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【起源主張】アナカラー墓地退化と365日【殿堂入り】

こんばんは、デフォルトロイト(@DFR1315_tcg)と申す者です。
普段は東京を中心に、首都圏のCSによく出場しています。
昔はソルトレークと名乗っておりました。
特徴的なプレイマットを使っているので、関東の方は見たことがあるかもしれません。まず大前提として、この記事を読んでも生産性は全く上がらないことをご了承ください。デュエマのデッキやプレイング指南などを書くわけではなく、ただ「これから消えゆくデッキに対して自分語りをする寂しい男の思い出のようなもの」です。生暖かい目で見ていただければと思います。

殿堂発表の日。殿堂が決まったこの竜魔神王バルカディア・NEXに寄せられたDMP達の反応には、驚きは少なく、むしろ「かかって当然」のような空気が流れていたような気がする。実際僕もそう思うし、規制しなかったらデッドマンに踵落としを喰らわせる予定で居た。しかし、やはり人間は不可解な生物で、どんなに予知をしても、それが現実になればカタルシスを感じざるを得ないのである。
この記事は、そんな感傷に浸る、一人の墓地退化使いのささやかな歴史だ。

退化の改新(アナカラー)

2021年の春。僕はバルカディアNEXを購入した。学生でバイトも出来ない僕は、
このカードと心中する思いで買った。そもそもそれまでの僕は、CSなど1,2回出たことがある程度のカジュアルプレイヤーだった。爆龍皇ダイナボルトを愛し、ずっとデッキを弄っていたと記憶している。
けれども、様々な人と対戦するにつれ、やはり競技シーンでの活動を主とするプレイヤー達との接触もあった。そして行き着く心理。
数個は、環境デッキを持っておくべきではないのか……?
しかし、昔から溜めた貯金を切り崩してデッキを買うというのはやはり気が引けた。それでも、デュエマを始めたての頃、安いという理由で作り、デッキ構築を拘っていたかの日の、裁定変更前の墓地退化との記憶が蘇った。

悩みに悩み抜き、そして決断した。

「バルカディア墓地退化を作ろう」

してそんなわけで、5月下旬にオーソドックスな【青黒墓地退化】を作成。
そのままの勢いでウッキウキでリモートのCSへと足を踏み入れた。

惨敗した。

いや、でもこんなこともあるだろう。はじめてのcsの時もカリヤドネループにボコられていたではないか。【青黒墓地退化】は環境デッキ。信じて使い続ければ、いずれ結果は出せるはず。へこたれずに挑戦を続けてこそ、勝利はある。

惨敗した。

いやいや、シャッフ等のメタカードが重いからである。今の時期はしっかり彼等の対策を行い、対応力を上げればいずれ必ず……

惨敗した。

自分自身に思い当たるプレイミスはない。毎週毎週、各地のCSで入賞報告があがっている。結果が出ないはずはない。だが悲しいかな、当時の僕はベスト16が精々であった。一般DMPならさっさとこのデッキを捨てて別の環境デッキを購入し、乗り換えるところだが、そんな金は無い。そしてバルカディアと心中すると決めた少年に売却の文字もない。呪いの装備は外れない。その法則に従うように、「継続は呪縛なり」だった。だがしかし、「周りで墓地退化を使っている人間は勝てるのに、自分は勝てない」というのは事実である。

思い出のデッキ、愛着のあるデッキを信じたい思いの前に、圧倒的な現実が立ち塞がった。こうなった時に僕のようなダメ人間はどんな行動をとったか。

「現実逃避だ!他人と違う墓地退化を使えば、負けても傷は浅い!」

非常に不名誉な理由により、手持ちの青黒墓地退化はアナカラー墓地退化へと変貌を遂げる。裁定変更前、デュエマフェスで一度だけ、デドダム入りのアナカラー墓地退化と対戦する機会があった。それを思い出した。都合のいいことに、当時は存在しなかったDisジルコンも、奇成ギョウも、Vol_Val_8も、世に流れていた。これに新しく見つけたアルモモに対する私怨だけの退化パーツ、ロイヤルドリアンを投入する。するとどうだろうか。意外とデッキの形を成している墓地退化が完成した。去年の8月のある日のことである。

初めての入賞

当時のハンドルネームはソルトレークだった。

勝った。

青黒墓地退化であんなに良い感触がなかったのに。作って3度目のリモートCSで準優勝。出来過ぎである。その前も、さらにその前のCSも、本戦にこそ行けなかったが事故りまくって連敗していた青黒の時とは違い、しっかりカードゲームをして、対話をして負けた実感があった。要は勝機が十分に見込める、惜しい負けであったということである。

僕のこの時の心の喜びと言ったら半端なものではなかった。そして同時に感じる。「決勝の相手が青単ムートピアでなければ……」

行ける。
墓地退化と一緒に金メダルを取れる。

元より高いアベレージを持つデッキだ、という実感はあった。青黒のようにその日の調子に乱高下されず、常に安定して勝率を出し、回りが良いと不利対面でも4ターン退化で捲れる。そして、本戦に行けなかった2回は、どちらもプレミで一戦落としたのが響いた。裏を返せば、プレミがなければ簡単に勝ち上がれてしまったということになる。

「こいつを極めよう。無限の可能性がある」
そして、デッキメモのつもりで書いた解説note記事に大幅な加筆修正を加え、
一人環境考察を進めた。

黎明期(ジョー星規制前)

ノリノリでデッキメーカーで環境デッキのテンプレを作り、一人回し機能を使い相性を研究している真っ只中、Twitterにダイレクトメッセージが届いたと通知が来た。この頃から、【アナカラー墓地退化】は僕一人がいじり回すデッキではなくなり、規模が大きくなっていく。して、そのダイレクトメッセージがこれだ。

CS入賞!?リアルで!?しかも2回!?

彼の名前はK和尚(@DMP_around_40)という。
僕はリアルのCSにビビり散らして未だリモートでのCSばかり出ている人間だったが、彼はバリバリの競技勢。会社のゴルフの予定がキャンセルになり、空いた時間で出たCSに、Twitterで見かけたアナカラー墓地退化を組み上げて持ち込んだとのことである。そして彼は既存の【青黒墓地退化】で勝っている人間であった。

青黒墓地退化で一定数CS入賞を果たし、墓地退化の入賞報告を記憶していた僕も、名前を知っている人物であった。青黒を使っていた時代の僕に言わせれば、“才能ある”退化使いとして見ていた、いわば隣の青い芝の人間。

そんな人物が、自分の作ったデッキを使った。そして2位と3位を持ち帰ってきた。リアルの環境でも通用することが証明された。後は僕が優勝をすれば、僕の現実逃避から生まれた野望は達成される。ミッションコンプリート。

(交通費+参加費が馬鹿高いから)回数を稼げるリモートに出まくるぞーと僕は意気込んで、和尚さんと意見交換をしばしば繰り返しながら、時は流れていった。

余談にはなるが、当時和尚さんが入賞したデッキリストが、こちら。

初期のヴァイモデルクロック型のテンプレートにかなり近い構成をしており、バベルギヌスも搭載されている。(当時の僕はIQ5だったのでこのバベルギヌスの使い方が分からず間違えて入れたのだろうと解釈した。ただのアホである)

そしてこちらが、先程の準優勝。【アナカラー墓地退化】の走りとして、最初に世に出た40枚である。バイケンが入っていたり、落城、エマジェンが3枚だったり、キューブリックが入っていたりと正直無駄がかなり多い。

そしてこのバイケンやらキューブリックやらの採用理由をいけしゃあしゃあとnote記事で語っていたのだ。ちょっとした黒歴史である。(当該記事は現在も公開中です。笑ってやってください)

遂に環境入りへ(ジョー星殿堂後)

話を戻して、ひたすらリモートCSでアナカラー退化を回していたのであるが、なかなか勝てない。いや、安定して勝てはするのだが優勝までは届かない。その原因はすぐに分かった。「希望のジョー星」、そしてそれを使う【ジョー星ゼロルピア】。アナカラー退化は、このデッキに勝てなかった。当然CSでもこいつに当たらないように祈るのだが、tier 1だけあって一度も当たらないということはほぼなかった。良いところまで進んでも、このデッキに当たった瞬間ゲームオーバー。そして殿堂発表の日。てっきりゼロ・ルピアなる赤い鳥が死ぬと思っていたが、どうやら現実は違った。神はあのイカれた星を葬った。

そんなわけで、目の上のたんこぶが消えた僕とアナ退化。次のリモートCSに向けてアップを始めようとした……その時。Twitterに飛んできたのは複数件の入賞報告。そして後日アップロードされたとあるyoutuberのアナカラー墓地退化紹介動画。それが意味していたのは、もうアナカラー墓地退化は一部の墓地退化使いがひっそり使うデッキではない。“環境”デッキの称号を手に入れていたということだったのである。

Tier0 と衰退

2月。アナカラー墓地退化はとあるメディアで前代未聞のtier認定を受けた。
Tier0。天下を取った。流れ行く環境の波の中で、たった1ヶ月とはいえ、
絶対王者として玉座に居座った。この時、最も輝いていた時期であった。
そして、うなぎのぼりの評価を、僕が黙って見ていられるはずがない。

リモートを辞め、リアルのCSでの優勝を狙うことに方向転換。
CS会場には知り合いも、友人も、話す人もいない。
これまで、年齢制限があるリアルCSに参加したことはあったが、
大人達と同じ土俵に立って戦うのは異常に緊張した。
周りが仲睦まじく話している横で、Twitterのタイムラインを見て
必死に緊張をほぐしたことを覚えている。(ちなみに今でも一緒にCS会場に出る知り合いがおらず、一回戦開始までは常に一人でスマホを弄っている)

勝った。
ビギナーズラックというのは間違っていないのかもしれない。
初リアルCSでしれっと準優勝。ラビリピトとサイゾウミストと新弾2箱を持ち帰った。が、僕は喜んでいなかった。


悔しい……

決勝戦で5Cに負けたのが相当堪えた。
また、準優勝で終わるのかお前は。
プレミをしたわけではない。だがどうしても、喜ぶ気にはなれなかった。
どこか意固地になっていたと思う。アナカラー墓地退化というデッキの起源は自分だ、そういうのを結果として残すべく、優勝という結果に拘っていた。

そして時間が経つにつれ、墓地退化の研究も進み、対策法も心得られてきた。
良いまで有利を取っていたデッキに露骨すぎるメタカードを入れられるだとか、一王二命三眼槍を利用したカウンターだとか、タマシードトリガーというケアできない受け札の登場だとか。【4Cガイアッシュ覇道】【デイガライオネル】【マッドデッドウッド】といったデッキが登場するたび、墓地退化は数を減らしていった。【墓地退化】として総合的に見れば、これぐらいに【ドロマー墓地退化】が成立、アナカラー型こそほぼ絶滅したが、こちらが生き残ったおかげで入賞数は堅持していた。けれど、アナカラー型が環境からフェードアウトしていったのは、明らかだった。それは、Tier0に対する全国のプレイヤーの執念がそのようにしていった。良いのだ。確かに環境外へと追いやられたのはネガティブなことではあるが、それ以上に、全国区で対策を練られるような、歴史に残るデッキを作ったことの裏付けであることが誇り高かった。

どうしても、CS優勝を共に経験できなかったことが、数ミリ単位で頭に引っかかっているから、やっぱり僕は殿堂するバルカディア・NEXを潔く見送れないのだが。

バルカディアNEX殿堂に寄せて


さて、ここまでつらつら書いてきましたが、まぁ、起源主張するだけならこの記事ペラッペラになってしまうので、僕の歴史的な、そういった思い出の語りをさせていただきました。現在環境落ちをしているデッキではありますが、それでも情だけで競技シーンを共にしてきたデッキです。愛着しかありません。環境からいなくなったことには、DMPの研究量に負かされたという自然の摂理なので、そこは憐れんではいません。ただ、「優勝したかったなぁ」という思いが交錯するばかりです。


「何このオタクw自分語りきっしょwww」となるかもしれませんが、1年分の思いと、カードゲーム生活を大きく変えてくれたデッキですので、衝動的にすんごい量を書いてしまいました。【アナカラー墓地退化】は、多分僕がいなくとも誰かは思いついていたと考えてますし、もしかしたら僕が閃く前にデッキ制作に着手した方がいたかもしれません。ですが、今に至る【アナカラー墓地退化】デッキの中で、最も早く結果を出し、(一応)解説用のnote()も書いているぞ、ということで起源主張に至った次第です。なんか書いているうちに起源主張というよりは1年間墓地退化と過ごしたDMPのノンフィクションエッセイっぽくなってしまいましたが。

そして、バルカディア殿堂についての感想なのですが、もし無規制なら流石に不健全ですよね。受けをするデッキの選択肢を大きく狭めているわけですから、JO退化とグルメ墓地ソースを規制した後、受けデッキを破壊する為に墓地退化が出しゃばるのはほぼ確実です。そんなわけで、腑に落ちる殿堂入りだったなという感じです。

それと、自慢のような自論ですが、仮に現在に至るまでアナカラー墓地退化が発見されていなかったとすると、墓地退化は規制を逃れたと思います。
ドロマー墓地退化はあくまでも既存の青黒の延長線上にあり、メタカードで簡単に対策できる他、基盤がアナカラーに比べれば弱めなので、「受けが硬いコンボデッキ」として受け入れられるレベルだったのではないかと考察します。

最後に

「自分の手で、環境デッキを作る」これは、カードゲームをやってきて、もうこれを超えるものはないというぐらい、嬉しいものでした。そして、そのデッキの切り札が最強の称号を得る。悔いが全くないわけではありませんが、1年、良い夢を見させてもらいました。
ありがとう、竜魔神王バルカディア・NEX。
お疲れ様、竜魔神王バルカディア・NEX。

2022年8月15日。殿堂入り、おめでとう。


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