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雑感:リコリス・リコイル

リコリス・リコイル。いや〜、面白かったですね。
女子高生!百合!ガンアクション!女子高生!百合!ガンアクション!
作画も綺麗だったし、何より声優さんたちの演技が自然で柔軟で、聴いてて楽しかったです。

一方で、設定や脚本のガバさが指摘されていましたし、僕もそれは気になったところではあります。
ですが、本作のポイントは、設定や脚本を破綻なく練り上げることをかなぐり捨てて、とにかくひたすらに「女子高生!百合!ガンアクション!」の部分を磨き上げることにエネルギーをかけていることで、アニメとしての快楽を追求することに徹したことだと思います。
設定とか脚本とか、「まあ、いいか」って思えるんですよね。細かいことを気にせず、快楽に身を委ねればいいか、となる。
(もちろん、粗が気になって受け入れられない、という感想もあると思います。)

特筆すべきは、なんといっても声優の演技でしょう。
Youtube「リコリコラジオ」でも明かされていますが、かなりアドリブを許容する現場だったようです。
詳しくないですが、普通アニメでは映像を作ってからそれに声を合わせるそうなので、声優の演技、特に間や呼吸は自ずと制約を受けます。
それにより、リアルな息遣いは制限され、大なり小なり硬直したセリフ回しになることが多く感じます。
ですが、本作ではそのような硬直はほとんど感じることがなく、それぞれの声優が伸び伸びと演技している様を楽しむことができました。
一部には、声優のアドリブに合わせて後から絵を修正した箇所もあったそうで、かなり声優の演技を尊重するコンセプトだったのでしょう。
特に主演の安済知佳さんの、自由奔放で明るく、どこか浮世離れした喋り方は心地よくて癖になります。

世界の設定については、1話冒頭でなかなかにショッキングなカットから始めるにしては、設定の詳細を語ることなく進むので、逆にずいぶんと思い切りがいいなあと思ったりもします。
設定自体は荒唐無稽(DAの存在意義や成立可能性にリアリティがない)ですが、その設定が現実の何を投影しているのかについては、10話の真島のセリフで語られていますが、現代人にはちょっと耳の痛い話でもあり、芯があるな、と感じました。
(ただ、あそこの長台詞一発で済ませるやり方は、個人的にはあまり。)

物語についても、主人公の大きな目的らしいもの、つまり真島との対決が出てくるのも6話話からで、それまで主目的を提示せずに視聴者の興味を引きつけられるのは驚異的です。
そもそも主人公である千束には目的や成長がありません。
全体を通して貫かれている意思は「停滞」。つまり、たきなとの関係や喫茶リコリコという空間が、できるだけ長く続きますように、というモチベーションでもって動く主人公であり物語なのです。
ドラマの形態としてはいささか特殊ですが、連載漫画や海外ドラマなどにはよくあるタイプです。
つまり、人気がある限りは継続して続編を創るつもりの作劇手法なのです。

ややビジネスの狙いも透けて見えるところですが、とにかく2期!3期!と続きそうで、楽しみな限りです。

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