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コミュラボ 第2回オフ会 - 乙武洋匡さん「義足プロジェクトの夢とコミュニティ」

”幹事力”のG2さんこと辻さんが主宰し、コミュニティ作りを学び、考えるコミュラボ。
2019年5月9日に開催された第2回オフ会のゲストは「生きるコミュニティメーカー」乙武さんでした!

今回は30分ほど遅刻してしまったので、途中からのレポートです。
乙武さんのトークは本当に明解で、誠実さとユーモアを感じさせるものでした。センシティブなキーワードもありましたが、うまく意図を伝えられていなかった場合、すべての文責は筆者にあるということをあらかじめお断りしておきます。m(_ _)m
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コミュニティの「安心安全」の作り方

乙武:
小学校の教員をしていて、きちんと叱るようにしていたのが、誰かが間違った時に笑うこと。
どうしてもクスクス笑いがでてしまうのはわかるんです。
だけど、笑われた子が普段、前に出て発言するような子でなかった場合、そこでへこんで二度と発言しなくなっちゃうんですよね。
普段から輪の中心に出てくる人は、へこむことがあっても、ほおっておいても自分で真ん中にまた出てくるんですけど。

それで輪の中心から離れたところにいるような人に、あえて話をしたりしてます。
懇親会の最初の挨拶も、そこで話してもらわなかったら、その後も発言しないんじゃないかというような人に頼んだり。。。

だから、逆に普段、輪の真ん中にいるような人にとっては、僕のコミュニティは居心地が悪いコミュニティかもしれない(笑)

G2:
自分の考えを否定されない安心感は、コミュニティでは大事ですよね。

乙武:
グリーンバンド新宿の代表を務めてるんですけど、ここに参加してくれている人の半数くらいは発達障害やうつを抱えた人たちです。
会社にはなかなか行けないんだけど、グリーンバンドの活動には来れる。
事前に出欠を取っていないから、行っても良いし、行かなくても良いというゆるさが良いみたいです。

参加者にはホームレスの方もいるんですけど、彼らは普段、人に助けられてばかりという負い目をもってしまっている。
だけど、人の役に立ちたいという思いはあって、「ゴミ拾いならできる」ということで来てくれた。
そもそもリーダーがゴミすら拾えないですからね(笑)

障碍者=弱者?

障碍者は、”今のところ”弱者になってしまう。
それはその特徴が社会的不利益に直結してしまうから。

例えば、メガネがない時代と、簡単にしかもリーズナブルにメガネが手に入るようになった今の時代で、視力の悪い人の立場って変わっているはず。
昔だったら弱者だったかもしれないけど、今の時代は全く不利にならない。

だから弱者というよりは、「社会的不利」なんです。

僕の場合は、一人では服の脱ぎ着もできないし、トイレに行けないし、長時間一人でいることができない。
確かに不便ですよ。
だけど、それは何かしら他の人もありますよね。だからお互い様だと思ってます。

英国稲門会の集まりに参加した14人が一気にファンに

参加者:
ダメなところを見せることで親しみがわくということでしたけど、英国稲門会では14人の顔と名前を一気に覚えてもらったことでファンになったという英国稲門会の参加者の言葉とギャップがあるようです。
これは意図的に14人、覚えたんですか?

乙武:
英国稲門会自体、定期的な集まりがあるなかで、僕はイレギュラーなゲストとして参加したので緊張していたんですよ。
人の名前を覚えることについては、もともと人間に興味があるので、7:3くらいで覚えます。英国稲門会の時は、残りの3割は頑張って覚えました。
若干、学習障害があって耳からの情報はちょっと苦手なんですが、その分、視覚情報は強いので、名刺などがあれば覚えられるんです。なければ、漢字をきいて、頭の中で視覚情報化して覚えるようにしてますね。

G2:
乙武さん、名前を覚えただけでなくて、実はその翌日に全員に個別にメッセージを送ってきてくれたんですよ。あれは感激しましたね。。

義足プロジェクトについて

乙武さんが歩ければ他の歩けない人も希望が持てる、ということで始まったプロジェクトです。

乙武:
実はイギリスに行く前に一度会ったことがあるんです。それで、いつか義足をつけて歩いてみてほしい、という話はしてました。
僕も「ぜひ」とは答えていましたが、当初は完全に社交辞令ですよ。
僕は3歳から電動車いすの生活なので、今さら肉体改造してまで歩こうと思っていなかったので。。

それが、あらためて2018年になって、「歩けない人に希望を届けるために、最適な人は誰か?ということを考えて、乙武さんしかいないと思った」と言われました。

正直、あれだけ報道されて、人に嫌われて、もう人の役に立つことは無理と思っていた。
だから、人の役に立つチャンスと思って始めたのだけど・・・
甘かった。

僕はずっと座りっぱなしの生活をしているので、足の付け根が常に曲がった状態です。
横になった時も、背中を布団につけると腰から先、足の部分は浮いた状態になってます。体が完全にまっすぐにならないんです。
それで二足歩行しようとすると、だんだん体が前のめりになってきてしまって、バタッと倒れてしまう。

それに、実は足も無いように見えてるかもしれないですが、思ったより長くて、しかも左右で2~3cm長さが違います。
義足の長さで調節できそうなものですが、これが意外に難しくて、これだけ長さが違うと筋力の発達の仕方も違っているんです。
調べてもらったら、左はアスリート並みの筋力がついているのに、右は全く・・・細い筋肉しかついていなかった。

G2:
歩くためには相当な努力が必要になりそうですが、それでもこのプロジェクトに取り組む理由は何ですか?

乙武:
見栄。(即答)

教員になった時も、僕が教員を務めることを、あまり良く言わない人たちもいた。
辞めたいと思ったこともあるけど、教員になる時に大々的に報道に出ちゃってますからね。
契約の3年間は何としても続けようと思ったし、おかげで良い経験になった。
父親譲りなのだと思うんですけど、結構、虚栄心が強くて、モチベーションのうちの何パーセントかは見栄です。

障碍者って、何をやっても褒められるんですよ。ほんと、なにをやっても。
例えば、今、ペットボトルにストロー挿して飲みやすくしてもらっているんですけど・・・

(乙武さん、口でストローを引き抜いてしまい、くわえてペットボトルを持ち上げる。
 左腕でバランスとりつつ、一口飲んで元に戻す。
 参加者、驚き・・・)

これ、ペットボトルから直接水を飲むという、皆さんと同じことしてるだけなんですけど。

障碍者が褒められるというのは、「何もできないでしょ」という前提があるからなんですよね。

そういうことに小学生の時に気づいて、残した結果で評価されたいと思って努力するようになった。
字もそうだし、勉強もそう。モテるにはどうしたらよいか、とかも・・・
まあ、モテすぎると怒られるのは、最近学びましたが(笑)

ともかく自分でなければできないと考えられることはやり切ろうと考えた。

義足プロジェクト:クラウドファンディングの成功

乙武:
これは西野亮廣が天才だったから!

僕のマネージャーが西野亮廣さんの番組に出て、あろうことか「乙武をどうマネージメントしていけばいいいか、わからなくなりました」という相談をした。

参考)詳細は「義足プロジェクト」のご本人ブログを!

そこでもらったアイディアがクラウドファンディング。

正直、クラウドファンディングをやると、「結局、金儲けかよ?」みたいなことを言われてプロジェクトにケチがついてしまうんじゃないかと悩んだ。
だけど、NPO法人の友人たちがいう、クラウドファンディングを通じて活動を知ってもらえるのが1番の価値だという言葉を思い出して、やることに決めた。

義足プロジェクトの次なるステップ

乙武:
義手がつきます!
何かを掴んだりするためではなくて、歩くときにバランスを取れるようにするためのものです。

それに東京オリンピックの聖火ランナーになりたい。
義足、義手のお披露目する機会になるので。

ただ、どうも聖火ランナーにもルールがあるらしくて、200m歩けないといけないらしいです。
今、義足をつけて1年間でようやく10mなので、200mを後1年では難しい。
過去には途中まで車椅子で行って残りを歩いた人もいるみたいなので、それが許されるなら、やりたいです。

番外:参加者QA「どうしたらモテますか?」
乙武:
小学校の教員をしていたとき、バレンタインのチョコレート禁止の話があった。
理由は「もらえない子が傷つくから」。傷ついて、そこから気づく機会を奪ってどうする!

一人一人素材が違うから、傷ついて得た気づきをきっかけに自分の売りを磨くようになる。
しゃべりだって、聞き上手だとか、1対多、1対1の会話とか、色んな人とタイプがあるから、できることを探して磨くのが大事。

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