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【事例(3)】:演じてみて、描いてみて、商品開発

商品企画や製品開発でも「グラスト」を活用いただいています。

近年、商品開発の「考えドコロ」が変わってきています。消費者心理の研究も多方面で進んできましたが、今のように市場が成熟化してくると「買いたいものが分からない」「買った理由がわからない」などと、人のニーズは言語化されずに潜在下に眠った状態になっています。

商品企画、製品開発がはじまるのはまさに暗中模索の状態からです。「モノ」としてのデザイン、つまり素材やカタチ、大きさ、機能などの設計以前にその商品の「意味」から再構築しなければなりません。

商品の「意味」を再構築するとはどういうことでしょう。

まずはその商品を使ったときの「経験価値」、
その商品がもたらす「状況への影響」、
その商品を所有することによる「自己アイデンティティの拡張」…など、ひらたく言えば「商品とヒトとの関係」をつくりなおすことです。

このようなつかみどころのないプランニングになると、フレームワークで整理しても、エクセルデータを参考にしてみても、机上では発想がなかなか前に進みません。

そこで紹介する3つめの事例は、これも性質上秘匿性が高いので「某家電メーカーの製品開発」としか言えませんが、即興劇で状況を演じながら思考する「アクティングアウト」という手法と「グラフィック・ストラクチャー」を掛けあわせたユニークな進め方です。

「ニーズが意識にのぼらない」という話をしましたが、そんな状態でも「身体が知っている」ということはよくあることです。
アクティングアウトは「モノとヒトの状況」を擬似的につくり即興で演じながら、カラダ全体をつかって全感覚をつかって発想していきます。

そこで出てきた何気ないひとことや気づきをていねいに掬い取りながら、グラフィック・ストラクチャーで可視化・言語化・構造化します。「身体知」を「意識化・意味づけ」することで、開発アイデアのタネにするのです。

「状況というレンズを通して人を見る」のが社会心理学の基本だそうですが、グラフィック・ストラクチャーは即興劇でつくりだした「状況」をとらえ、断片的な要素をつなぎ合わせながら、商品とヒトとの関係をつむいでいきます。

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