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2021年大相撲名古屋場所寺沢さんまとめ

(しゃしん 8日目:対平戸海)

気の触れた長文第3弾。斯様な文章を書き始めて3場所目である。先場所後に書いたこの文章の中に「来場所は幕下上位5枚目前後への位置づけが見込まれる」と書いたが、この「前後」というワードがご本人よりも更に曲者であることに、場所を通じて気付かされる15日間であった。

6月21日、ご本人の誕生日前日に発表された番付の位置づけが、いまとなっては全てだったということなのか。…というあたりのことは、前の記事に書いたが、裏を返せば、ここまで1枚の番付の違いが如実に現れるような成績をあげたことがすごかったんだろうともいう。

わたしはかなり往生際が悪いのだと思いながら、なんとか今場所については、番付編成会議の前にこれを書ききりたいなと思って、急にエンジンがかかった。それにしても、6勝1敗はすごいなあ。1枚上の村田さんと揃って6勝1敗はすごいなあ。村田さんおめでとうございます。これは確実に言って良い。脳内で四股名大喜利を繰り返す。

無事に次の場所を迎えて、次の場所を勝ち越せるように。今思うのはそればかりである。

1(2日目=7/5)○千代鳳(1-0)

今場所も描き始めていた。3場所続いて割は初日に組まれなかった。今場所は特に、初日の取組を見ながら、体が必要以上に疼いたものだった。

同じ6枚目の時栄と当たるのではないかと心の準備(?)をしていたが、千代の海休場があって若干ズレ…て千代鳳だとぉ!!!いくら先場所肩が宜しくなくて調子が上がらず休場からの幕下落ちとはいえ、体の大きな三役経験者である。どんな相撲になるだろうか、これ勝てたら乗れるだろうかなどと思っていた。おそらく、あとになって振り返ったら、これがいちばん会心だったんじゃないかというような、一気の押しだった。何度かぶるんぶるんとうなずいていたときに、髷が意志を持っているかのように揺れたのがとても印象深かった。勝ち名乗りを受けて膝パーン。

2(4日目=7/7)●時栄(1-1)

そして初日に勝った時栄と、1勝同士で2番相撲が組まれた。七夕である。

まだ力が入りすぎててペンが思うに任せなかったなあ(ずっとではないかというツッコミは措く)

この一番については、過日、気の触れた長文を書いたので、リンクを張っておくに留める。時栄が勝ち越せないとは思いもよらなかった。何にせよ、この組み合わせが、またどこかで見たい一番であることにはかわりはない。

さらにもう1枚描いていたのね…そして、捨て身の外掛けとかあったなあとか思い出したりした。

3(6日目=7/9)○海龍(2-1)

海龍といえば幕下上位のヌシのひとりである。見る度にたのしみに見ている。実は初めての対戦である。

ビリリダマはこのタイミングで今場所の変化ボールを遣ったのね。すごい高速変化だった。そういう、執念深さが欲しいときに遣ってくる感覚はある。いいともわるいとも思わず、それもひとつの味なのだとは今は思っている。

↑ちょっと似てる(ぇ

4(8日目=7/11)○平戸海(3-1)

ここまで偶数班継続中。7-8日目は現地。7日目の席は、西の花道がよく見える場所だったので、ああここで見られたら良かったのかもと思ったものだった。なお、8日目、何を思ったのか(正面だとばかり思っていた。わたしの記憶も怪しいものである)、発券してみると東だった。そしてこの日に限って東方からの登場。なんで。

2日目に平戸海に勝った村田パイセンと対戦相手の交換(違)。それはこの相撲限りであり、その後相星になった相手を村田パイセンが先に当たってなぎ倒していったので、これ以降は番付の下の相手が続いていた、ということになる。それにしても出先の色塗り難しいなあ(絵の具のチョイスも筆のチョイスも)。

この相撲は面白かった。ケレン味ということばについて、深く考えた。繰り返し繰り返し見てみたい対戦だ(と書くと来場所早めに当たりそう)。追い書きしてみたくもある。

勝った瞬間の表情がとても印象に残った。この日ばかりではなく、この場所を通して見られた、とても気合の入った表情だった。

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5(10日目=7/13)○琴裕将(4-1)

先場所も当たった。先場所は激しい相撲で物言いがついた。あの十両土俵入りの各力士におじぎをしていた日である。今場所は番付が上がって、十両土俵入りは、ただただ緊張しながらその先を思う時間になってるなあとも思う。

なんかこんな、目が逆三角形になったのを描きたくて。

今場所も激しい対戦だった。立合いから押し込んだがそこから琴裕将逆転、土俵際に追い詰められた寺沢がヒップアタック()で振り切った。これで勝ち越し。まずひと心地。だが、だんだんと、この位置では勝ってもその上がないことを識り始めた。自分がしばらく相撲を見ていない間に、幕下5枚目と6枚目との間には、想像し得ない結界が出来ていたのだと。それでも1つでも多く、積み重ねられればとは思った。

やっぱり描いたヒップアタック↓

6(12日目=7/15)○湘南乃海(5-1)

この対戦が初めてというのは若干意外だった。ご本人が変化するのと同じくらいの比率で、背中を描いてみたくなるのだ。

立合いさっと右に変化して相手の力を散らしてから一気に押し切った。こういう相撲は好き嫌いが分かれるなあという感覚はわたしの中にもある。その後の会見のコメントで、上手を取ろうとしてたというのがわかって、ちょっとびっくりしたのだった。「○○しようとしたけど、出来なくて、切り替えて」というのはあの優勝インタビュー時の構文じゃないかと。その思い切りと切り替えてるとわからない速さはなんなのだろうか。最近の口癖に近いかもしれない「寺沢とは一体」

落ち着いたらリモート会見7日分の映像を振り返りたい気分は多々ある。先場所よりも、さらに難易度が高い(なんの)。

7(千秋楽=7/18)○つる林(6-1)

いわゆる十両幕下間の入れ替え戦が進む中、7番目だけは偶数班を卒業し、千秋楽に割が組まれた。この日初めて大銀杏を結う、村田パイセンの前に登場する、幕下上位のトリである。

対戦するつる林とは、3月に対戦している。このときは敗れている。一縷の…を試すのだとすれば、村田(千秋楽の結果によらずほぼ確定とされていた)とは合星なのだから、対戦相手を入れ替えればいい話であって、そうはならなかったのだから、そういうことなのだと理解した。ならば、揃って6勝だ。

今場所描く絵はどこか硬かった感じがしてて、最後の一番に向けては、なんとなく、柔らかい感じにしたいなと思った。目に力が入るのは致し方ない。

上手くは言えんがこの7番相撲、この場所を総括するような、「らしさ」てんこ盛りの相撲になった感がある。恐ろしく余韻が残る。やはり背中で相手をかわし、勝負がつくやいなや、ぴょんぴょんぴょーんとうさぎさんのごとく土俵の外に飛んでいき、高速勝ち名乗りを受けて膝パーンしたと思ったら、小走りで花道をあとにした。その小走りと、次に出て来た村田のかっこいい内無双と、リプレイを見ながらバックに流れる呼出し邦夫の呼び上げとのハーモニーが忘れられない千秋楽、になった。

来場所はかなり番付が上がる。無事に迎えられて、結果を残して上がれるように。今のところそう願うところまでである。まさかねえとか、ひょっとしたらとか、そういうことばを必死で抑える呪文を唱えつつ、ギリギリその前に文章を書き終えた。ほんとうにたのしい場所だった。結界のことを考えると、考える度にどよんとしたけれども。勝ってるのに。だけど。

きょう書き上げるために割愛したところは少なくない。もしかするともう一丁があるかもしれない。そういえば今場所物言いがなかったなあ。

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