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へんけん!!にてんいちよん!


これは超有名スーパー名門学園「坂道学園」にある
通称『変なもの研究部』略して『変研』で巻き起こる
ドタバタラブコメディ?の一遍である。

今日は学園内が甘い匂いに包まれているようで…


〇:やばいやばいやばいやばい!
西:〇〇待ってやー!
白:逃げても無駄よ!
〇:絶対やばいじゃん!ねぇ!

俺は相も変わらず校内ダッシュを強いられている。
目の前には曲がり角。あそこを曲がれば巻けるはず…!

おてんば七瀬と悪魔な部長から逃げるには
一瞬のブレーキも許されない。
体勢を横に傾け、
踏み出した左足を中心よりやや右に着いて
一切の無駄をなくして曲がる。

理想のフォームが決まりその刹那、
世界陸上すら意識した時だった…


ドンっ!


目の前に現れた"誰か"と衝突し
ものの見事に二人ともしりもちを着いてしまった。

〇:痛た〜。誰なん!廊下走ってんの!
松:痛ってー。てか、大丈…ん?
〇:なぁんや、〇〇君やったん…ん?

白:あー、まっちゅん大丈夫?
〇:あー!まいやん!大丈夫やで〜。
西:なんで〇〇が答えんねん!
松:え?俺なんも言ってないけど…?

白西:ええええええー!
白:もしかして…!
西:二人は…!

白西松〇:入れ替わってる…!

〇:あはは〜、息ぴったりやなぁ〜!
松:言いたかっただけでしょ、ほんと。
西:でも〇〇もノリノリやったやん?
白:とりあえず部室行こ?
  周りに見られると面倒かもだし。

この部活に入ってから色々なことを経験させられた。
そのせいなのかこの状況を
すんなりと受け入れてしまっている自分がいた。

白:これって自然に戻ると思う?
松:流石に自然には無理じゃないですか?
〇:もっかいぶつかるとか!
西:まだ慣れへんなぁ〜。

部室に着いてからもグダグダなおとぼけ4人組。

白:とりあえず予定してた事しない?
西:そ!考えたってしゃーないし!
松:冷静すぎるのが逆に怖いんだけど…

そんな言葉をよそに着々とセッティングされていく機材たち。

〇:よーし!チョコケーキ作るでー!
西:おー!

松村さん考案の【部室で巨大チョコケーキを作ろう!】
手伝わされるのが目に見えてたから
逃げていたはずなのに結局こーなるのね…

白:なぁちゃん写真お願いね!
西:あいあいさー!
〇:待って!
  このままやとまちゅやのーて
  〇〇君が作ってる写真になってまう…

まさか…!

白:〇〇君まっちゅんの代わりにやってくれるよね?
松:いや、あの拒否権は…
〇:ないで。
松:デスヨネー。

こうして
白石さんと松村さん(俺)の
楽しいクッキングが始まった。

〇:まちゅも作りたかったけど
  〇〇君役としてアシスタントするなぁー!
白:じゃーまっちゅんチョコレート刻んでね!
〇:はーい!
白:〇〇君はこっち手伝ってー!

準備も着々と進み、あとはオーブンで焼き上げるのみ。

〇:楽しみやなぁ〜!
松:松村さんってホント食べるの好きですね。
〇:まちゅの生きがいのひとつやねん!
松:あー、だからケーキみたいにふわふわなボ…
〇:ケーキ真っ赤に染めんで。
松:冗談ですって!

なんてふざけてるうちにオーブンが鳴き、
中から甘い匂いが放たれる。

西:完成やー!
白:早速食べよっか!
〇:おー!

白:せーの、
白松西〇:いただきまーす!

一口大に掬ったケーキを口に運ぶ。
カリッとした表面。
中から溢れる熱々のチョコレート。
口の中いっぱいに香りが広がり、


襲ってくる強烈な苦味。

白:なにこれ!
〇:あばばば…
西:苦ー!

はっきり言おう。
これは不味い…

けど…

松:この苦味どっかで…
〇:ん!まさか!

閃いたように目を見張る俺。じゃなくて松村さん。

〇:お砂糖準備したのってなぁちゃんやんな!
西:はい…。え?
〇:どこから持ってきた?
西:松村さんの机の上にあったので…

〇:それやー!

置いてけぼりの松村さん以外。
まるで名探偵の様にひとつ咳払いをして、
松村さんは口を開いた。

〇:全ての謎が解けました。
  今回の件…全てまっちゅんのせいです!

白:へ?
松:何が?

〇:やから、まちゅの作った新しいお薬のせいでした!
西:もしかして…これ?
〇:そやねん…これ実はな…?

ゆっくりと近づいてくる俺の姿をした松村さん。
手を軽く振りかざし俺の肩をバンッと叩く。

〇:痛った…くない?
松:あはぁー、ちょっと強く叩きすぎたぁー。

白:あれ、戻った?
松:そー!

どうやら松村さんの新薬は
飲んだあとに一定以上の衝撃を受けると
中身が入れ替わってしまう薬だったらしい。

〇:てか、なんでそんな物騒なもの作ってるんですか。
松:だってー。〇〇君に飲ませてー、
  色々したら楽しそうやなー?
  って思ったんやもーん。
白:でも完成してたってことでしょ?やったじゃん!
松:そやねん!またまちゅが天才に近づいてしまった!

西:でも、なんで最初に入れ替わったんやろ。
〇:あ、それは多分…
西:多分?
〇:冷蔵庫にあった
  新品のプリンジュース飲んだらあの味がして…

松:え、あのプリンジュース飲んだん…
〇:まぁ、その。
  あったから、喉乾いたしなぁ〜みたいな!
松:まちゅがドッキリ用に使おうと思ってたのに!
白:しかも勝手に人のもの盗るのはダメなのになぁ〜?

〇:ずみまぜん!
松:もっかい入れ替わって色んなことしたろか!
  な、まいやん!

その後、
変研の部室から数時間の間
〇〇の悲鳴が聞こえたとか聞こえなかったとか…


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