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古本屋をやっていて一番楽しい時:もっと他愛ないハナシ(その19)

古本屋の業者の市で本を買う時って、本1冊をいくらで仕入れるか、という買い方をしているわけではなくて(そういう場合もありますけど)、数十冊とか百何十冊とか何百冊とか、そういう単位の「たばで」買うっていうことが、ほとんどなんです。

そうするとですね、自分で買った「束」であるにも関わらず、必ずしもその「束」の中に含まれている本の全部を、買った時点で把握しているとは、限らないわけなんです。

ある本の束を買いました、と。
それをまあ倉庫やなんかに持って行って、束を崩して、一冊一冊チェックしていくことになるんですけど……。

古本屋やっていて一番楽しいのは、この時かもしれないんです。
古本屋さんみんなそうというわけではないと思いますけど、僕は、この時がすごく楽しいんです。

例えば、文庫の束を、10本とか買ったとします。
そうすると、おおよそ250から300冊くらいの文庫を買った、っていうわけなんです。

その束を崩して、一冊ずつ見ていくとですね、「わ! この本も入ってたのか!」「この本も!」「あ! こんなのもあった!」って、買った時点で把握してなかった本が、けっこうワラワラ出てくるんです。

普通本を買うっていうのは、「これが欲しい」と思ってそれを買うわけですよね。それを買っても、他の本はタダではついてこないじゃないですか。当たり前ですけど。

それが、「束で」買った時ってどういう感じかっていうと、もちろん「この束のこの辺の本が欲しいからこの束買おう」と思って買うんですね。そうするとですよ、「この辺の本」が買えたっていうだけで、十分満足しているところにプラスしてです、「あの本」も「その本」もタダで付いてきた!!! って感じなんです。

まあ、タダじゃあないんですけど。

これが楽しいとか嬉しいっていう感じって、伝わりますかね?

ただこれっていうのは、「買う前によく見ておきましょうね」っていう話かもしれません。

粗忽ですみません。

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