アイスのミントは最後まで残して。Leave the ice cream mint to the end.
オト:男。クールでミントのような男性。
ヒナ:女。Mあり。女優になる女性。
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ヒナ:ねぇねぇ。
オト:……何?
ヒナ:アイスの上に乗ってるミントって……食べて良いの?
オト:……急に何?
ヒナ:だって……皆残してるんだもん。
ヒナ:だから、食べて良いのかなぁーって。
オト:ミントだから食べて良いんだよ。
ヒナ:でも……どのタイミングで食べるか……迷っちゃうよ……。
オト:(溜め息をつき)……久しぶりに会ったのに……まだ迷う癖、治っていないんだね。
オト:(突き放すように)好きなタイミングで食べれば良いだろう?
ヒナ:(困ったように)うーん……。
オト:(再び溜め息をつき)……ヒナが食べないなら、僕が食べちゃうよ?
オト:ほら、こっちのアイスに乗せて。
ヒナ:それはそれで嫌だなぁ……。
オト:何だよ、なら最後に食べれば良いじゃないか。
オト:最後に食べれば口の中、さっぱりするんじゃない?
ヒナ:あ、そうだね!そうする!!
ヒナ:やっぱりオトは凄いね!頭良い!!
オト:大したことじゃないけど……。
ヒナ:でも、ここのコーヒーフロート、すっごく美味しいね!
ヒナ:久しぶりに田舎に帰ってきたら、こんなお洒落なお店が出来てるんだもの。
ヒナ:(感慨深そうに)……何だか驚いちゃったなぁ……。
オト:そう?都会にはこういうお洒落なお店多いから行き慣れてるんじゃない?
ヒナ:いやいや、全然!!私、まだ友達出来てなくてさ……。
ヒナ:(寂しそうに)何だか私だけ置いてけぼりみたい……。
オト:ヒナは寂しがり屋だもんね。
ヒナ:その点、オトは凄いよね!
ヒナ:私が居なくても全然平気そうだし!
ヒナ:何か……少し寂しいな……。
オト:まぁ、いつも通りの日常を過ごしているよ。
ヒナ:そっか……。
オト:うん。
ヒナ:(思い出したかのように)あ、そうだ!私ね?
オト:ん?
ヒナ:今度映画に出ることになって、キスシーンを撮ることになったんだ。
オト:そっか、凄いね。
ヒナ:うん……でも、ファーストキスだから緊張しちゃって……。
オト:頑張りなよ、ヒナの夢が叶うんだから。
オト:女優になったら、そういうシーンいっぱい経験しなくちゃいけないんだよ?
ヒナ:わかってるけど……。
オト:なら、頑張りな。
ヒナ:はぁい……。
ヒナ:(小さな声で)……ねぇ、オト?キスシーンの練習相手になって下さい……。
オト:ん?何?
ヒナ:う、ううん!何でもないの!!気にしないで!!
オト:あ、そう。
ヒナ:(焦ったように)あー、何だか今日は暑いね!!
オト:そうだね。
ヒナ:……。
オト:ヒナ。
ヒナ:何?
オト:ちゃんとしたキスの相手は出来ないけど、間接キスくらいなら相手になるよ。
ヒナ:え?
オト:ほら、ミント、あーん。
ヒナ:ななな……!?
オト:ほら、早く。
ヒナ:で、でも……!!
オト:早く、結構恥ずかしいんだよ、僕だって。
ヒナ:あ、ごめん……。
ヒナ:じゃあ……遠慮なく……あ、あーん……。
オト:どう?僕との間接キス。
ヒナ:(小さな声で)は、恥ずかしいです……。
ヒナ:でも、ミントで口がさっぱりした……ありがとう、オト。
オト:うん、僕は飲み終わったけど、ヒナはゆっくり飲んでね?
オト:今日は久しぶりに再会したんだ、ゆっくり過ごそう。
ヒナ:(嬉しそうに)う、うん!!
オト:だけどアイスは早く食べたほうが良いかもね。
オト:溶けてるよ、すっごく。
ヒナ:ひゃあ!?
オト:あはは!
ヒナ:……オトの笑った顔、久しぶりに見た!
オト:そう?
ヒナ:うん!
ヒナ:何か最後に一緒に電車で帰って来た時以来見てないから……。
ヒナ:何かこっちまで嬉しくなっちゃった!オト様様ですね!
オト:大袈裟な……。
ヒナ(M):そう言ってそっぽを向いて照れるオトは、何一つ変わっていなくて。
ヒナ(M):私だけがただ違う方向を向いて歩いて行っているだけで、何も変わらない。
ヒナ:ねぇ、オト?
オト:ん?
ヒナ:私がキスシーンする映画、絶対観に来てね。
オト:まぁ、気が向いたらね。
ヒナ:あはは!オトらしい返事だなぁ。
ヒナ(M):なんて笑ってコーヒーフロートを飲み干す。
ヒナ:あ、ミント食べなきゃ!
ヒナ(M):そう言ってミントを口に入れる。
ヒナ(M):口の中が少しひんやりして、けれどさっぱりして。
ヒナ(M):まるでミントがオトの性格を表しているかのように私は感じるのだった。
↑こちらの2人の久しぶりに再会した話です。
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