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アクセシビリティやっていき活動記録

この記事は以下のアドベントカレンダーの12月10日の記事です。

株式会社ハタフルでフロントエンドエンジニアを、同社の運営するWebデザイナー養成スクール「ハタフルアカデミー」では講師を務めている yshimizu と申します。
コーディングの仕事自体は始めて10年経たないぐらいなのですが、アクセシビリティに強い関心を抱え始めたのは約2~3年前と、割と最近です。

私が「アクセシビリティに力を入れたい」と志した当初、社内では「アクセシビリティ」という言葉自体を知らないという人が大半でした。
アクセシビリティを高めるには、デザインやサイト構成・テキストライティングなど、実装以外の工程にも理解や協力を得る必要があるので、だいぶツラい状況ですね……。
今では社内全体に言葉や概念が浸透し、制作チームだけでなく、ディレクターからも「アクセシビリティを高めるにはどうすればよいか」といった相談が上がってくるようになりました。

本記事では、どのようにして周りの人を巻き込んでいったのか、今後どうしていきたいかを含めて、社内における私の「アクセシビリティやっていき活動」を紹介したいと思います。

①それとなく話題に出す

弊社のSlackには、各々が気になる記事を共有するチャンネルがあります。まずはそこでアクセシビリティに関する記事を流して、「アクセシビリティ」という単語に触れる機会を増やすことにしました。

いま振り返ると、単語の刷り込みと同時に「私が関心を持っていること、やっていきたいこと」の表明にもなっていたように思います。

②一人でもやれることはやる

社内にアクセシビリティをやっていく仲間が増えるまでの期間中は、工数を圧迫しない程度に、自分ができる範囲でやれることをやりました。適切なマークアップやaltを心がけるなど、だいぶ基本的なものばかりではありますが、やらないよりは絶対良いので……。

また、弊社の制作チームは全体として「良いものをお客様に提供したい」というマインドがあり、実装側からデザイナーへ「こういう理由で、こうしてほしい」と要望を出すことができる環境でした。なので、私の領域外であるデザインについても、修正してもらえそうな箇所は意見を出すようにしました。

③まずは制作チームへ呼びかける

だいぶ「やたら yshimizu がアクセシビリティの話題を出すな……」という空気ができてきたところで、社内の制作チームに「アクセシビリティ関係のセミナーに一緒に参加しませんか?」と呼びかけてみました。

「アクセシビリティ向上にあたって直接的なところに関わる人たちだから」という理由もありますが、チームの共通意識が増えることで良い仕事ができるといいなという期待もあって、まずは制作チームに絞りました。

嬉しいことに何人かが「一緒に受講したい」と言ってくれて、中には受講後に感想を共有してくれた方もいました。
セミナーには参加しなかったものの、感想やレポートを読んでくれたメンバーも居り、チーム内の共通意識ができてきました。

④社内勉強会を開く

アクセシビリティ関連の情報をSlackに流し始めておおよそ半年後のことです。
当時、社長との定期面談の場で「アクセシビリティを頑張ってみたい」と話をしたところ、社内勉強会を開くことになりました。ここでようやくディレクターやマーケター、営業の方々などの制作チーム以外を巻き込む機会が訪れました。

内容としてはほぼ先人の方々の受け売りそのままですが、制作チーム以外も対象になること、またそういった方々にアクセシビリティを高めるための協力を仰ぐべく、以下のような話をしました。

  1. アクセシビリティとは何か

  2. アクセシビリティを高めることで、ビジネス的にどんなメリットがあるのか

  3. アクセシビリティを高めるために何をしてほしいか

とくに大事なのは「3. アクセシビリティを高めるために何をしてほしいか」という話じゃないかなと思っていて、「具体的に何をしてほしいか」と「最終的にどうなりたいか」を提示しました。

ちょっと当時の勉強会のスライドを一部抜粋します。

デザインや実装は我々が頑張ります。現在進行形で取り組み中!
まずは意識だけでも興味関心を持ってください。ゆくゆくは提案材料として、ワークフローの中で、的確に指摘ができる・自然と話ができるようになると良いですね

「実際に直接影響が出る部分については任せてほしい」「まずは意識や興味関心だけでよい」とすることで、アクセシビリティに対する「なんか難しそう」という意識のハードルを下げました。
「何やればいいかわからない」に対しても、「意識するだけでも全然ちがうから、今はそれだけでいいよ」というアンサーを出すことで、安心感が変わるのではないかと思います。

また、同時に「もしクライアントからアクセシビリティの話が上がったとき、逆にこちらからアクセシビリティについて言及したいとき、バックに任せてよい人がいる」ということも伝えました。
これによって、営業やディレクターといった方にとって提案の場で出せる・使えるカードが1枚増えたことになります。

個人的にはそのまま勢いで提案の場にアクセシビリティという手札を出していくのかなと思っていたのですが、弊社の営業やディレクターはとても真面目で、上手な使い方を考える方向で動いてくれました。「提案資料に盛り込みたいから、資料を作ってほしい」という相談が上がってきたのです。
しかもこちらで作成した資料をそのまま使うのではなく、きちんと「ここに書いてある内容なんですけど……」と自分なりに調べた上で確認や質問をしてくる徹底ぶりでした。

振り返ればとても拙い勉強会ではありましたが、これをきっかけに社内における意識が大きく変わったので、やってよかったなと思います。

⑤そして社外へ

冒頭の自己紹介にも書きましたが、弊社ではWebデザイナー養成スクールも運営しています。
事業立ち上げに当たって「授業内容やカリキュラムを考えよう」となったとき、真っ先に「アクセシビリティの話はどこかでしたい」という話が上がりました。私はもちろんですが、関係者の全員が「ぜひ組み込もう」と言っていたのを覚えています。

さすがに基本を全部説明するのは時間的に厳しいのと、受講するのがデザインについてもコーディングについても初心者であることを加味して、実際には軽めの内容にとどめています。
具体的には言葉の説明と「マークアップをしっかりやろうね」「代替テキストを設定しようね」といった感じです。

非常に簡単な内容ではありますが、生徒さんから「ちょっと興味が出てきた」「詳しく調べたいと思った」といった感想をいただいており、アクセシビリティ対応の入口に立つための案内程度はできているのかなと思います。

その他、実務でも機会をいただければクライアントに対して「見出しを適切に使う」「代替テキストを設定する」といった運用面でできること・やってほしいことを説明しています。

⑥今後どうしていきたいか

自己紹介の記事にも書いたのですが、「身近な場所で、世間話感覚で、一緒にアクセシビリティの話や勉強ができる仲間」を作りたいなと考えています。そのためにも私自身たくさん勉強をして、スクールのほうで特別授業や、何らかのイベントが開催できるようにしたいです。

最終的には制作する立場の人たちだけでなく、クライアントをはじめとした地域全体が、アクセシビリティに対する意識を持つようになったら最高ですね!

まだまだよわよわな私ですが、できることからやっていく・できることを少しずつ増やすを繰り返しながら、これからも「アクセシビリティやっていき活動」を頑張っていこうと思います。

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