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風景

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身の回りにある様々な風景を撮った写真は撮影者ではなく、見る人の心を映し出す鏡。
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#平尾台

春を待つカルスト

 2月初旬、北九州市のカルスト台地「平尾台」では、毎春恒例の野焼きが行われた。野に燃え盛る炎を以前からずっと見たいと思っていたのだが、時すでに遅し。はたと気づいたのが当日夕方だった。 一週間後に訪れてみると、いつもはススキに覆われている山の斜面が、黒々とした剥き出しの地面へと様変わりし、膨大な数の岩石群を遠くまで見渡すことができた。 道端には早くも草の新芽が顔を出していた。一面新緑に覆われる日もそう遠くはないだろう。  平尾台は、愛媛県と高知県にまたがる「四国カルスト」

ススキ心と秋の空

 透明な青空。湧き上がる白雲。風になびくススキ。 日本の秋の空にはススキがよく似合う。 青色と黄金色とのコントラストが、よりいっそうそれぞれの美しさを際立たせている。どちらか一方が欠けても、どこか物足りない。背景に月があるのもいいが、それだとススキがシルエットだけになってしまうので、明るい日差しの下で見る方が好きだ。 北九州市北東部に広がるカルスト台地「平尾台」は、秋になると見渡す限り一面ススキに覆われる。先日訪れた時は、まだ始まったばかり。明るい日差しを吸い込んで、銀色に

野の道辺

(写真40枚)  野の道辺に降り注ぐ光が眩しい。 今は秋分と冬至のちょうど中間あたり。太陽の軌道は低くなり、明るい斜光がススキの穂を輝くシルエットで包みこむ。 野の草花たちは内に残る最後の色彩を解き放ち、今年の命の営みを終えようとしている。枯れ果てることに、戸惑いも躊躇いも怖れもなく、大地に帰るその時をただ静かに待っているようにすら見える。夏の日の、あれほど激しかった嵐を耐え抜いた強靭さも、散り際は呆気なく手放してしまう。 夏の日々を十二分に堪能し尽くした安堵。 種や

カルストは秋の風Ⅱ 3億4千万年続く大地の歌           

(9月3日投稿カルストは秋の風Ⅰ悠久の叙事詩|燿(hikari)|note続編  未投稿写真33枚) Hariprasad Chaurasia and Amareesh Leib Now

カルストは秋の風Ⅰ            悠久の叙事詩

 季節が変わる前にもう一度平尾台を見ておきたい そう思ったのは1ヶ月前に来た時は小雨交じりの曇天で 壮大な風景を見ることはできなかったからだ この日は清々しい晴天 遥か遠くの山並みまで見渡せる 暑い日差しは消え白雲が流れる空は高く爽やかな風が頬を撫でる 季節は早くも秋が始まっていた ピナクルと呼ばれる岩々を一面緑のすすき野が覆っている しかしよく見ると所々すすきの穂がもう出始めている 葉も幾分黄色味がかっているように見えた 道端には秋の野草がひっそりと咲いている 所々樹々

カルストの夏

北九州市小倉南区にあるカルスト台地「平尾台」。この時期は草に覆われ、眼にも涼し気な緑一色の景観が広がる。 台地全体が高原の爽やかな風にゆらゆらとなびいている。 平野部から数百メートルほど標高が上がるだけなのに、ここは大自然のど真ん中。見るもの感じるものすべて別世界。 足元の大地すべては結晶質石灰岩、大理石の山だ。 この緑の野が秋には一面金色に輝くすすき野に変容する。 訪れたこの日は小雨交じりの曇天。頂上付近は雲がかかり、遠くまで連なるカルストの風景は見ることができなかった。

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一滴から大海へ

変幻自在