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おもてなし幻想メモ

おもてなし幻想 デジタル時代の顧客満足と収益の関係
マシュー・ディクソン、ニック・トーマン、リック・デリシ 共著
神田昌典 リブ・コンサルティング 日本語版監修
安藤貴子 訳

久しぶりに良書に出会った。ビジネス界で常識とされる感動サービスは顧客ロイヤルティに結びついていないという衝撃の事実を突きつける。私自身、200%の顧客満足度を追い求めることが事業継続の要としていた時代もあった。根本からサービスの在り方を考え直さなくてはならないと思わせる内容である。以下、ダイジェスト。

結論1 喜びの戦略は割に合わない
             →企業の認識だと、顧客の期待をうわ回るとロイヤルティが上がると捉えているが実際は殆ど上がらない。

結論2 満足度はロイヤルティの予測因子ではない
             →顧客満足度の向上とロイヤルティは殆ど関係していない

結論3 カスタマーサービスインタラクションはロイヤルティではなく、ディスロイヤルティを促す可能性が高い
       おもてなしや感動体験を狙ったサービスは、プラスの口コミはあまり期待できず、マイナス面を吹聴される傾向にある
             →よい製品エクスペリエンスは自慢されるが、サービスはそれほど自慢されない(当たり前に捉えられる)
             →悪いサービスエクスペリエンスは同情を買うため口コミされやすいが、製品はそれほどでもない

結論4 ディスロイヤルティ緩和の鍵は顧客努力の軽減
             →顧客努力の少なさこそが、ディスロイヤルティ軽減の重要要素
                    ディスロイヤルティを結論づける5つの要因
                         →FCR(初回解決率)、画一的サービス、情報の繰り返し、更なる努力の認識、たらい回し

総論 顧客を感動させた時でさえ、ロイヤルティが上昇する可能性はたった12%。しかも、それは努力を台無しにするような上記のミスを一切しなかった場合に限る。

感動体験でロイヤルティをあげることを考えるのではなく、顧客努力を減らしてディスロイヤルティを減らすことに注力すべき


 


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