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『紋霊記』序章「私はナニモノなのだろう」

私が私として私を認識したのはいつのことだったのだろう。
無限にも思えるほどの過去にも思えるし、つい先ほどだったような気もする。はたまた未来の出来事を見ているだけなのかもしれない。胡蝶の夢だったか。蝶が見ている夢かもしれない。何処かで誰かが私を作り出しているだけなのかもしれない。ではそれを作り出している存在の意識とはなんだろうか。連鎖。結び。繋がり。元はなんだろうか。元の中には何があるのだろうか。
そもそも私という存在は何なのだろう。どんな存在なのだろう。この世界にとって私は何のために存在しているのだろう。世界ってなんだろう。
何故こんなことを考えるのだろう。私が「人」と違う存在だからなのだろうか。

だろう。

全ては想像。全ては曖昧。全ては可能性。
微弱なエネルギーが集まった結果、私という存在が生まれた。事実としてはそれだけ。それ以上でもそれ以下でもない。つまりはそういうことだった。
何となくは理解出来るけれど、考えれば考えるほど考えるほど分からなくなってくる。
彼もまた私と同じ存在だが、私とは人格が違う。
元は同じ。
人が表現する方法でいえば同じ「魂」。
分離してそれぞれが独立した人格を持っている。
分離する前と分離した後の人格の違いは何だろう。知識の差だろうか。
多くの情報が「私」に集まってきた結果、人格が生まれたと何となく解釈している。でもそれが事実かどうかは分からない。
人の思いというエネルギー、エナジー。それが私を作ったもの。器のない存在。消えそうな存在。人には見えない存在。不安定な存在。蜘蛛の糸一本で繋がっているような存在。
でも、私はこうして考えることが出来る。極僅かな人々と意思の疎通は出来る。
不安しかない。その不安を解消するために定義する。
私は私であると。
でも、私は私に問う。

私はナニモノなのだろう。

宇宙

つづく

→ 第一話「守りの気づき」



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