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緑色に焦がれる。

夏:夏女(なつおんな)と呼ばれる夏生まれの女性。
冬彦:冬生まれの男性。夏の彼氏。
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(SE:パソコンを打ち終わる音)

夏:あー、仕事疲れたぁ~。
夏:ねぇ、冬彦?カフェ行こ!

冬彦:お疲れさん。
冬彦:良いねぇ!アンタからお誘いなんて……珍しいこともあるじゃん。
冬彦:いつも俺が誘ってばかりだからなぁ。

夏:今日はね、緑色のクリームソーダが飲みたいの!

冬彦:え?夏、アンタは青が似合うのに?

夏:なんと!最近風の噂で聞いたんだけど、緑色のクリームソーダを飲むと……。

冬彦:飲むと?……ははっ、何だい?勿体ぶらずに教えてよ。

夏:もっとラブラブになれるんだって!

冬彦:よし、すぐ行こう!

夏:待って、冬彦!私、タイムカード押してない!

冬彦:あー!?早くしろ、この鈍くさ夏女!

夏:何よ!!?

冬彦:ふっ……怒った顔も……やっぱ可愛いな、夏は。

夏:う、うるさい!!

【間】
(SE:歩く音)
(SE:ドアを開ける音)
(SE:店員の「いらっしゃいませ、少々お席が混んでいますのでお待ち下さい」の声)

夏:あー、やっぱり……いつ来てもお洒落ね、このカフェ!

冬彦:俺たちの思い出の店だもんな。
冬彦:あの時はさ、店員にいろいろ邪魔されたけど……今日は大丈夫だろ。

夏:邪魔されたの?

冬彦:あぁ~……何て言うか、本当はこのカフェで告白するつもりだったんだけどさ。
冬彦:タイミング良く店員が料理持ってきて……で、後で告白する羽目になったのよ。
冬彦:……まぁ俺としては踏切前での告白はかなりドラマチックだったけどさ。

夏:ふーん。

冬彦:俺はアンタが入社した時から、”片想い”してたんだからな!

夏:一目惚れってやつ?

冬彦:ははは、そうだな!

夏:あはは!想われてるなぁ、私!

冬彦:でも、夏は鈍感だからさ。
冬彦:俺がアプローチかけても全く気付いてくれなくて……。
冬彦:本当、告白に答えてくれてありがとな。

夏:冬彦の熱い気持ちが伝わったのよ、私に。
夏:一生愛してくれそうだもん!

冬彦:お?何?プロポーズ、期待してる?

夏:えへへ……、もっとラブラブしたいし、ずっと一緒に居たいから……。
夏:私をお嫁さんに貰ってくれませんか?

冬彦:ははは!逆プロポーズされちまったぁ!

夏:本当に冬彦、好きだよ。

冬彦:俺も。

(SE:店員の「お待たせ致しました、こちらにどうぞ」の声)
(SE:椅子に座る音)
(SE:店員の「ご注文はお決まりでしょうか?」の声)

夏:新緑のクリームソーダと、季節限定のイチジクのタルトを一つ下さい!

冬彦:俺も今日はクリームソーダとケーキにするか……。
冬彦:それをもう一つ。

(SE:店員の「畏まりました」の声)

夏:もうすぐ、夏も終わるね?

冬彦:そうだな……寂しいぜ。

夏:でも、また貴方の生まれた季節がやってくるね。

冬彦:悲しいことに、さみーの苦手なんだがな……。

夏:また一緒にお祝いしようね?

冬彦:おう。

(SE:店員の「お待たせ致しました」と料理復唱の声)

冬彦:でも本当にここのカフェ、噂通りになるな。
冬彦:俺たちは緑のクリームソーダ頼む前にラブラブになっちまったけど。

夏:本当にね。
夏:ねぇ、冬彦。

冬彦:何だ?

夏:愛してるよ。

冬彦:っ!?
冬彦:……反則、可愛すぎ。

夏:(SE:啜る音)新緑のクリームソーダ、美味しい!
夏:イチジクのタルトも本当に美味しい!!
夏:ここのカフェはハズレが無い……やるわね!

冬彦:(感心したように)ふぅん……。
冬彦:前飲んでた青色も良いけど……緑も似合うな、アンタ。

夏:そうかな?

冬彦:あぁ。
冬彦:穏やかで、生命力の強さを感じさせる緑。
冬彦:アンタは本当に夏女だ。
冬彦:俺が恋した……憧れた、夏女だ。

夏:あ、ありがと。

冬彦:これからも守っていくよ、俺の大好きな夏を。
冬彦:ほら、手、出せよ。

夏:ん?

冬彦:指輪、買ってあるんだ。
冬彦:いつ渡そうかずっと悩んでたけど……今が一番良い。
冬彦:本当に俺のお嫁さんになって下さい。

夏:はい!!


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