イスラエルでの10か月。その5

翌日1日ゆっくり休んだおかげで、金曜日には時差ボケはかなりとれていた。
朝食を食べに、ルームメイトのコージと一緒にダイニングへ向かう。
時間は朝の9時を少し過ぎたぐらい。
すでに中東の強烈な日差しがキブツの芝生の上に注いでいる。

ダイニングの中は、紺色の襟付きのボタンダウンのシャツに、同じ色のショートパンツをはいた、”キブツニーク” キブツの正式メンバーでにぎわっていた。

バフェット形式の朝食で、内容は昨日と同じだ。
卵料理が数種類、スクランブル、ゆで卵、オムレツなど。
卵料理の隣は、ヨーグルト、チーズ類。
ヨーグルトもいろいろな固さがあって、ギリシャスタイルのしっかりしたものから、ふつうに柔らかいヨーグルトや、コッテージチーズまである。
トースト、バター、ジャム類が、その隣セクションに並んでいた。
好きなだけ取って食べていいのだ。
みんな朝からしっかりと食べているようだ。
白地に青の丸模様が入った皿に結構なボリュームを盛って食べている。
なかなか健康的なのだ。

取りすぎて昨日の様に残さないように気をつけながら、トースト、スクランブルエッグ、ヨーグルトは別の小ぶりなボールによそい、紅茶の入ったマグカップも緑のプラスティックのトレイに一緒にのせて、自分が座る席に運んだ。
コージも自分の朝食を取ってきて自分の隣にすわった。
自分達日本人以外のボランティアも、キブツニークと同じワークシャツで食事をしていた。
少し離れた席に座っていたたユキさんはちょうど食べ終わったらしく、僕達に気がつくと、こちらに軽く手を振ってダイニングを後にした。
ボランティアやキブツニークの着ている、ダークブルーの上下はいかにもこれから農作業にでる、といった感じだった。

食事も終わり、まだ正式に仕事が決まっていないので、ゆっくりと食後の
紅茶などを飲んでいる所に、我々日本人組のリーダの真理子さんが来て言った。
みんな食べ終わたら、ボランティアオフィスに行くように。
そこで来週からの仕事のスケジュールがわかるという。

ボランティアオフィスは、キブツの売店コルボの隣にあった。
自分達日本人ボランティア全員でオフィスの中に入ると、ボランティアの
世話係のオフラが待っていた。
各人の仕事の振り分け今から教えてくれるそうだ。

ここキブツマアニットの仕事は、卵用の鶏世話係、バナナ農園での仕事
綿の農場での仕事、乳牛の世話など、種類が豊富だった。
キブツメンバーの食事を作るダイニングで皿洗い、下ごしらえなどの仕事。
キブツの売店コルボで働くボランティアもいるらしかった。

基本的に自分で仕事は選べないが、向いていないと思ったら別の仕事に
振り分けてくれる。
せっかくキブツに来たのだから、いかにもキブツのボランティアといった感じの農作業を期待していたのだけど、僕に割り当てられたのは、意外にも工場での仕事だった

ここキブツ マアニットはガラムという名のグループを所有しており、ここからの収入が、マアニットの大部分の経費をまかなっているとのことだった。
メインとなる産業が農業系でないので少し驚いた。

後に知ったのだが、農業を中心にキブツの必要経費を稼ぎ出している所は
現在では少数派であり、大多数のキブツは農業をキブツ歴史においての
シンボル的な意味合いで残してあるらしい。
ホテル経営をしているキブツなどもあり、そこでは当然ボランティアの仕事は、ベットメイキングなどが主になるという。

このガラムの工場は結構な規模で、製品は西ドイツにも輸出しているらしかった。
そこで働くことになったのは、僕とすでに英会話が堪能なシュンに決まった。
工場勤務かと、少しがっかりした。


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