蕩尽伝説

大塚日記→ライコス→マイぷれすと流れてきた。流浪の哲学者、蕩尽伝説のブログである(哲学…

蕩尽伝説

大塚日記→ライコス→マイぷれすと流れてきた。流浪の哲学者、蕩尽伝説のブログである(哲学・文学・映画・芸術・競馬)。近年はもっぱらツイッターを利用してきたが、日本ツイッター社の言論弾圧に遭い、居場所を移すことにした。

最近の記事

SHOGUN 将軍@ディズニープラス

2024年5月28日 風邪でやることがなく、一気見。真田広之の指揮下、ハリウッドが可能な限り忠実に戦国時代の日本を再現したという謳い文句。必ずしもホラではなく、実によく出来ている。 なるほど日本人からすれば、クビをかしげたくなるような個所もないわけじゃない。が、ストーリーの都合上やむを得なかったんだろうな、と許せる。ほとんど気にならない。 真田広之が美味しいところを全部持って行く感じだ。カッコ好すぎるだろ。実際の徳川家康は弱点だらけだった。なにより若い頃は戦争が弱かった

    • イカゲーム@ネットフリックス

      明々白々たる「カイジ」のパクリやん!と思い込んでいた。動画外道のワイは冒頭のシーンだけ少し見て、ガキんちょの遊びやん!と退屈してそれっきり。 ところが、そのすぐ後にダメ人間の主人公ソン・ギフンが競馬に興じるシーンが出てきて、そこからは一気呵成。演じるイ・ジョンジェの顔がじつに味がある。大泉洋と似ている。コメディもシリアス演技もできるタイプの役者だ。 本作の演技によりエミー賞の主演男優賞、全米映画俳優組合賞を受賞、ゴールデングローブ賞にノミネート等々と、一夜にしてトップスタ

      • 方法としての理性――デカルト覚書

        * 2022年10月19日にツイッターで認めた小論である。この手の覚書が沢山あるので、折を見て Note に移し替えて行きたいと思う。 Le bon sens est la chose du monde la mieux partagée (...) la puissance de bien juger, et distinguer le vrai d'avec le faux, qui est proprement ce qu'on nomme le bon sens o

        • 才人・小椋佳

          *上の番組をNHKオンデマンドで見たのは2年ほど前。目下、この動画は配信されていない。その直後ツイッターに書いた記事をここに再録しておく。 小椋佳というクリエーターの全体像を描いている。思うにつけ、この人はいわば森鴎外タイプの表現者だった。あるいは西武の堤清二のような。日本的知識人の1つの類型だ。 日本社会においては芸術では食って行けなかった。今でもほとんどそうだ。食えたとしても政治家や経済人のような富裕な生活は難しい。ゆえに堅固な組織に所属しつつ、いわば高尚な趣味のよう

        SHOGUN 将軍@ディズニープラス

          殺人の告白 -Prime Video

          殺人の告白(字幕版) - Prime Video 公開時、大ヒットした作品で、日本版も作られた。アマプラで見るつもりがすっかり忘れていた。時間が経って無料になっている。 韓国映画独特のベタベタ&ギタギタ物かと思い込んでいたが、シリアスな物語のなかにもギャグが満載で、そのバランスがよい。こういうドタバタな展開は韓国映画ならでは。クライマックスのどんでん返しには感心させられた。そう来たか! 日本のリメイク版は、きっとマジメ一本鎗になってるんだろ?見る気がしない。 真犯人の

          殺人の告白 -Prime Video

          嵐の中で | Netflix

          スペイン映画が生んだ鬼才オリオル・パウロ監督の佳作。信頼するユーチューバーのお勧めで、見ることにした。 最初は幸せな家族モノのようで鬱陶しい。それとスペインの役者に顔なじみがなく、ストーリー展開に混乱させられる。誰が主役なのか分からない。2時間をゆうに超える作品で、最初はもたつくが中盤からは一気呵成である。 嵐の夜に電波の混線が生じ、テレビにベルリンの壁崩壊の直前のニュースが映る。画面の向こうにはギターの練習を録画する少年がいる。かれがその直後、道路に飛び出しクルマに轢か

          嵐の中で | Netflix

          ポーラー 狙われた暗殺者 | Netflix

          ポーラー 狙われた暗殺者 | Netflix (ネットフリックス) 公式サイト 最高に腕利きの殺し屋が引退しようとするが、今さらそうは問屋が卸さないというパターンは、キアヌ・リーブスの『ジョン・ウィック』シリーズが金字塔とはいえ、他にも数多く撮られている。その市場に満を持してマッツ・ミケルセンが参入しようとしたが…… ブラック・カイザーという異名を持つダンカン・ヴィズラは、国際的な暗殺請負業のダモクレス社に雇われてきたが、50歳の定年を2週間後に控

          ポーラー 狙われた暗殺者 | Netflix

          曖昧な記憶の曖昧な私――『アビリティ 特殊能力を得た男(字幕版)』Prime Video

          アビリティ 特殊能力を得た男(字幕版)を観る Prime Video 役者も地味、展開も地味、低予算の地味な映画だが、主人公の正体に段々迫っていく過程には迫力があった。 原題は DOE で、英語で John Doe と言えば、日本名で「田中一郎」みたいなもの。どこにでもいる人、名もなき人を表わす。 ちなみに私の本棚には田中一郎先生の『ガリレオ裁判』という岩波新書が並んでいる。およそ至るところに「一郎くん」はいるのだ。 主人公ジョンはある日、公園のベンチで目を覚ます。

          曖昧な記憶の曖昧な私――『アビリティ 特殊能力を得た男(字幕版)』Prime Video

          鬼手 (字幕版) - Prime Video

          鬼手 (字幕版) - Prime Video 囲碁の名人に虐げられた少年が復讐を誓う、という物語。一種のアクション物である。主人公が負けるわけがないので、安心して最後まで見ていられる。そこそこ楽しめるが、見終わってつらつら考えるに、着想の斬新さを活かし切れていない。 囲碁の対決がテーマなんだから、どういう点で勝負が決まって行くのか、素人でも解るような勘所の解説が欲しい。霊能碁の場合にそれは無理だろう!と思われるかも知れないが、まさに最初の霊能師との対決の場面で、なんで主人

          鬼手 (字幕版) - Prime Video

          記憶の夜@Netflix

          動画の3分ルールというものが自分にはあって、3分見ても面白くならなかったら、もうそれ以上は見ない、次の動画に移るという外道の見方をしている。 映画館でチケットを買ってしまったら高いし仕方ない、我慢して最後まで見るほかないが、サブスク動画の時代にそれは無理、あり得ない。3分間、待つのだぞ。カラータイマーが点灯したら、次の動画に乗り換える。 で、本作も幸せそうな家族の映像が続き、いい加減うんざりして見るのをやめようか?と思ったが、じつはそれが罠だった。この家族が新しい家に引っ

          記憶の夜@Netflix

          『ヴァスト・オブ・ナイト』@アマプラ

          かつてのトワイライト・ゾーンのスタイルを意図的に模倣した、B級アブダクション物の佳作。面白すぎて、途中で一服するのを余儀なくされた。まさに一夜の出来事なので、最初から最後まで画面は暗い。白黒が基調で、鈍くカラー映像が入り込む。 1950年代終わり頃、アメリカ南部の田舎町の体育館ではバスケットボールの試合が行なわれ、町民が総出で地元の高校の応援に駆けつけていた。16歳のフェイは電話交換手のバイトがあり、仕事場に行かねばならない。エベレットは地方ラジオの人気DJで、かれのスタジ

          『ヴァスト・オブ・ナイト』@アマプラ

          『トリプル9――裏切りのコード』@アマプラ

          このような快作がアマプラ評価で3点しかなく、信じがたい。YouTube で高く評価している人がいて見てみたんだけど、悪人とダメ人間しか出てこない。誰も彼もが、ひたすら破滅へ突っ走る。素晴らしい! 出演はケイシー・アフレックを始め、ノーマン・リーダス、ウディ・ハレルソン、ケイト・ウィンスレット等々、有名俳優ばかりなんだけど、最後までほとんど気づかなかった。白人の顔は見分けがつかない…… そもそも主役がケイシー・アフレックだということに最後まで気づかなかった。言わずとしれたベ

          『トリプル9――裏切りのコード』@アマプラ

          極秘捜査@アマプラ

          富豪の1人娘が学校帰りに行方不明になる。犯人からは何の連絡もない。警察が極秘捜査することになる。 懊悩する女親は若いキム導師(ユ・ヘジン)の元に赴き、子供が生きているという託宣を得る。さらにはコン刑事(キム・ユンソク)に相談しろとアドバイスされる。かくして、この怪しげな占い師と落ちこぼれ刑事が反目し合いながら誘拐犯を追うことになる。ひねりの効いたバディ物である。 展開が早い。女の子が誘拐されるまで冒頭の5分ほどだ。よくある韓国映画の陰惨ストーリーとは異なり、組織内の反目が

          極秘捜査@アマプラ

          コンティニュー(字幕版)@アマプラ

          あきらかにB級作品とはいえ、タイムループ物の佳作。てか、このジャンルはどうやっても辻褄が合わないのでB級と見なされてしまう。本作の場合はラストシーンがいかにも惜しい。もうひとひねり欲しかった。 主演級がフランク・グリロとナオミ・ワッツで、いかにも地味。とりわけナオミ・ワッツは「薹」(とう)が立った感ありありで、はじめ誰だか解らなかった。主人公を誘惑する歯科衛生士のお姉ちゃんのほうが明らかに美人で、つい陥落する男の気持ちがよく解る。 メル・ギブソンはラスボス感ありすぎ。たん

          コンティニュー(字幕版)@アマプラ

          書物の終焉と松岡正剛の死

          1)本が終わる時代にセイゴオの訃報を聞く 松岡正剛のことはすっかり忘れていた。自分の仕事とおよそ関係がない。 現代における「仕事」とはどれも専門化されている。個々の専門という領域から見れば、松岡が書くものはどれも中途半端であり、不十分だろう。とりわけ彼が哲学書を取り上げると、どれも聞いたような解釈ばかり。「え?そんな読み方があるの?」という驚きが全然ない。レトリックが面白いだけ。 そもそも松岡が書物という形にまとめたものは余り面白くない。「千夜千冊」の魅力は、かれの肉声

          書物の終焉と松岡正剛の死

          似たもの同士――『ダークレイン』@アマプラ

          アイザック・エスバン監督に興味をもって、立て続けに見たけど、このアマプラ画像もひどい。こんな場面、映画にない。奇を衒った捏造である。映画のデキが酷いので、画像で釣ろうという魂胆だ。完全に釣られてしまった。怒り心頭。 1968年のメキシコの郊外。豪雨を避けて広いバス待合所に逃げ込み、そこに閉じ込められてしまった人々。いつまで待っても首都行きのバスは来ない。異変を告げるラジオ。どうやら雨を浴びると謎のウィルスに感染してしまうらしい。メキシコ・シティは大混乱……という設定にはわく

          似たもの同士――『ダークレイン』@アマプラ