犯罪の減らない街、サンフランシスコ

先日こんな動画が全米で反響をよんだ。

他にも、検索すれば次々と出てくる、出てくる。

この店舗などは自分もよく利用する

昼間からこの調子で、まるで普通に買い物でもしているようだ。

サンフランシスコ市警によるレポートでは、去年同時期にくらべて犯罪率は減少傾向にあると出ているが、実際には万引き、車上荒らしなどは一向に減っていない。
ここでは窃盗ぐらいでは、なかなか警察は来ないので、通報しない者もいる。



車上荒らしはかなり深刻で、ここでは絶対に車のなかに何かを置いて駐車してはいけない。
それが空の紙袋でもだ。

知人はついそれを忘れて、食べかけのランチが入った袋を車のなかに置いて買い物に行ったばっかりに、窓を割られて高いランチとなってしまったことがある。
外からは袋の中身が見えなかったのだろう。
サンフランシスコの車上荒らしは、見境がないので注意が必要だ。
最近では手口も大胆になった。
朝でも、昼でも、連中にとっては関係ないようだ。
自分も二回ほど見たことがあるが、一連の窃盗にかかった時間は20秒弱ほどだった。まさにプロの動きだった。

サンフランシスコ市内で比較的人通りが多い、Haight street と Cole street が交差している所でそれを目撃した。時間は朝の10時過ぎだった。

誰かの、あっという声で振り返ると、ストリートの反対側に白のニッサンらしき車が、パーキングメーターに駐車してあったメルセデスベンツの横に止まり、後部座席の窓経由で、ベンツの窓を割り中にすべり込んで、ハンドバックらしきものを取ってニッサンの車中に戻る所だった。
パンっとした音はベンツの窓をたたき割った音だったのだ。

ニッサンから身を乗り出して、ウナギの様にベンツの窓から滑り込み戻ってきた黒人の女性はまだ幼さが残っていた。
最初にそれを目撃して声をあげた女性も、そこに居合わせ自分も、全ての出来事の、始まりから終わりまでの時間の短さにあぜんとして見ているだけだった。

万引きの増加の為、全米展開の大手ドラックストアや、誰でも知っているTARGETというチェーン店らは、サンフランシスコでの店舗の数の減少や、開店時間の短縮などの措置を取らざるを得ない状況となった。
普通に暮らしている一般市民にとってはたまったものではない。

ここ数年万引きは増加傾向にあったが、コロナによるロックダウンで一気に加速したように思う。
サンフランシスコ市警や市政は数字上では、数パーセントほどの違いしか見ることができないので、軽犯罪は減少傾向にあるとしているが、街に出てみればその違いをはっきり感じることができる。

先日も地元の小売店でサングラスを買いに行ったが、以前との違いにかなり驚いた。
店員二人の小さな店なのに、オープンサインが出ているにもかかわらず入口がロックされている。

中にいるガードマンにドアを開けてもらい、
買い物中は、また誰か別の客がくるまでドアはロックしたまま。
まるで貴金属店のような物々しさだった。
スーパーや薬局などでもガードマンが常駐しており、中にはピストル携帯の者もいる。
銀行ではなく、たかだかスーパーでも今はこの調子なのだ。


数年前に可決された 法案 propsition 47により、万引き犯はその合計金額950ドル以下であった場合、微罪ということになるので、違法チケットを切られるだけで、警察などの法の執行者に逮捕されることはない。
そのことが犯罪者をより大胆にさせたように思う。
冗談のようだが、中にはしっかり950ドル以下の計算で盗んでいくものもいる。
また自分で手を汚さない知能犯もいて、ホームレスらにブランド商品などのリストを渡し、少しの現金で盗みを行わせる。

コロナ以前から家賃などの異常な上昇、IT関係者との賃金格差などでの二極化、違法ドラッグの常習者の増加などですでに腐りかけていたこの街は
コロナ禍によっていよいよ困窮した者たちによって、今もよごされつつある。


Tony Bennet が歌ったこの街。
以前とはかなりの場所がすっかり変わってしまった感じがする。
たった数人の醜い欲望により変化してしまった街。
始まりは2009年前後ではなかったか?
その始まりの一端を自分はたまたま目撃したのだが、その話はまたいつか書こうと思う。



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