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風景

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身の回りにある様々な風景を撮った写真は撮影者ではなく、見る人の心を映し出す鏡。
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#森

街中の森の春探し

 北九州市には森が多い。街や住宅地に隣接してすぐに原生林のような深い森が広がる公園がいくつもある。この足立公園の森もそのうちの一つ。標高600mほどの足立山の裾野に広がるエリアだ。新幹線停車駅の小倉駅周辺の繁華街からも3キロと離れていない。今まで名前は知っていたものの行ったことがなかったので、桜の開花に合わせて出かけてみた。 *** 今では美しい自然環境が多く残る北九州市だが、かつて高度経済成長期において深刻な公害問題に直面したという過去がある。この時にまず立ち上がったの

森の奥にあるもの

 誰もいない朝の森を歩く。清涼な空気と静寂が満ちている。ここは北九州市のほぼ中央部に位置する「山田緑地」。野性味あふれる公園だ。公園と言っても面積はおよそ140ヘクタール。東京ドーム30個ほどの広大な深い森である。ここは第二次世界大戦から戦後にかけて、旧日本軍やアメリカ軍の弾薬庫として使用され、約半世紀にわたって一般の人々の立ち入りが制限されていた。そのため開発の手が加えられず、結果として森の自然環境が長期間にわたり保たれてきた。弾薬庫の入り口はブロックで封印されたまま、山の

森の囁きは聴こえず

 北九州市の中央部、小倉北区から戸畑区、八幡東区にまたがる丘陵地帯に、街中とは思えないほどの深い森が広がっている。 それらは「到津の森」「中央公園」「金比羅山」「高見の森」そして「美術の森」の5ヶ所の森がひと続きとなっている。いずれも遊歩道で繋がっており、すべてを一通り歩くと2時間以上かかる。 「到津の森」には動物園と遊具施設。 「中央公園」はきちんと整備された公園らしい公園。 「金比羅山」は頂上に神社がある標高125メートルの小高い丘で、らせん状の歩道もしくは350段ほど

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真昼の木漏れ日

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夏色の森

県木の森の木の葉

 北九州市若松区にある高塔山の頂上附近にはあじさい園と共に、都道府県の県木が植えられた一角「県木の森」がある。木立の中を吹き抜ける風が心地良く、またいつも人が誰もいないのでお気に入りの場所の一つだ。 ところがよくよく見て回ると、施工当初からはかなり時間が経過し、管理もあまり行き届いていなかったようで、中にはすでに枯れてしまって標識だけが残っているものや、生き残っていても生命力の強弱によって生育に差があるという現状だ。 それでも樹の一本一本をじっくり見ていくと、それぞれの個性の

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森の木漏れ日

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森の光は若葉色

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輝く森

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森の朝

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天空の森に朝陽が降り注ぐ

北九州に移り住んで

 福岡県北九州市に移り住んで3か月。noteを始めてからもちょうど3カ月が経った。新しい生活と新しいチャレンジが平行して進んでいる。 当初の計画ではこの夏に滋賀での仕事を終えた後、東京の実家に戻る予定だった。ところが引っ越しの段取りを決めるタイミングに合わせて、いくつかの事情が一度に目の前に現れ、急遽正反対の九州へ転居することになった。 この歳にして見ず知らずの土地で新たなスタートを切ることになった。しかし出会うものすべてが新鮮。人生60歳から第二の青春と言うそうだが、もうす

琵琶湖のはなし

 福岡県に最近移り住む前は、関西の滋賀県に16年ほど住んでいた。滋賀といえば琵琶湖。とにかく広い。幅が最も広い北湖では、対岸が遥かかなたにあってほとんど見えない。 その面積は県全体の6分の1を占め、湖の周囲を取り囲むように山々が連なっている。山々は、京都、三重、岐阜、福井の4府県との県境。山と湖の間にのどかな田園風景の近江盆地が広がっている。  東京から16年前に滋賀に引っ越してきた時、琵琶湖の大きさに思わず心が躍った。その時が初めてではなかった。中学の修学旅行で一度