「観念論的傾向」のこと―日曜日のおしゃべり18週目

今週、「あること」に気がついたんです。

数学って、苦手な人は苦手だと思うんです。それも、すごく苦手だっていう人が、いるだろうって思うんです。

世の中の人を、数学が苦手か、べつにそうでもないかで二つに分けるとしたら、それぞれみんな「自分はどっちだろうなぁ」っていうの、あると思うんです。

で、ですね。唐突になんなんですけど。

今週、僕が思い浮かんだのは、世の中には……

「観念論的傾向をもつ人と、そんなものもたない人」

っていうのがいるんじゃないか!?

って、思ったんですよね。というか、確実にそれってある気がする、って思ったんです。

そういうことがあるとしたら、さて、僕はどっちなのかっていうと、まあきっと「観念論的傾向をもつ人」なんです。

でも、僕の予想では、世の中の人の大半――少なく見積もっても9割以上の人――は、あんまり観念論的傾向なんて、もってないだろうって思うんです。

たまたま、この文章をここまで読んでくれた人がいたら、ちょっと考えてみて欲しいんですけど、「あなたは観念論的傾向をもつ人ですか?」っていうことなんですけど、どうでしょうか?

と書いたけど、「観念論的傾向」が何か分からないですよね。それはそうで、ここまで一度も、それが何のことか説明してませんから。

でもですね。

何も説明してないけど、自身、観念論的傾向をもっているっていう人は、「あ、自分もそれだ」って思っているんじゃないかなって、ちょっと思うんです。

ここまで読んで、何が書いてあるかぜんぜん分からないっていう人とか、冒頭読みはじめたけどこの文まで辿り着けなかったという人(は、この文を読んでないわけですけど)は、おそらく――幸福なことに!――観念論的傾向をあんまりもってない人だろうって、思います。

いつまでも定義しないで観念論的傾向って言い続けるんですけど。

観念論的傾向をもつ人は観念論的発想をするし、観念論的発言をするし、観念論的好みを持っていたりするんですけど、そういうものをもたない人は、観念論的傾向をもつ人が考えそうなことを考えないし、観念論的傾向をもつ人が言いそうなことを言わないし、観念論的傾向をもつ人が好むことを好んだりしないんです。きっと。

このことをつづめて言うと、観念論的傾向をもつ人ともたない人は「世界観が違う」。「住んでいる世界が違う」って言ってもいいかもしれない。

そのくらい、観念論的傾向をもっているかそうでもないかっていうのは、その人の価値観(何を好むか)とか日常の振る舞いとかに、かなりはっきりとあらわれているんじゃないかなって、思うんです。

ここまでの話を整理すると。

観念論的傾向というものがあると考えます。

そして、それぞれの人は、観念論的傾向をもっていたり、そういうのをあまりもっていなかったりするとします。

さらに、観念論的傾向ってあまりもってないという人がほとんどで、観念論的傾向をもつ人は少数だろうって、僕は予想しているんです。

で、僕はどうも、観念論的傾向をもつ人らしいんです。

こういうことをですね、ただ分かったっていうんではなくて、かなり腑に落ちて分かった――と感じた――んです。

でも、「分かった」って言い方は正しくなくて、ただこの考え方が「僕を納得させた」というだけなんですけど、こんな風に「分かった」と「納得する」を分けて考えようとするところなんかが、僕が観念論的傾向をもつ人である徴候だろうって思うんですけど、それはさておき。

ここまでの話はじつは導入に過ぎなくて、こういう風に考えることで、いままでよく見えていなかったある景色が見えてきていて、その景色の話をしたいなぁって思っているんです。

でもきっと、観念論的傾向をもたない人は、ここまでの話でもうすでについてきてくれてないだろうって思うんです。

観念論的傾向をもっている僕が感じていることとか、その僕が言いたいこと(伝えたいこと)って、本当は誰に聞いて欲しいかっていうと、観念論的傾向をもってない人になんです。

なぜかっていうと、僕と同じように観念論的傾向をもっている人は、僕からそんなこと聞かなくっても、もうすでにそのことを知っているから、です。僕から伝えるまでもない。

つまりこういうことになってます。

僕の伝えたいことって、聞いてくれる人には言うまでもないことで、聞いてくれない人は聞いてくれないので、結果、どこにも宛先がない、んです。

届いて欲しいところには届かないっていうように、できている。

なかなかせつない話なんですけど、これってよくあるやつですよね。あらゆるマイノリティ問題が、こういう構造なんだろうと思う。

ちょっと脱線しちゃったけど、「観念論的傾向」という概念を導入することで見えてきた景色の話を、したいんです。

誰か聞いて!

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