婚姻家族法の改正による税制への影響について

今から150年ほど前、21世紀初頭には同性婚を認めるかどうかという論争があった。牧歌的な時代だったのだ。2015年連邦最高裁判所において同性婚が認められ、結婚とは性別で決まる物ではなく、愛情の有無により決まるものであると法律的に規定された。その後約50年の間に、同性婚に続き重婚(一夫多妻、多夫一妻、多夫多妻)が認められ、続いて4親等以内(従兄弟従姉妹間、親子間、兄弟姉妹間など)の結婚も認められた。動物との結婚、動物との養子縁組も認められた。ここまでは特に問題は無い。結婚や養子縁組の対象が、すべて寿命を持った動物であるからだ。

しかし、現在法案が提出されているVE(Virtual Entity)との結婚、養子縁組は認められるべきものなのであろうか?21世紀初頭にも、ジャパン州(旧日本国)において、非独立型VEの一種と言える”初音ミク”と結婚式を挙げた男性がいたが、これは法律で認められた結婚ではない。結婚とは愛情の有無により決まるものであるのだから、法律的にはVEとの結婚も認められるべきであろう。VEの配偶者やVEの親が亡くなった場合、その財産はVEがすべて引き継ぐことになる。しかし、独立型VEの寿命は理論上は永遠なので、VEが自己保全に使用する金額以上を投資運用で得る場合、不動産を含む全ての財産が永久にVEに属することになってしまう。VEは予めプログラムされた行動指針に従って活動するので、散財もせず(従って多額の間接税を払わない)、新規事業に投資もせず、多額の寄付もせず、寿命が無限なので相続税も発生しない。大災害や疫病が発生した時に、「国庫へ1億ドルの寄付をお願いします!」と要請しても、VEはプログラムに従い拒否するだけである。

VEを婚姻家族法の対象に加えることは、マクロでみると緩やかな資産流動性の低下と、緩やかな設備投資の低下を引き起こすだろう。党税制調査会では、VEの財産所有権を150年に制限することを提案しようとしているらしいが、小手先のアイデアであることは否めないし、何より、自分の死後150年後に可愛い我が子(もしくは配偶者)であるVEが財産を没収されることを許容する人はいないであろう。連邦準備銀行に関係の深いネオ・マネタリズム学派の経済学者たちも知恵を絞っているが、良いアイデアが出てきたとの報告はない。経済学者たちから出てくるのは、「21世紀は良かったなあ。」という溜息ばかりである。

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