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ARからボードゲームまで、多様な作品が集まったデジタルハリウッド大学2020年度卒業制作展レポート~前編~

デジタルハリウッド大学(以下DHU)は2021年2月12日~14日の3日間、駿河台キャンパスにて2020年度卒業制作展を開催しました。

25のゼミの188作品が展示され、総勢255人の卒業生が集大成を披露。会場には4年間の学びを詰め込んだ多種多様な作品がズラリと並びました。

展示されたのは、VR/ARや3DCGなど最新のデジタル技術を用いた作品から、小説や研究成果のパネル展示までさまざま。まるでお祭りのような空間です。

今回のnoteでは、その一部始終を、前編・後編に分けてお届けします!

🌒後編はこちら🌘

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VR/ARに3DCG。最先端の技術を卒業制作に

DHUといえば「最先端のデジタル技術を学べる場所」とイメージする方も多いのではないでしょうか。イメージの通り、今年度も最新の技術を活用した作品が目立ちました。

まずはVR/ARゼミの最優秀賞で、学長賞も受賞した『Wireless Visualizer』(黄川田佑太さん、白子冬冴さん)。

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▲『Wireless Visualizer』(黄川田佑太さん、白子冬冴さん)

AR(拡張現実)で携帯電話の電波の強弱を可視化したシステムです。画像の右手前にあるHoloLens 2(MR=現実世界とCGを融合して体験できる「Mixed Reality(複合現実)」デバイス)を装着すると、目の前の空間がパソコン画面のように見えます。緑の立方体が浮かぶ地点が電波がよいところ、黄色や赤の地点は弱いところです。

ふたりはこの作品で「デジタルコミュニケーションの基盤であるインターネット通信の発展に貢献したい」とのこと。5Gを始めとする新しい電波の普及や、電波が弱いエリアへの基地局設置支援に生かされることが期待されます。

3Dプリンタを使用してバイク向けパーツのプロトタイプを作った学生もいます。

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▲バイク向けツールのプロトタイプ(松永蓮さん)

制作者の松永蓮さんは、バイクのデータを3Dスキャンでパソコンに取り込み、モデリングツールでデザインしたのち、3Dプリンターで型を出力。その型をもとに加工し、アルバイト先のバイク店(カスタムショップ)で外装を作ったそうです。実際にバイクに装着して公道を走れるといいます。

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▲『Infection』(近藤諒さん)

こちらは3DCGで作られたショートムービー『Infection』(近藤諒さん)。人の筋肉の動きや皮膚のハリ、衣装の細部まで緻密に表現されており、まるで実際に売っているゲームの一場面のようです。

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▲『Adarnia:A Sci-fi shortfilm』(ESCOSORA CLEMHYNさん)

続いては、3DCG短編アニメーション『Adarnia:A Sci-fi shortfilm』(ESCOSORA CLEMHYNさん)。ストーリー作りからアニメーション作りまで3DCG映像の作成過程を全てひとりで行ったそう。タイトルになっている「アダーニア」に謎の人物が登場し、ロボットを開放するために警察官に追われながら奮闘するストーリーとのこと。

アプリケーションやクラウドシステムを利用することで、社会課題の解決にアプローチする作品もあります。

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▲『高校生の進路相談をグラフィックツールで支援するサービスのデザイン』(高原愛美さん)

『高校生の進路相談をグラフィックツールで支援するサービスのデザイン』(高原愛美さん)は、講演会やイベントをリアルタイムでイラストにより記録する技術「グラフィックレコーディング」を高校生の進路相談に活用するアプリです。

「驚き」「焦り」といった高校生の感情を表現したイラストや「教師」「看護師」などの職業のイラスト、高校生の前に分岐する道があるイラストやテンプレートが用意されています。記録役の人が、教員と生徒の話を聞きながら、これらのイラストを選んでいくと、面談内容がすぐに図になって可視化できます。

言葉ではなかなか伝わりにくい思いやニュアンスをイメージで共有できると、教員と生徒の間での誤解やすれ違いもさけられ、より円滑で充実した進路相談ができそうです。

『allertech(アレルテック)』(田近実理さん)はアレルギーの課題をデジタル技術で解決しようとクラウドとアプリの開発を提案しています。

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▲『allertech(アレルテック)』(田近実理さん)

開発のきっかけは、田近さん自身にアレルギーがあったこと。さまざまな理由で食べられないものがある人たちと、おいしい食事を提供したいが不安が残る飲食店、両者の課題に着目。テクノロジーで食の壁をなくそうと2つのサービスを考えました。一つは飲食店側がアレルゲン情報を管理できるクラウドサービス。もう一つは消費者がアレルゲン情報を確認できるアプリです。

「自分が困ったことを社会の課題としてとらえ、ICTを活用して解決するビジネスモデルを構築しようとした姿はデジタルハリウッド大学の学生の模範と言って過言ではない」とは、ゼミ担当教員からの評価。

そのほかVtuberになりきれる体験型アトラクション、RPGゲーム、電子書籍、Webメディアなどさまざまなデジタル技術を駆使した卒業制作がありました。

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▲『生きラクヨガ』(関本 真氣さん)

グラフィックコミュニケーションゼミでは、SNS連動で若い世代も対象とした「心を整える」ことができるヨガ情報サイト「生きラクヨガ」がのパネルが展示されていました。

前編では、最先端の技術を駆使した作品を中心に紹介してきました。一方で、多くのアナログ作品や研究・論文が展示されているのも、DHUの卒業制作展らしさ。

イベントレポート後編では「デジタル」以外の領域にチャレンジした作品と、コロナ禍における卒業制作への取り組みについてレポートします。

🌒後編につづく!🌘





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