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ヒーリングワーク

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過去に体験したセラピーやヒーリングワークに関する話
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#ヒーリング

新しい暖かさ

 清々しい光に包まれる4月。染井吉野の花びらが風に舞い、初夏の花と若葉の色とが混じり合いながら野を染め上げている。  花の写真を撮りによく出かける「日野江植物公園」は、九州最北端の街、北九州市門司にある。この門司は観光名所として有名だが、気象的にとても興味深い場所。小高い山を挟んで西に関門海峡、東は瀬戸内海へつながる周防灘の二つの海に面し、同じ区内であっても、西は日本海側気候、東は瀬戸内海式気候に微妙に分かれているというユニークな地域でもある。  この植物公園は東の

困ったときは頭をかかえよう

師走になっても寒くない日が続いている。薔薇が咲いていても、冬薔薇なのか、まだ秋薔薇と呼ぶべきなのか、よく分からなくなる。さぞかし地球も頭をかかえているのではないか。 話は飛ぶが、プロサッカーの試合を見ていると、シュートを外した選手が頭をかかえて、悔しがっているシーンをよく見る。 イングランドプレミアリーグでは、ホームチームの選手が決定的なチャンスを逃すと、スタジアムを埋め尽くす数万人の観客全員が総立ちとなり、頭をかかえて嘆く。これはこれでなかなか見事な光景に見えて

念ずれば平安

(文5000字)  聖書に書かれている奇蹟は、不自然で非科学的と揶揄され、そこから先に進めなくなる人が多いらしい。しかし象徴や暗喩を多用しながら、啓示が暗号化されて書かれた書物と考えれば、見方は大きく変わると思う。 1945年にエジプトで発見された『ナグ・ハマディ写本』には、「トマスによる福音書」と呼ばれるものが含まれている。この冒頭にはイエスの言葉として、次のような一節がある。 「この言葉の解釈を見出す者は死を味わうことがないであろう」 信じるか信じないかということは

心身相関とヒーリング

(※長文4000字あります)    心と体は互いに深く結びついている。ストレスで胃がキリキリしたり、緊張で心臓がドキドキしたり、危険に遭遇して呼吸が乱れたり冷や汗をかいたりする。 それは心の状態が身体に反映することの典型的な例であり、大抵の人が経験していることだと思う。 ところがその逆に、身体の状態が心に影響を与えるということになると、なかなか自分では捉えにくい場合がある。 肩が凝って気分が重くなるという例などはすぐに理解できるが、何故かよくイライラするという人がいて、

自然治癒力と決意

 以前ボディワーク(施術)の仕事をしていた時のことをふと思い出す。セッションに来られたあの人は今どうしているかなと思う。施術した数千人のクライエントという数はプロとしてはそれほど多いとは言えないが、それでも印象に残るセッションもたくさんあって、そこから学んだことも実に多い。それは人間という存在を理解する上でとても貴重な経験となった。 その中でも、とある県立こども医療センターでの出張セッションは特に思い出深い。それはまた自然治癒力とは何かを考える上でも、たいへん重要な示唆を与え

親父への最後のヒーリング

 親父は数年前、93歳のときに病院のベッドで亡くなった。1か月前に会った時には人工呼吸器がつけられ話すことはできなくなっていたが、病室のベッドの横に立つとすぐに私だと気づいて手を差し出してきた。私も手を伸ばして握った。 暖かい分厚い手のひらだった。手を握ったのは実に私がまだ幼児だった時以来ではないか。 入院している人を見舞いに行って、手を差し出されたことはそれまでにも何回もある。 そういう時の握手は何故か力が入る。私が力を入れるのではなく、向こうが力を入れてくる。入院生活で