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決断保留力を身に着ける

 「決断力」といえば、皆さんだいたい肯定的な文脈で耳にする言葉だと思います。
 しかし今回扱うのはそっちでなくて、「決断保留力」です。何ですかそれ? と思う方もいるかもしれませんね。
 まずこの言葉の定義からしてみましょうか。

 決断保留力とは、ある情報を目にしたり耳にした時に即決即断で判定を下さずに耐え、自分の立場を即座に表明しない力のことです。
 人間はわりと自分の意志で決断し、即判断を下して意見することに快感を覚えてしまうものらしく、決断保留の訓練をしていない人間はすぐに即決即断してしまう…… と師に聞いたものです。

 例えば、AさんがBさんの罪を告発する現場を見たとします。
 決断保留力を身に着けていない方は、ここで「Bさんは許せない!」や「Aさんは嘘をついている!」と思って、すぐに意見を表明してしまうのだそうです。しかし、こうした意見表明は常に、後から判明した情報により明確な誤りとなってしまう危険性があります。
 なぜかというと、これは単に個人の主観に基づく情報だからです。客観的な証拠は何もないわけですね。

 リスクを負ってまで誤る可能性がある情報を発信するリスクは以上の通りですが、メリットはどうでしょう。全然無かったりしませんか?
 衝撃的な情報に即決即断で反応するのは、実はメリットなく、リスクが大きい場合がほとんどなのです。
 即決即断の快感を自覚し、決断に足る材料を自ら調べてから意見を表明していきたいですね。

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