マリエちゃんやっちゃいなよ」

おはようございます

#ドラッカー #365の金言 #4月9日 #真摯さの欠如    #マネジメントに携わる者は現実家であって評論家であってはならない

このNoteは、「ドラッカー365の金言」に記された1日1テーマに対して、自分の感想や想い、そして、私自身の実践について書いたNOTEです。本文そのものを全て引用することはありませんので、ドラッカー博士の論文をお読みになりたい方はぜひ本書をご購入されることをお勧めします。

https://amzn.to/3qUQZtj

“汝の時間を知れ“ ドラッカー

上記は本書の扉の次のページに記されていたメッセージです。これは「時間は無限ではないから集中せよ」という意味かも知れません。ドラッカーの65年以上にわたる著作集を読み続けるほどの時間がない方のために、本書がある、という意味かも知れませんね。

編者のマチャレロ教授は

“最後にACTION POINTとして取るべき行動を示唆した。ここでお願いしたいことは、読者ご自身が「すでに起こった未来」を探すことである。新たなトレンドを見出したならば、ドラッカー学校の伝統に従い、自ら行動していただきたい。“


と記して、本書を実践する書、として欲しいと述べています。

著作権等の関係から、日々のドラッカー論文(つまり、本書の本文)を全文引用することはしませんので、ご関心の方はぜひお手元にお持ちになることをお勧めします。


今日のテーマ:真摯さの欠如

今日のアクションポイント: #真摯さを定義してください #あなたが新人に求める真摯さの中身を明らかにしてください

原文では、Integrity 「真摯さ」。上田氏翻訳のキーワードです。

ドラッカー「マネジメント」で重要なキーワードが Integrity of character 。直訳では、「人格の統合」となるが、1974年刊行された最初の日本語訳では「人間としての誠実さ」と訳された。しかし、2001年12月に刊行され、ベストセラーとなった「マネジメント〜エッセンシャル版」において訳者の上田氏は「真摯さ」と訳しました。


「真摯さ、とはなんだろう?」

誰もが、同書で心震える経験をされたことと思います。後年発売され、累計270万部以上のベストセラーとなった、「もしドラ」でも、

この「真摯さ」を軸に、高校野球部マネージャーが奮闘する物語は動いていきます。

それは、経営管理者に必要な資質が「誠実さ」では、立場主義の日本市場では受け入れられない。仕事に対しての誠実さ=「真摯さ」こそ、管理者に必要な資質でなければ日本では受け入れられない、と判断した上田氏並びにダイヤモンド社の「イノベーション」である、と安冨歩さんが「ドラッカーと論語」のなかで記した説に、自分は賛同しています。

安冨氏は、「もし管理職が正論で通す、誠実さで仕事したら、その人は日本企業では閑職に回されてしまうだろう」と指摘するのです。

確かにそうでしょう。日本組織の問題として典型的な例があります。2018年5月に起こった「日大アメフト事件」です。

日大アメフト事件

日大の内田監督がルール破りの反則行為をコーチ経由で選手に指示。A選手はルール無視はできない、人としておかしい、スポーツマンシップからもできない、と固辞していたのを、「勇気がない。レギュラー剥奪だ」として、チームから孤立させ、そして、事件に。

勝利という目的のためなら手段を選ばず、というやり方は、これまでの社会的通念としては認められてきました。同じく仕事への「真摯さ」があれば、多少反則を犯したところで罰せられない、むしろ、反則を是認されるというこれまでの日本の社風もありました。しかし、この事件を機に、コンプライアンスや仕事を口実にした不正行為や誠実さに対する評価は大きく変わったように思います。

(余談ですが、気の毒なのは、内田監督の指示命令に忠実に働き、Aさんに命令を強いた井上コーチです。彼は内田監督失職に伴い、失職。アメフト人生を失いました。(7日前に、日大歯学部職員として復帰したとのこと))

(まだ30歳と若く前途もある井上氏。若い頃の「過ち」であり、許すことは、ある意味、温情でしょう。しかし、日大が責任ある高等教育機関として、彼に対して、どのように教育し社会人として改善させていく計画である、ということを明らかにすべきだったと思います。上司が誤った指導をした場合、YESマンではなく、部下としてそれを正すべきという彼の実例を活かすべきです。それをせぬまま、こっそりと復帰ということが正しいのか?)

この日大アメフト事件は、組織の論理「真摯さ」に従うのではなく、人格の「誠実さ」こそ大切である、と時代が移った画期的な出来事、と感じました。

今は元気に活躍しておられるA選手。(ホッとしました)。

儲かれば人権など無視して良い、業績悪化しているのだから、非正規雇用や枕営業などブラックに働かせてもいいのだ、という考え方がまだまだ日本企業では残っています。

「マリエちゃんやっちゃいなよ」事件

そして、今週、明らかになったタレントのマリエさんの発言は衝撃です。

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マリエさんは4月4日、自身のインスタグラムのライブ配信で、「18歳の時、島田紳助さんから枕を誘われた」などと、涙ながらに告白。本人はその誘いを断ったというが、所属事務所からは「マリエはそれでいいの? 今後は仕事なくなるよ」などと宣告され、その後、自身が出演していた元タレント・島田紳助氏がMCを務める『世界バリバリ★バリュー』(TBS系)や『クイズ!ヘキサゴン』(フジテレビ系)を降板させられたと明かした。さらに視聴者を驚愕させたのは、その時、島田氏の周囲にいた取り巻きの態度だった。マリエが〝枕〟を求められ断ると、部屋にいたお笑いタレントの出川哲朗や、お笑いコンビ『やるせなす』、タレントの山本梓らから「やりなよ」と言われたという。

自分のタレント生命の生死を握っている大御所芸人が居て、自分も彼のおかげで飯が喰えていたとしたら、記事にある取り巻きタレントを非難できるだろうか。

「大御所、それはおかしいですよ」と正論を述べる=失職する、を意味するわけだから。

安冨教授は、このようなことが至るところで行われているからこそ「正論を語れば干される」=「立場主義の日本」と称したのだろう。しかし、これは日本国内だけで行われていることではない。国を挟んでも行われている。

アシックス「ウイグル人権問題」対応の愚

「中国さん、それはおかしいですよ」と言えば、市場を失い、投資した工場や従業員たちの命がない、と脅迫まがいのことをされているとしたら。。。

米中激突に伴う、ウイグルや香港での人権侵害、虐殺といった問題では、日本企業も対岸の火事と見ていられなくなりました。

3月25日、ウイグル人権ジェノサイドにおけるアシックス社の対応です。3月30日に判明したウイグル問題をめぐる声明を削除し、10日経った現在(4月8日12:00)、同社からの声明は出されていません。

中国市場を失えば、業績に大きな影響を及ぼすため、日和見的な対応をとってきましたが、いよいよ「踏み絵」となっています。しかしながら、人権無視企業というレッテルを貼られると、欧米市場を失うことになります。

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(コーポレートサイトにウイグルへの言及はありません)

中国市場を失うか、欧米市場を失うか、どちらかしか選択の余地はありません。アシックスに限らず、中国に進出した日本企業はこのままいけば、中国市場も、欧米市場も、両方を失うこととなりかねません。共産主義国への進出リスクを軽んじた経営陣の判断ミスです。

もちろん、中国がわが国の企業に対して行なっていることは、「真摯さ」とも「誠実さ」とも真逆であり、国際的に非難すべき事項と思います。

わが国だけではありません。

米国でも、2001年エンロン不正会計事件、2002年ワールドコム不正経理事件、両者の監査担当だったアーサー・アンダーセンは2002年解散、サブプライムローン市場の下落に端を発する2008年リーマン・ブラザーズの破綻など2000年代には、不正金融事件が連発しました。

これも利益追求に走るあまりのことでしょう。integrity of character を軽んじた米国、そして、「仕事への真摯さがあれば不問とする」=日本企業の弊害ではないかと感じます。

リーダーは成果を上げることが必要ですが、「仕事に真摯」では経営者として失格。「誠実さ」こその経営、という時代の到来と思います。

何が正しいかよりも、誰が正しいかに関心を持つものをマネジメントの地位に付けてはならない

いくつかご紹介してきたように、もはや「誠実さ」を踏みにじる経営、取引は、SNSで暴露され、その悪意は非難される時代になりました。

今や「仕事への真摯」ではなく、「誠実さ」こそ組織の、経営の真価を示すものです。誠実さをベースに、経営する時代に変わっています。

やることは増えたかもしれません。

だからこそ、今日もやっていきましょう。


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