親父への最後のヒーリング
親父は数年前、93歳のときに病院のベッドで亡くなった。1か月前に会った時には人工呼吸器がつけられ話すことはできなくなっていたが、病室のベッドの横に立つとすぐに私だと気づいて手を差し出してきた。私も手を伸ばして握った。
暖かい分厚い手のひらだった。手を握ったのは実に私がまだ幼児だった時以来ではないか。
入院している人を見舞いに行って、手を差し出されたことはそれまでにも何回もある。
そういう時の握手は何故か力が入る。私が力を入れるのではなく、向こうが力を入れてくる。入院生活で