203日目(ブロック吊るし割り)
まずはこの動画を見て欲しい。
まだまだ元気な大山総裁の「ブロック塀が割れたら審査無しで昇段」というメディアに対してサービス精神旺盛な即興ルールが飛び出し、そんな中で今は新極真にいる南里師範の代名詞が誕生するシーン。
さすがに粉の吹き出し方や割れ方を見ると手心のあるブロック塀だとは思うが、66歳という年齢を考えれば十二分に凄い。
この吊るしブロック塀割りで思い出すのは、僕が自衛隊時代に極真をやっていた頃。
師匠は倉本成春師範(愚地独歩の土管割りのモデル)や盧山師範に心酔していて、普通の道場ではやらないような部位鍛錬を重点的にやって、僕はそれが痛くて痛くて辛かった。拳の皮はすぐに破れ、次の練習ではグジュグジュの拳で部位鍛錬をするのだ。そりゃ痛いよ。
自衛隊内の極真松井派の大会が毎年空挺団がある習志野駐屯地で行われ、そこで各駐屯地の師範が演舞をする時間があった。
その時の演舞はある意味呪われていて、他の駐屯地の師範がバカでかい自然石割りに挑むが割れず、試し割りは失敗してチャレンジし直すたびにダメージが加算され成功はどんどん遠くなる。その師範も最後の方は次のチャレンジまでどんどん時間がかかっていき、その時ゲストで来ていた廣重師範(常勝城南支部を指導し、緑健児、八巻建志、数見肇を育てた名伯楽)が「その心意気はわかったから、もう止めなさい」とストップをかけた。
そして僕の師匠が披露したのが吊るしブロック塀割りだったのだ。
演舞前に師匠に今までその演舞をやったことあるのかと聞くと「やったことないけど大丈夫やろ」と、ぶっつけ本番で挑むことになった。大きな間違いに気づかず…
その時の全自衛隊極真大会での僕は直前に右手を練習で骨折していて、サポート的な役割で大会に同行していた。
いよいよ師匠の演舞となって、同門二名がブロック塀を通した棒をかついだ。
そして師匠の正拳突き一閃!ドゴン!と鈍い音とともにブロック塀はグルン!と一回転!
師匠は一瞬拳を見て「あ」みたいな顔をしたけど、ブランブランしてるブロック塀を止めて二度目の正拳突き一閃!ドゴン!と鈍い音とともにブロック塀はグルン!と一回転!
また師匠は拳を見ると今度は「あ、ダメだ」みたいに首を振って演舞を止めた。
右手拳の小指と薬指の部分がガコンと陥没して骨折していたのだ。拳自体は問題なかったけど手のひらの細い骨が衝撃に耐えきれず折れてしまっていたようだ。
冒頭に貼った動画を見て貰えばわかると思うが、この吊るしブロック塀割りに刺す棒はある程度固定される角材でなければならない。ある程度固定された状態でも半回転くらいしてしまうのに、この日師匠の演舞で使われた棒は丸棒。
そりゃ一回転しちゃいますよね…
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