マガジンのカバー画像

花や虫たち

80
花の写真 時々花と虫たち
運営しているクリエイター

2023年7月の記事一覧

嵐の後の静けさ

 今月初旬、3日間断続的に続いた線状降水帯による嵐のような風雨は、九州北部に大きな被害をもたらした。ようやく過ぎ去った日の翌朝、市内にある公園の丘へ登ってみると、途中の上り坂や階段には大量の土砂が流れ込み、周辺の森の枝葉が散乱するなど、その激しさを物語る荒れ果てた光景が広がっていた。 丘の頂上にある花壇もまた、ついこの間まで咲き誇っていた夏の花たちが傷つき、へし折れ、枯れているのが見渡せる。所々残っている花も元気がなく、よれよれと立っていた。 そうした中、花壇の片隅に唯一

蓮の花の中の宝珠

(文3700字) 花菖蒲と紫陽花の季節が終ろうとしている。さて次に咲くのは何だろうと待っていると、市内にある植物園の案内に、今が蓮華の開花時期とあったので、出かけてみた。 前夜からの強い雨にぐっしょり濡れた赤や白の蓮や睡蓮が、木陰でひっそり咲いていた。水滴が重いのか、うなだれているように見える花もある。 それにしても不思議な花だ。 この世のものとは思えない異次元の空気感が漂う。 思わずじっと見入ってしまう。 そして昔聴いたことのある、チベット仏教のマントラ(真言