昆布ツーリズム モニターツアー③ 「削りたて昆布は、口の中で溶けていく」
昆布ツーリズムの最大のお楽しみは、「昆布削り」
なんといっても、高岡は、『昆布王国』。「昆布への愛は、海より深い」というほど、昆布は、高岡市民のソウルフードとなのです。
おにぎりは、海苔よりも昆布。 白とろろと黒とろろの昆布おにぎりは鉄板です。
昆布削りを体験するために、「扇子昆布店」をお訪ねしました。
「扇子昆布店」では、今も、黒とろろ昆布とおぼろ昆布を削って販売されていて、他にも、扱う商品は最上級の羅臼昆布を中心に30種類以上という昆布専門店です。
今も、昆布を削っている昆布職人は、高岡では、2人だけというので、貴重な存在です。
昆布は、お店で買うことはあっても、削りたてを食べることなんて、そうはありません。贅沢なことですねー。
削りたての昆布は、なんたって、ふわふわなのです。
柔らかくて、口に入れると溶けていきます。
この、ふわふわを体験してもらいたいので、早速、扇子昆布店のご主人に削っていただきました。
さあ、試食。
おぼろ昆布の削りたてを青木さんに口に入れてもらいました。
「わっ、何これ!!溶けてなくなった」と青木さんもびっくりするほど、 シルクのような柔らかさ、綿菓子のような、溶けていくような感触は、 削りたてを食べないと味わえません。
これを味わってもらいたかったのですよー・・・・
「これはすごいね、東京の一流の料理屋に出したいねー」と言いながら、 いよいよ、青木さんも昆布削りに挑戦です。
まずは、削り方を教わります。
見ていたら簡単そうに見えるのですが、実際にやってみると、これが結構、難しいのです。
本当なら、かんなくずのように、シュー――っと薄い木くずのように削られてくるものが、どう頑張っても、長く削れない。 鰹節の荒削りのようになってしまうので、青木さんも大苦戦。
熟練の技はなかなか真似できません。さすがでございます。
あっ、そうだ!!
「黒とろろ昆布」の試食をしなくてはと思い、 青木さんに「黒とろろ」を 口にしてもらった瞬間、ムセてしまいました。
そうなんです。黒とろろは酸っぱいのです。
扇子さんに、おぼろ昆布と黒とろろ昆布の作り方の違いを聞いてみました。
まずは、長い昆布を束ねます。
「黒とろろ昆布」の場合は、
昆布の表面を削ったものなので黒いのですが、削る包丁の種類が違っていて、包丁を細かく細工して、のこぎりのように、ギザギザにしたもので削っているそうです。
そして、昆布を甘酢に浸して、一晩寝かした表面をそのまま削るから 甘酸っぱい。だから、ご飯に合うのです。
「おぼろ昆布」の場合は、
束ねてある昆布を甘酢に浸して、一晩寝かしたものをさらに乾燥させて、酸っぱみを取ります。それを、先を曲げて引っかかるようにした包丁で、削っていくのが「おぼろ昆布」。
特に中心に近いところは白いので、「太白おぼろ昆布」。
ただ「太白おぼろ昆布」では、すっと溶けていくので、食感をすこし残したいという方のために、表面に近い黒いところを入れた「中白おぼろ昆布」があります。
なんと、こんなに手間がかかっていたとは!!
聞いてビックリしました。
よくスーパーで目にする「白とろろ昆布」は、 おぼろ昆布を削って残った部分を業者に出し、そこで、重ねらて厚みを 出したら、側面を機械で削り、うす皮状にしたものだそうです。
ちなみに、扇子さんでは、白とろろ昆布は、販売していますが、 お店では削っておらず、おぼろ昆布を加工した際に残った部分を業者に 出して、加工されて戻って来たものを販売しているそうです。
また、昆布の味も、それぞれのお店で甘酢の味が違うので、それぞれに違うんだなーとわかりました。
果敢に昆布削りに挑んだ青木さんも、真昆布、椎茸昆布、佃煮昆布、白おぼろ昆布など様々な昆布を購入。
自分で削った分はお土産に。
最後に残った昆布の芯の部分をプレゼントしてもらい、 「ばってら寿司にしようー」と嬉しそう。
昆布って深いなー、昆布って凄いなーと、いつもながら思うのです。
これで、たくさんの料理に、いろいろな使い方がされるのだから、 私たちをどれだけ幸せにしてくれるのだろうか・・・・
それにしても、こんなに手間暇かけて、おぼろ昆布が出来上がっていたとは思わなかったー。包丁もしっかり研いで、常に万全の仕事をされていました。
クラフトの町高岡に、また一人、素晴らしい職人魂を見ました。
「あーご飯食べたくなった、白ご飯欲しい」と青木さん。
「私もー」
あったかいご飯があったらなーーーと二人の頭の中は、 ご飯でいっぱいになったのでした。
次回は、「昆布ツーリズム モニターツアー④」 昆布づくしの如月の宴へ
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