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厨房衛生管理の3つのポイント 
その1 一般衛生管理
 ・・・建物設備や、作業環境・機器に関する衛生管理ポイント
その2 個人衛生管理
 ・・・人に関する衛生ポイント
その3 食品管理
 ・・・使用する原材料に関する衛生ポイント
以上のように大きく3つに分けて、衛生管理を考えます。

その1 一般衛生管理

今回は、一般衛生管理に関して、厨房全体の衛生管理を守るため(人と食材以外)の衛生管理を例を元に考えます。 

例1) 厨房の建物自体の、空調管理が不十分である。
結果)厨房温度が上昇してしまい、食品の劣化(菌の増殖)が早い。厨房温度が上がりすぎるので、暑さで窓を開けてしまって有害昆虫などが入ってくる。労働者の体調管理が難しく、注意散漫になり食品事故を誘発する。
解決策)厨房の空調設備や加熱機器(低排熱タイプなどへ)の見直し。

例2) 清潔に保ちやすいステンレス作業台が準備されているが、清掃ルールが曖昧である。
結果)作業台で鶏肉をカットした後に作業台の十分な洗浄や殺菌を行わないままサラダをカットしてしまったことにより、食中毒が発生した。
解決策)洗浄殺菌マニュアルの策定と現場での徹底。

例1では、設備自体の整備が十分でないことによる弊害の一例で、例2に関しては、設備(物)は十分整備されているのに、使い方教育が十分でなかった時の事例です。一般衛生管理を考える際には、物(ハード)と使い方(ソフト)に別けて、考えると混乱を起こしません。

保健所の検査で営業許可を取得する際に、検査を受ける内容は、基本的には設備基準で、食品衛生を守れる要件を指導されます。 *注1

保健所の検査には最低限度クリアするようにすることと、更に各店舗にて必要に応じて働く人が一般衛生管理を行いやすい厨房を整備する必要があります。反面、現実では厨房面積や初期費用に限界がありますので、設備が完璧でなければ、一般衛生管理ができないわけでもありません。

「ウチでは設備が古いし十分でないから衛生管理はできない」という声を聞くこともありますが、最低限度の厨房であっても、その運用を工夫することで、衛生管理を守ることはできます。

その第一歩としては、清掃や機器メンテナンス頻度をルール決めしてカレンダーに書き込む、そしてその掃除方法を簡単でもいいから文章化する。(もしくはメーカーからもらえるメンテナンス清掃マニュアルでもO K)

このように、厨房全体のどこをどの頻度で清掃する、そしてその際にはどのように清掃するかのルールを決めることが大切です。最初は手間がかかると思うかも知れませんが、ぜひできる事から順に取り組んで行きませんか。

日常的な作業で行う衛生管理も、もう一度それぞれの調理器具や機器を洗浄・殺菌する際のルール決めをしておくと、安心した厨房管理ができますし、スタッフの教育にも有効なツールになります。

具体的な事例や方法などは、また改めてご案内していきます。

*注1この検査に関しては、これまで曖昧な基準で進められてきたために、検査にきた担当者の主観や経験だけで可否を伝えられることも多かったのですが、2020年の食品衛生法一部改定により改善されます。

第二十四条第二項第三号中「当該都道府県等と隣接する都道府県等その他関係行政機関との連携」を「 監視指導の実施に当たつての国、他の都道府県等その他関係機関との連携協力」に改める。

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