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最近の記事

改修記録 金閣寺東の町家(4)

内部仕上げに入っていきます。 今回は壁に二種類の素材を使います。 ひとつ目は「中塗り仕上げ」と呼ばれる土壁です。 伝統的な土壁は竹を編んだ下地→荒壁→中塗り→仕上塗(漆喰など)の順で仕上げますが、途中工程である中塗りをそのまま仕上げにしてしまったものが中塗り仕上げです。町家にも多く見られ、元の建物にも使われていました。 今回は断熱材を入れるため、荒壁の代わりにラスボード(凹凸のある石膏ボード)を貼り、その上に中塗り土を塗ります。伝統工法の土壁に比べて費用も抑えられます。

    • 改修記録 金閣寺東の町家(3)

      工事が始まりました。 まずは設備配管のため、残っている土間をすべて解体します。 通り庭(土間)の下に給排水、ガスの配管を仕込んでいます。もちろん重機は入れないので、土を掘るのも全て手作業です。 古い建物では床下に土が露出していましたが、 湿気があがってくる原因となるため、防湿フィルムを敷きこみます。 既存の基礎に差し筋(鉄筋を差し込むこと)をし、新しい土間と緊結します。 防湿フィルムの上から土間コンクリートを打設します。 土間コンクリートが固まったら、長い年月で下がっ

      • 改修記録 金閣寺東の町家(2)

        既存建物を実測します。残存する図面と実際の寸法や形状を照らし合わせます。手摺格子や建具も細かく採寸していきます。 実測には3Dスキャンも併用しました。手で測るのは大変な屋根や複雑な梁の形状も、今やiPhone1台で(!)手軽に3D化できるようになりました。 実測結果を図面に起こします。このような詳細の断面図を、建築用語で矩計図(かなばかりず)といいます。単に形状を示すだけでなく、各部の納まり、寸法、材料といった「建物がどうつくられているか」をあらわす図面です。 図面がま

        • 改修記録 金閣寺東の町家(1)

          金閣寺のほど近く、元・西陣織職人の住まいを改修することになりました。 築95年が経ちますが、建築当時の姿が状態良く残る小さな町家です。 町家といえば表の格子が印象的ですが、繊維業の店構えにつくものは特に糸屋格子と呼ばれ、糸や織物の色を見るのに光が入りやすいよう細い木材でつくられました。上部が切り取られた短い棒を切子といい、これが4本なら織屋、3本なら糸屋、2本なら呉服屋というように切子の本数で業種もわかるようになっています。この家は元・呉服屋ということになります。 玄関か

        改修記録 金閣寺東の町家(4)