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愛知大学野球連盟 秋季リーグ戦 ~個人的展望~


1.はじめに

 こんにちは。久しぶりのnote投稿となります。今シーズンは現地観戦が多いシーズンとなっており、特に8月までは週末の遠征が続いていたので、こうした執筆活動が疎かになっていました。大変申し訳ございません。
 今回は私が愛してやまない愛知大学野球連盟の秋季リーグ戦が9月7日から始まるということで、私なりにこの秋の愛大連の注目ポイントや注目選手等を紹介出来たらと思っています。どうぞお付き合いをお願いします。

2.春季リーグ戦の振り返り

24年度春季リーグ戦 1部最終順位表

 春季リーグ戦は中京大学から始まり中京大学で終わったと言っても過言ではないシーズンでした。その中心に居たのは間違いなく髙木快大投手(③ 栄徳)でしょう。
 開幕戦の中京大学vs名城大学の一戦、中京大学の先発が髙木投手で名城大学の先発は岩井天斗投手(④ 享栄)でした。両者とも素晴らしい立ち上がりでスコアボードに0を並べる投手戦でしたが、8回に均衡が破られ中京大学が1点先制。髙木投手は初回から1人も塁に出さないパーフェクト投球を見せており、最終回も名城大学の代打攻勢に対して力でねじ伏せ見事完全試合を達成。

愛大連59年ぶりの完全試合を達成した中京大学の髙木快大投手

 愛知大学野球連盟1部では59年ぶりの完全試合達成がまさかの春季リーグ戦開幕戦という大偉業、そして髙木投手は94球のマダックスでのパーフェクトゲーム達成という超離れ業をやってのけました。 
 髙木投手のパーフェクトがチームに勢いをもたらせたのか、続く試合も勝利昨秋のチャンピオンの名城大学から勝ち点を取ると続く愛知学院大学戦では貧打に悩まされ勝ち点を落としたものの翌週の愛知東邦大学戦では勝ち点を獲得、ドラフト1位候補の呼び声高い愛知工業大学の中村優斗投手(④ 諫早農業)と髙木投手の投げ合いを制しここでも勝ち点を獲得し、最終節では勝ち点3同士で並ぶ中部大学との優勝を決めるカードを1勝1敗とし最終戦を迎えました。 
 中京大学先発の安藤利玖投手(④ 安城南)が5回無失点の好投、安藤投手の好投に打線が応え3番の秋山俊選手(③ 仙台育英)の2点タイムリーで先制。6回からは髙木投手が登板し、中部大学の4番清水智裕選手(④ 大垣日大)から手痛い一発を浴びるも後続をしっかり抑えて、最後は3者凡退でゲームセット。優勝決定戦を制した中京大学が6年ぶりの優勝を達成しました。

中京大学が6年ぶりの優勝を達成

 優勝を達成した中京大学は6月10日から開催された第73回全日本大学野球選手権大会に出場し、見事2勝を挙げてベスト8に進出しました。準々決勝では優勝した青山学院大学を最後の最後まで追い詰めました。5回終了時には1点リードしていたこともあり、絶対王者に勝てるんじゃないかと期待が膨らんだ試合でした。
 この試合を経て中京大学は全国でもしっかりと戦えるチームであることが証明され、その中京大学とリーグ戦でしのぎを削った各大学も同様に全国に出場しても恥ずかしくないくらいの実力が既にあるのだと思いました。

大学選手権では2勝を挙げた中京大学 愛大連のレベルの高さを証明した

 また大学選手権後には大学日本代表の選考があり、愛大連からは愛知工業大学の中村優斗投手と中京大学の髙木快大投手が参加し、2人とも見事に代表選出されたこともビックトピックの1つだったのかと思います。国際試合の直前に行われた社会人U-23との強化試合では先発投手に髙木投手、クローザーに中村投手の布陣で挑むなど2人は代表投手陣の中でも軸となる投手として起用されていました。 
 実際の国際試合でも2人の活躍は目覚ましく、髙木投手はプラハ・ハーレム共に勝利投手となり、特にハーレムの準決勝チャイニーズ・タイペイ戦では1安打完封の快挙を達成しました。 
 中村投手もプラハではクローザーとして2セーブ、ハーレムでは決勝の先発を任されるなどチーム内で重要な役所を任されました。 
 準決勝・決勝と愛知大学野球連盟の選手が先発するというのは過去の愛大連の歴史を振り返っても無いような凄い出来事だと思います。投手陣のレベルは愛知大学野球連盟が1番なんじゃないか、そう思わせる大学選手権と国際試合の内容でした。

愛大連から大学日本代表に選出された2人のエース

3.各大学の秋季リーグ展望

 春は愛大連の活躍が目立った影響もあり、毎年夏場に開催される高校日本代表U-18の壮行試合にて大学日本代表の先発投手に愛知工業大学の中村優斗投手が選ばれるなどここまで非常にいい流れが来た状態で秋のリーグ戦を迎えます。
 春秋連覇を目指す中京大学か、連覇を阻む他大学か、1部に殴り込みを仕掛ける東海学園大学か。夏季のオープン戦の様子などを踏まえながら各大学の注目ポイントとイチオシ選手を紹介していきたいと思います。

3-1 中京大学

 春の王者である中京大学ですが、秋は春以上にチームとして成熟度が増しており優勝候補筆頭だと思われます。
 春は大黒柱の髙木快大投手が獅子奮迅の活躍を見せましたが、彼は大学選手権・大学日本代表と6・7月もフル稼働だった影響がこの秋出ないとは言い切れないと思います。それでも中京大学には学生コーチから転向し春はリーグ戦3勝、大学選手権の中部学院大学戦で完封勝利を挙げる大活躍を見せた安藤利玖投手、大学選手権の最後に登板した未完の大器・沢田涼太投手(③ 享栄)と豊富な投手陣を擁するため、彼らのリカバーが秋の中京大学の行方を左右すると言っても過言ではありません。

大学選手権完封の安藤投手と大型左腕の沢田投手

 そこで私が注目する選手は大矢琉晟投手(③ 中京大中京)です。大矢投手は中京大中京高校時代から有名な投手でありましたが、当時は畔柳享丞投手(現北海道日本ハム)がエースとして君臨しており、大矢投手は背番号10を背負いながら最後の夏は登板機会が少なかった投手でした。 
 中京大学に進学後も2年までは公式戦での登板機会は無く、3年に進級し春のリーグ戦でようやく大学デビューを果たすも春は2試合3イニングの登板に終わりました。 
 私が観戦した日本大学とのオープン戦では上記の大矢投手が先発だったので、あの中京大中京の大矢が!?というリアクションで試合を観戦していましたが、日大の先頭打者に投じたストレートが149キロを計測して一気に背筋を伸ばして見るようにしました。それくらい衝撃を与えた1球でした。
 この日の大矢投手は3イニングを投げ被安打3無失点奪三振4個の好投を見せ、最速149キロを複数回記録しました。大矢投手はこの試合以外にもオープン戦で先発する機会を与えてもらっており、今の調子なら髙木投手の次の投手は大矢投手なのではないかというくらいの信頼度はあると思います。
 大学のリーグ戦における2戦目の重要性というのは近年高まっている傾向にあると思われ、そこに大矢投手がハマるような展開になれば中京大学の連覇というものが見えてくると思います。秋の大矢投手に期待しています。

ここにきて急浮上してきた大矢投手 秋の快投を期待

 野手は1番加藤麗桜選手(③ 新潟明訓)から始まり抜け目のない打線が持ち味の中京大学ですが、この秋から主将の桑原大紀選手がセカンドからファーストへコンバートすることが濃厚であり、春は主に指名打者だったルーキーの鈴木湧陽選手(① 松商学園)がセカンドに入る新しい布陣となりそうです。
 そこでファーストから指名打者に回ることが想定されるのが主砲の川瀬譲二選手(③ 藤枝明誠)です。川瀬選手は春のリーグ戦では愛知工業大学の中村優斗投手からホームランを放ち、大学選手権の中部学院大学戦では値千金の3ランホームランを放ってチームのベスト8入りをアシストしました。
 その長打力は健在で、夏のオープン戦でも日本大学相手に先制ホームランを放つなどチームで1番長打だ期待出来る選手としてこの秋も非常に注目されます。この秋は何本のアーチを描けるか、川瀬選手に注目です。

 また中京大学と言えばこの人を忘れてはいけません。主砲の秋山俊選手です。春はシーズンを通して調子が上がる様子が無く、本来の秋山選手の面影はなかなか見られませんでした。それでも優勝決定戦では値千金の先制タイムリーを放つなど相変わらずの勝負強さを見せており、秋山選手は中京大学にとって中心人物なんだなと改めて実感しました。
 夏のオープン戦でも日大相手にタイムリーを放つなど秋に向けて準備は整っていると思われます。
 3番センターのポジションは余程のことが無い限り秋山選手で固定するんだろうなと予想していますが、打線の調子を見て1番に据えても面白いと思う打者だと思います。
 3年生が主体の中京大学にあって投手陣は髙木投手が、野手陣は秋山選手が引っ張っていくチームだと思うので、この秋の秋山選手の活躍に期待大です。

打のキーマンは間違いなく秋山選手 秋の活躍に期待

3-2 中部大学

 春のリーグ戦は序盤6連勝で早々に勝ち点3を獲得するも、5月に入り失速し最後は中京大学との優勝決定戦に敗れて2年連続の大学選手権行きを逃した中部大学。
 その優勝決定戦の試合中に主砲の清水智裕選手が手の部分を負傷し、2週間後の閉会式では包帯を巻いて出席している姿がインスタグラムで目撃されているなど負傷した影響もあり6月の日本代表合宿に清水選手の参加はありませんでした。しかし昨年12月に行われた代表合宿の紅白戦では関西大学の金丸夢斗投手(④ 神港橘)からタイムリーツーベースを放ち、代表監督の堀井哲也監督(現慶応義塾大学監督)にアピールしてたこともあり、6月の合宿の時には清水選手不参加について堀井監督からコメントが出るなど恐らく期待値は高かったと思われるだけに、残念な怪我となってしまいました。

 気になるのはその経過状況ですが、現在も完治したとは言えない状況ではないかと思われます。というのも8月中旬に行われた中日ドラゴンズ2軍と愛知大学野球連盟の選抜チームのオープン戦にて清水選手も出場していましたが、4番指名打者での出場で捕手として1イニングも守ってなかったのです。
 おそらく打撃が出来るまで回復しているものの、捕手としてのキャッチングがまだ厳しい状況なのではないかと思われます。(清水選手の負傷箇所は左手首周辺)
 清水選手という中部大学にとっての大黒柱の存在が揺れ動くとなるとチームとしても少し心配になります。清水選手がどのタイミングで捕手復帰するのかが個人的な中部大学の秋の注目ポイントだと思います。
(ドラゴンズ2軍のオープン戦は無観客だった為、スポーツライターのコウさんの記事を参照にしています、リンクは下記より)

 そこで清水選手の代わりに個人的に注目している選手は薬師寺颯樹選手(② 光泉カトリック)です。基本的にマスクを被りほぼフル出場していた清水選手ということもあって控え捕手の経験値があまりない中、この薬師寺選手はB戦を中心にマスクを被り出場していました。
 この春のリーグ戦では出番が無かったものの、春の愛大連新人戦では薬師寺選手が中心となって中部大学は新人戦優勝を果たしています。そして1・2年生を中心とした愛大連×関西六大学の交流試合では愛大連選抜チームの主将を務めスタメンマスクを被るなど日々経験値を高めている捕手です。
 この試合では愛大連の誇る下級生の好投手をリードして薬師寺選手がマスクを被っていた5イニングを無失点に抑えており、この日の愛大連選抜の監督を務めた中部大学の堀田崇夫監督からの信頼度も増していると思われ、この秋は薬師寺選手の躍動に期待したいと思います。

 投手陣の軸は津波英太郎投手(② 四日市中央工業)だと思います。津波投手は1年の春からリーグ戦で登板しており、昨年春の中部大学の優勝をアシストした1人です。大学選手権1回戦の九州産業大学戦ではクローザーとして登板し最後をピシャリと抑える衝撃デビューを飾り、秋には先発に挑戦し愛知工業大学の中村優斗投手と延長戦に投入する大投手戦を繰り広げるなど、1年生の1年間はとてもセンセーショナルな1年でした。
 今年の春は開幕投手を任され早々に3勝を挙げるなど好スタートを切りましたが、途中から失速し最後の中京大学との節は1戦目を任せてもらえませんでした。それでも2戦目で完投勝利するなどポテンシャルはチーム1だと思います。
 春のオープン戦では最速151キロを計測するなど留まるところを知らない成長度で進化していた津波投手でしたが、リーグ戦では140キロ前半という日もあるくらい少し崩れていた印象を受けました。しかし先日の関西六大学との交流試合では2イニングを投げて無失点、ガンの調子が悪く表示がイマイチでしたが140後半の勢いを感じる速球を投げていたので、秋のリーグ戦では問題ないでしょうといった内容でした。
 津波投手の出来が中部大学の秋を左右すると言っても過言ではありません、特に初戦から愛知工業大学とのマッチアップということで相手は中村優斗投手が予想されます。春と同様中村投手に勝ち勢いに乗れると中部大学の優勝も見えてくると思います。

中部大学の絶対的エースにこの秋なれるか 津波投手に期待

3-3 愛知学院大学

 春のリーグ戦では開幕戦から愛知工業大学の中村優斗投手に16奪三振完封負けを喰らって勝ち点を落とす所から始まった愛知学院大学でしたが、翌週の中京大学戦では前の週に完全試合を達成した髙木快大投手から延長タイブレークの末勝利すると、そこから勢いに乗り中京大・東邦大・中部大と連続で勝ち点を奪い最終節を迎えました。しかしここで名城大学に連敗して勝ち点を落とし優勝することはできませんでした。
 昨年1部に昇格し秋も健闘を繰り広げていた愛知学院大学でしたが、大黒柱だった池村健太郎投手(現トヨタ自動車)が卒業し少し投手陣を不安視する声があったリーグ戦前でしたが、新エースとなった河野優作投手(③ 創志学園)が大車輪の活躍。リーグ戦途中までミスターパーフェクトの中京大学・髙木快大投手とハイレベルな防御率1位争いを繰り広げるなど投げれば快投と言ったシーズンでした。(最終的には44イニングを投げて防御率1.02)
 そして河野投手から岡村洸太郎投手(② 創志学園)にスイッチするのが愛知学院大学の必勝リレーとなっており、創志学園リレーで何度も勝利に導いてきました。岡村投手が先発することは基本的に無く、初戦も2戦目もリリーフで登板しピシャリと抑えていくのでイニング自体は先発投手並みに投げており、春の愛大連防御率ランキングでは2位に河野投手がランクインする中岡村投手も3位に付けるなどこの2人で愛知学院大学を引っ張っていたと言っても過言ではありません。
 秋もこの2人のリレーが勝敗のカギを握ると思われます、そして河野投手・岡村投手に続く3枚目が出てきた時は愛知学院大学のターンになることでしょう。上位を倒す要素を持っている投手陣だと思います。

この秋も創志学園コンビの活躍が必須

 野手に目を通して見ても下級生を中心に良い選手が揃っています。特に3番の山田康介選手(② いなべ総合)と4番の福本一弥選手(② 広島新庄)の2年生コンビはこの秋も強烈なインパクトを残すと思われます。
 山田選手は開幕戦で愛知工業大学の中村優斗投手に2安打完封負けを喰らったチームの中で唯一の2安打を放った選手であり、1塁駆け抜けタイム3秒後半を記録する俊足の持ち主でもあります。
 開幕戦の2安打を皮切りに春のリーグ戦では18安打を放ち打率は.419を記録し春の首位打者を獲得しました。それによってリーグ戦初期では9番を打っていたものの最終的には上位打線を打つようになるなど、リーグ戦の中で成長も見られました。
 秋も上位打線を打つことが想定されますが、彼がチームを引っ張る姿が容易に想像が付きます。どんな活躍を見せてくれるか楽しみです。
 もう1人の2年生、福本選手は開幕戦こそノーヒットだったもののその翌日からヒットを量産し、こちらもリーグ戦14安打・打率.359の好成績を残しました。
 リーグ戦でホームランを打ってはいないためそこまでのインパクトは見られませんでしたが、先日の関西六大学との交流戦で4番を任された福本選手は2本のツーベースヒットを放ち、その中でも第3打席の逆方向のツーベースを見た時にこれは凄いなと思いました。自分の中で良いポイントで捉えられてるような打撃をしており、この形のままリーグ戦に突入すればかなりの数字が期待できるような内容の打球でした。
 リーグ戦の初本塁打と秋の首位打者が狙える選手の1人だと思って居ますので、秋の福本選手に期待大です。

3-4 名城大学

 春の名城大学はいきなり中京大学の髙木快大投手に完全試合を喰らうという恐らく名城大学野球部史上最悪のリーグ戦スタートだったと思われます。前年秋季優勝の立役者だった伊藤雄紀選手(現Honda鈴鹿)や河田隆博選手(現西濃運輸)が卒業して抜けて、オープン戦の頃から打撃が苦しいという前評判があった中での開幕戦での被完全試合ということで心が折れかけたのではないかと思います。
 中京大学戦に続き中部大学戦もストレート負けで勝ち点を落とし愛知工業大学戦でも初戦を落として開幕5連敗となって入れ替え戦が見えてきた時に愛工大戦2戦目でようやくリーグ戦の初勝利。続く3戦目で中村投手を打ち崩して勝ち点を取ると最終的にはリーグ戦6連勝でフィニッシュ。
 最後の東邦大戦では2試合で25点を奪う猛打を見せ、前半とは全く違った姿で最後リーグ戦を終えることになった名城大学にとって秋は開幕からスタートダッシュを仕掛けたいところであります。
 名城大学といえば同大OBの山内壮馬コーチ(元中日)が指導者として名城大学に戻ってきてから投手王国を形成しているイメージがあり、昨年も福岡ソフトバンク2位に岩井俊介投手、横浜DeNA2位に松本凌人投手の2人の支配下指名選手を輩出するなど、山内コーチの指導で多くの名投手が名城大学から育ちました。
 そして今年も152キロ右腕の岩井天斗投手(④ 享栄)がエースとして、ドラフト候補として最後のリーグ戦を迎えます。春は開幕戦で9回1失点完投、この日に自己最速の152キロを計測するなど調子の良かった岩井投手でしたが、相手の髙木投手が完全試合を達成したため悲運の敗戦投手となってしまいました。
 その後調子を崩したこともあり春は防御率3.77と低調に終わり、フォークを決め球にしながらも奪三振率6.67と少し物足りなさを感じました。最終節の東邦大戦では先発することなくリーグ戦を終えており、岩井投手の秋の逆襲に期待をしています。

名城のエースとしてラストイヤーの集大成を見せたい岩井投手

 そして岩井投手に続く投手として久保陸弥投手(② 静清)と天野京介投手(① 愛産大工業)が控えているのも名城大学の投手陣の層の厚さを物語っています。
 久保投手は1年生だった昨年からリーグ戦のマウンドを経験しており、春は主に2戦目の先発投手を任され5試合に先発し24イニングを投げて2勝を挙げました。しかしそんな久保投手は先日の関西六大学との交流試合で愛大連選抜に選ばれていたにも関わらずコンディション不良で辞退してしまいました。
 リーグ戦前のエキシビションということで大事を取ったのかもしれませんが、仮に久保投手が欠けた状態でリーグ戦に入ってしまうと名城大学としては苦しい船出になることが想定されます。
 そこで春のリーグ戦では主にリリーフ登板を重ね、えげつないボールを投げセンセーショナルに大学デビューを飾った天野投手が2戦目の先発に浮上してくるのではないかと思われます。
 1年生ながら度胸満点のボールを投げ込み22イニングを投げ防御率3.18の成績を挙げた天野投手。その後の新人戦でも桁の違いを見せつけるような圧巻の投球をみせていたので、同世代では既にトップランナーの立ち位置にいるのではないかと思います。
 そんな天野投手は8月末に行われた東邦ガスとのオープン戦に先発登板し5回を投げて被安打1奪三振6の無失点という快投を見せました。大学1年生の投手がオープン戦とはいえ都市対抗に出場したチームのベストメンバー相手に4回までパーフェクトの素晴らしい投球を見せるとは正直思いませんでした。これだけ投げれれば天野投手の先発プランというのはアリなような気がします。
 さらに名城大学の公式インスタグラムでは9月のオープン戦で久保投手が実戦復帰した様子を掲載していたこともあり、1戦目岩井投手・2戦目天野投手・リリーフ久保投手という布陣で開幕節は行くのではないかと想定されます。3人が揃うリーグ戦は非常に楽しみです。

下級生の2人が名城投手陣の底上げを図る

 一方で野手陣の方はオープン戦を見る限りでは春先同様苦しい船出になる予感がします。
 俊足の多和田尚旗選手(④ 県岐阜商)をトップに据え2番には春4番を打っていた朝岡慶選手(④ 東邦)を置く攻撃的なオーダーを組んでいましたが、東邦ガス投手陣相手に多和田選手のヒット1本に抑えられる完封負けを喫しました。
 春の打点王・山蔭一颯選手(③ 明徳義塾)も3番に入りながらなかなか調子が上がっていない状態だった為、少しリーグ戦に向けて不安が残る内容でした。
 そこで私が注目する選手は雄龍人志選手(② 倉敷商)です。雄龍選手は1年生だった昨年からリーグ戦に出場しており、愛工大の中村投手から大学初ヒットを記録するなどとても存在感のある選手でした。
 そして今年から背番号1に変更して期待されたシーズンでしたが、開幕スタメンには名前が無くリーグ戦も3試合の出場に留まり5打数ノーヒットでした。
 復活を期するため新人戦では従来の外野手から捕手にコンバートして出場しており、この秋から捕手・雄龍選手のオプションが解禁されるかもしれません。従来の正捕手であった谷太久郎選手(③ 日本福祉大付属)は春のリーグ戦成績が12打数1安打打率.083という厳しい数字が並んでおり、貧打に泣く名城打線のテコ入れの起爆剤として捕手・雄龍選手のオプションがあるのかもしれません。
 新人戦では中学生以来の捕手の出場ながら無難にこなしていたこともあり、安江均監督の采配次第ではオプションの解禁があるかもしれません。雄龍選手にとても期待しています。

捕手にも挑戦中の雄龍選手に期待の秋になりそうです

3-5 愛知工業大学

 愛知工業大学には絶対的エースにして侍ジャパン選出のドラフト候補・中村優斗投手が居ることもあり春のリーグ戦は想像以上の注目度だったと思います。そんな中、開幕戦から中村投手は愛知学院大学を相手に16奪三振の完封勝利を挙げる華々しいスタートを切ることに成功しました。
 しかし翌週の中部大学戦では5回までに12奪三振を奪う快投でしたが、6回に急遽捕まり清水選手の逆転2ランホームランを含む2本塁打を浴び降板となりました。この時は足が攣ったという報道があり、その影響もあり痛打
されたのだと思っていましたが、第3節第3戦の名城大学戦・第4節第1戦の中京大学戦と中盤に捕まり敗戦投手となってしまったことでこの時中村投手に異変があったのではないかと推測されます。
 第5節の愛知東邦大学戦ではとうとう1戦目の先発投手からも外れてしまい、リリーフ登板で痛打を浴びて愛工大が入れ替え戦に回るかもしれないピンチにまで追い込まれる状況でした。背水の陣で迎えた第2戦で中村投手が先発に戻ってくると5回1安打10奪三振の快投で勝利投手、結局3戦目もモノにした愛工大は1部残留となりましたが中村投手の春のリーグ戦は8試合登板3勝3敗防御率1.99奪三振61の内容でした。
 開幕戦の完封勝利を見ていた者としてはこの成績は物足りないと感じますが奪三振率13.5など突出した数字も出しており、ストレートの最速は自己最速を更新する159キロを記録するなど相変わらずハイパフォーマンスな所は随所に見せてくれました。

この秋がラストシーズンとなる中村投手 より注目度は増すばかり

 中村投手は6月の日本代表選考合宿に参加し紅白戦では2イニングを投げてパーフェクト、打者6人に対して5奪三振の快投を見せました。特に春の日本代表で共に戦った青山学院大学の西川史礁選手(④ 龍谷大平安)を得意のスライダーで三振を奪うシーンは圧巻でした。

 紅白戦の内容もですが代表合宿における中村投手の存在感が一際目立っていたこともあり、見事代表に選出され国際試合でも活躍を見せました。特に今回の代表には関西大学の金丸夢斗投手が怪我の影響で辞退したことでより中村投手への注目度・関心度が高かったような気がします。そんな中活躍を見せた中村投手は流石の一言でした。
 しかし6月・7月とフル稼働の中村投手の疲労度は高まっていることは間違いないないので、この秋はいかに中村投手以外の投手が頑張れるかでチームが左右すると言っても過言ではありません。
 第2戦に先発が予想されるのは左のエース樋口新投手(④ 千葉経済大付属)です。樋口投手は春先のオープン戦から148キロを計測し話題を集めており、リーグ戦でも7試合に登板し防御率1.17イニング38に対して奪三振44と実は中村投手よりも安定感がある数字を挙げていました。
 しかしこの成績に対して1勝1敗と勝ち数の数字が伸び悩んだのは援護率の低さが要因だと思われます。2番手投手にこれほどの投手が居る愛工大の投手陣の豊富さと勝ちに結び付かないもどかしさがあります。樋口投手も万全ならこの秋も春同様の数字を出してくれることでしょう。
 そして3番手争いも熾烈を極めており、春のリーグ戦で26回を投げ防御率1.35を記録した小野七斗投手(④ 愛工大名電)と私が注目している野嵜健太投手(③ 愛工大名電)の2人の争いがとても面白いです。
 小野投手は春のリーグ戦第3投手という立ち位置から始まったものの、しっかりと登板機会で結果を残し第4節第2戦の中京大学戦では先発して8回無失点の好投で勝ち投手になりました。第5節の愛知東邦大学戦では第1戦の先発を務めるなど春のリーグ戦を機に飛躍した投手でした。
 夏のオープン戦でも先発の機会が何度もあり、私が視察した試合でも4回を投げしっかりとゲームメイクしていたのでこの秋もどこかで出番があると思います。小野投手が控える愛工大の投手陣改めて凄いなと思います。

小野投手も虎視眈々と登板機会を伺う愛工大の豊富な投手陣

 そして現在は第4投手の立ち位置に居る野嵜投手も4年生トリオに割って入ろうと猛アピールをしています。春のリーグ戦では5試合6イニングの登板に終わった野嵜投手ですが、夏のオープン戦では物凄い投球を見せており秋のリーグ戦では大事な場面での登板があるのかもしれません。
 私が観戦した東邦ガスとのオープン戦では4イニングを投げ被安打1奪三振5無失点の好投を見せており、特にストレートは唸りを上げるような勢いを感じる凄さでした。
 この秋は4年生トリオに加えて野嵜投手も主戦投手となれれば愛工大の投手陣はリーグトップクラスはおろか全国でも屈指のラインナップになるかと思います。

夏のオープン戦で急浮上の野嵜投手に期待です

 豊富な投手陣を擁する一方で愛工大も野手陣のやりくりに苦戦するシーンが春のリーグ戦では目立っており、リードオフマンの宮川怜選手(④ 星城)は19安打9盗塁でリーグ最多安打と盗塁王を獲得したものの、後続の打者が続かず点が取れないといった試合が多く見られたような気がします。
 待ち遠しいのは得点を挙げるポイントゲッターの台頭ですが、個人的には前田真偉雅選手(③ 日福大付属)を推したいと思います。前田選手は3年春のリーグ戦まで公式戦の出場が無かった選手でしたが、日本福祉大付属高校時代は4番を任され同校創部初の愛知県ベスト8入りに貢献したスラッガーです。
 この夏のオープン戦でかなりのアピールを見せており、私が観戦した試合でも5打数3安打の活躍、社会人の一線級の投手から値千金のホームランも放つ大活躍でした。3安打目のツーベースは吉田大喜投手(元東京ヤクルト)から放っており、元プロからも打てるという盛大なアピールになったと思います。
 その後のオープン戦でもA戦に帯同して出場を重ねている様子がインスタグラム等で伺えるので、リーグ戦でも前田選手の活躍に期待したいと思います。

秋に急浮上したポイントゲッターの前田選手に期待

3-6 東海学園大学

 春の入れ替え戦で1部最下位だった愛知東邦大学をストレートで連勝して1部昇格を決めた東海学園大学ですが、今回の1部復帰は22年春季リーグ戦以来4季ぶりとのことです。
 自分は1部を中心に見ていたためこの東海学園大学のことを全く知らなかったので、この夏どこかでオープン戦を見に行こうと企画していましたが見事に予定が合わず、台風の影響で8月後半は雨続きもあって東海学園大学の試合を見ることが出来ませんでした。
 なので私からは紹介出来る情報は特にないですが、私が注目している選手を2人ほど紹介します。
 1人目は高橋一壮投手(④ 愛産大三河)です。高橋投手は春のリーグ戦で5試合に先発し4勝を挙げる大車輪の活躍を見せ、入れ替え戦でも愛知東邦大学を相手に完封勝利を挙げました。
 東海学園大学の大黒柱なのは間違いありませんし、1部昇格後最初の試合が春のチャンピオンの中京大学が相手になるので、ミスターパーフェクトの髙木快大投手との投げ合いが今から楽しみです。

東海学園大学の絶対的エース 高橋一壮投手

 2人目は三浦貴大投手(② 豊田大谷)です。三浦投手は高橋投手に続く2戦目の先発投手で春のリーグ戦では4勝をマークした左腕です。入れ替え戦でも2戦目に三浦投手が登板し6回3失点で勝ち投手となり、東海学園大学の1部昇格をアシストしました。 三浦投手は愛大連選抜と関西六大学選抜の交流戦で愛大連選抜の7番手で登板し、相手のクリーンアップ相手に1イニングを3者凡退に打ち取る好投を見せました。177cm93Kgのガッチリした体格から球質の重いボールを投げているのが印象的な投手でした。 東海学園大学は自分にとって未知のチームですが、だからこそ非常にワクワクするチームなので秋のリーグ戦では搔き乱す存在になってほしいと思っています。

4.優勝予想

 最後になりますが私なりに秋の愛大連を制するチームは・・・と紹介したいところですが、今年の秋はいつもとは一味違う秋となっているので、終盤戦の戦い方がいつもと異なる様子を見せることが想定されるので、優勝予想という視点はとても難しいです。
 というのも秋の集大成である第55回明治神宮野球大会大学の部の出場枠を決める東海地区・北陸・愛知3連盟王座代表決定戦が今年は愛知大学野球連盟の主管で行われる関係で開催枠として王座決定戦に2枠出場権があるのです。なので秋のリーグ戦で優勝しなくても2位通過すれば王座決定戦に出られるので、必ずしも優勝する必要はありません。

2024年秋の王座決定戦の組み合わせ

 と言っても初めから2位を狙うチームは無いと思うのでやはり優勝予想をしたいと思います。

24年度愛知大学野球連盟 秋季リーグ戦予想

 やはり本命は中京大学かなと思います。投打のバランスが優れている点と大学選手権で2勝し王者の青山学院大学と善戦したことは自信となってると思いますし、それを秋も見せてくれるのであれば本命は中京大学かなと思います。
 今の髙木投手が愛大連の1部チーム相手に打たれるという絵が浮かばないのもありますし、大矢投手の台頭が大きいのかなと思います。

本命は中京大学

 対抗としてリーグ屈指の投手陣を擁する愛知工業大学が来るのかなと思います。あれだけの投手陣が居れば少ない点を守り勝つ野球をすれば自ずと勝ちを手繰り寄せれるかなと思います。
 個人的には中村投手最後のシーズンに神宮のマウンドに登って欲しいという願望もあります。

対抗は愛知工業大学

 大穴として愛知学院大学の存在が不気味かなと思います。主力の多くが下級生で勢いのある選手が多く、彼らを主将の末田龍佑選手(④ 大分商)がリーダーシップを持ってまとめていければ一気に勢いに乗って行けるんじゃないかと思います。

大穴は愛知学院大学

 そして1部昇格してきた東海学園大学、こちらの行方も非常に気になるので随時チェックしていきたいと思います。

5.最後に

 ここまで私の長い長い感想文にお付き合いいただきありがとうございました。最後に言いたいことは1つだけです。

愛大連を見にパロマ瑞穂に行きましょう!!

 今回データ関係は愛知大学野球連盟公式ホームページより拝借致しました。下記リンクが参照サイトとなります。


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