見出し画像

特別編: TM 清水 vs 松本山雅

順番は前後しますが、5/19(日)に三保で行われたトレーニングマッチの松本山雅戦についてレビューを書きたいと思います。

横浜FC戦の控えメンバーも出場

この試合、清水ユースのメンバーが試験期間中ということで出場ができなかったため、前日の横浜FC戦に出場した控えメンバーも、メンバー入りする形となりました。私自身も、前週のHonda FCとのTMと同じような形式になると想定したので、乾・タンキ・西澤・松崎・北爪・吉田・沖といった主力組が、長い時間見れたのはポジティブサプライズでした。
松本山雅については、公式でもスコアと写真のみの開示であるため、こちらのnoteで触れることは避けます。

前半のメンバーとシステム

前半の清水のメンバーはこのようになりました。

清水 vs 松本 清水の前半スタメン

リーグ戦のスタメンといっても遜色のない、ワクワクするメンバーですね。特にこれまでリーグ戦では長い時間一緒にプレーをみることがなかった、タンキと乾、乾と郡司なんて組み合わせは清水サポならみんな見たいのではないでしょうか。

前半のメンバー

前半の基本システムは、4-2-3-1。但し、守備時は4-4-2となり、乾がタンキと共に最終ラインに前プレスをかける形。ボランチの2人は白崎がアンカー的な動きで最終ラインとのつなぎ役をして、成岡が攻撃的ボランチとして、精力的にピッチを駆け回り、時には最前線まで駆け上がっていました。
また郡司と松崎の両WGは、利き足が内側であるために、サイドではる形よりも、内側にポジションをとることが多く、SBの北爪と吉田とレーンを分けることができていました。
おそらく開始前から決まっていたのだと思いますが、前半20分に郡司→西澤と交代がありました。(乾が前半のみの出場であったため、郡司・西澤双方に乾とプレーする機会を与えたのだと思います)
動画の撮影は禁止だし、当然ながら配信されて、リプレイを見ることはできないので、リーグ戦の公式戦以上に、集中して試合を観戦しました。
ちなみに今回のTMは写真のようにピッチが見学席から通り、三保グラウンドの奥側でした。前半は清水が写真の右側に攻める形で右サイドのプレイヤーが良く見え、後半は逆に左サイドのプレイヤーが良く見える形でした。

三保グラウンドの奥側を使用

前半の展開

前半の序盤は締まったゲーム展開に。松本も、前日に北九州戦があり、控え組中心だと思いますが、J2の首位相手に活躍して出場機会を得たいという想いからか、公式戦と変わらぬ強度でプレーしてくれていました。
ピッチには、沖のコーチングの声と、乾のプレスの指示の声がとても響いていました。こうした声が聞こえるのも、トレーニングマッチの良さですね。清水は、前線にターゲットとなるタンキがいて、トップ下にゲームメーカーの乾。左右に、ドリブル技術の高い松崎と郡司。白崎がアンカーとしてバランスを取り、成岡が自由に動く。機をみて北爪がオーバーラップ、左サイドバックの吉田はそこまで上がらずにバランスを取る形。CBも高さのある森重とカバーリング能力の高い高木。そして最後尾からチームを動かす沖と、選手の特徴とポジションが嚙み合っているので、見る側としても迷いがなく面白かったですね。(HONDA FC戦は慣れないポジションで起用される選手が多かったので)

さて、展開としては、最初にチャンスを得たのは清水。前半5分過ぎだと思いますが、タンキが前線からプレスでこぼれたところを、乾と郡司がワンツー(これだけでご飯何杯かいけますね)で抜け出し、乾が左サイドからクロスをあげるも、郡司には合わず。
さらに清水はアンカーの位置で白崎が受け、相手に囲まれて奪われると思いきやうまいターンで前を向いて、センターレーンでまっすぐタンキに速いグラウンダーの楔を入れます。これぞ白崎の真骨頂と言えるプレー。タンキは後ろ向きで受けて左サイドに展開すると、スピードに乗った郡司が相手SBをぶっちぎり、深くまで進入。シュートは打てませんでしたが迫力ある攻撃でした。
数分後に今度は右サイドからの良い攻撃。北爪が松崎との連携で裏を取り、ゴールラインまで駆け上がって、マイナスのクロス。乾に渡り、乾はダイレクトでも良かったですが、トラップしてシュートコースを探ります。結果的には打てませんでしたが、良い形でした。

前半20分に、郡司→西澤の交代。西澤はそのまま郡司の位置に入ります。

清水 vs 松本 前半30分からのメンバー

それ以降は松本の反撃を受けますが、高木践のカバーが冴えわたり、決定的なチャンスは作らせません。
そして前半34分、清水の先制点が生まれます。乾の「タンキ、GO!!」という指示(命令?)を受けて、左サイドの深い位置で鬼プレスをかけ、ボールを奪います。慌てた相手DFを、身体でブロックしてPA内で鬼キープをして、優しいマイナスのクロスを乾に。乾は空いているゴールに流し込むだけでした。タンキの強さが際立ったゴールになりました。復帰した乾にゴールが生まれたことも嬉しいですね。

先制点後の様子

先制点から5分後の前半39分に、清水が追加点を奪います。白崎から右サイドの北爪に展開。北爪は一気にスピードに乗って右サイドを突破すると、そのままのスピードで、少しアーリー気味に速いクロスを供給します。そのクロスにニアサイドでドンピシャで合わせたのがタンキ。ライナー性のヘディングによる鋭いシュートが、相手ゴールのニアに突き刺さります。まさに「This is タンキ」といえるような豪快なヘディングゴールでした。シンプルな形ではありますが、リーグ戦でもタンキと北爪を同時に出す理由はこの形にあると思います。もっと積極的に狙って欲しいですね。

その後も清水は立て続けにチャンスをつかみます。高い位置でボールを奪って、松崎のミドルシュート。こぼれ球に成岡が反応するもキーパーキャッチ。また右サイドで北爪か松崎が高い位置で奪って中央にいたフリーの乾にパス。乾のインフロントでのシュートは左上角のバーにあたりゴールならず。こちらはオフサイドだったかもしれません。
2-0で前半は終了しました。

後半のメンバーとシステム

後半開始。ハーフタイムで、乾→千葉寛太、北爪→川谷凪の交代をします。

清水 vs 松本 後半開始のメンバー

乾を下げ、千葉を投入したことにより、システムは、乾不在時の基本形である4-4-2に変更します。
このタイミングで川谷凪選手を入れるというのは、ルヴァンカップ富山戦では延長まで出さなかったことを考えると、秋葉監督の中での評価が高まっているのだと思います。確かに、富山戦でわずかな時間でしたが、良いパフォーマンスでしたし、前回のHONDA FC戦では複数のポジションで良いプレーを見せていたので納得です。怪我で出遅れましたが頑張ってほしいです。
また富山戦以来となる千葉とタンキの2トップ。正直、富山戦は連携があまり取れていなかった印象。二人とも、裏抜けよりはDF背負って足元で受けたいタイプなので被りやすい印象なので。この2トップの連携にも注目です。

後半開始のメンバー

ちなみに、この交代で、なぜ川本梨誉を出さないんだろうと思いましたが、群馬への復帰が翌日発表されましたので、既に群馬に向かっていたのでしょうね。川本選手には、苦しむ群馬を救うような大活躍を期待したいですね。

後半の展開

後半は、左SHの西澤健太とボランチの成岡輝瑠、そして交代で右SBに入った川谷が躍動しました。

まずは立ち上がり早々、左サイドの西澤からの左足での鋭いタンキめがけたクロス。タンキには合いませんが、相手もクリアしきれず、ファーに流れたところで、オーバーラップをした川谷が右足でのボレーシュート。キーパー正面ではじかれて、タンキが詰めましたがわずかに合わず。
さらにその後にも再び西澤健太が起点となります。今度は右足での素晴らしいサイドチェンジ。川谷、松崎とつないで、中央に走り込んだ西澤がシュート。枠を外れますが西澤起点にいい形を作ります。
この後、後半11分に、これは予め決まっていた交代だと思いますが、松崎→郡司の交代。郡司が今度は右サイドに入ります。

後半11分から

その後も西澤起点に何度か良い攻撃をします。
そして後半22分。右サイドのハーフレーンで受けた成岡が、見事なマルセイユルーレットで相手を交わし、そのままのスピードで、トップの位置にポジションを移していた西澤と綺麗なワンツー。完全に裏に抜け出してGKと1対1になり、ゴール右に流し込んでゴール。成岡の個人技が生み出した見事なゴールでした。これで3-0。
その直後の後半24分。再び成岡選手のゴールが生まれます。楔のボールを受けたタンキが、大きな身体からは想像しにくい、左足のアウトサイドでのテクニカルなパスで、左サイドに落とし、受けた西澤が迷わず、相手を抜かし切る前に、左足での美しく精度の高いクロス。これに、良く走り込んでいた川谷が頭で落として、またまた良く走り込んでいた成岡が右足のキレイなボレーでゴール。4-0。トップチームでもなかなか見れない素晴らしい攻撃でした。

その後、後半25分にタンキを下げて安藤を投入。これで郡司がトップに上がり、千葉とツートップを形成。

後半25分から

裏抜けの得意な郡司と、ポストプレーの得意な千葉で、この方が2トップの組み合わせ的にはしっくりきました。
さらに後半30分に、負傷した西澤に代わって、45番の練習生を投入。さらに後半34分に吉田に代わって42番の練習生を投入します。西澤選手は素晴らしいパフォーマンスだっただけに心配ですね。

後半34分から

この二人の練習生は、Xでの情報提供により、静岡産業大の2人で、45番は4年生の大石選手(静学出身)、42番は2年生の無田選手というそうです。大石選手は短い時間でも存在感を示していて、試合終了後にも古川コーチに褒められていました。 

練習生の2人(右から2番目が大石選手、3番目が無田選手)

また短い時間でしたが、個人的には高木践選手の3バックのアンカーの役割は個人的には痺れましたね。読みの良さ、カバーリング、足元の技術の高さを持つ高木選手の適性ポジションはここだと考えていて、とても良いプレーをしていたように思います。
そのまま試合は4-0で終了。良いトレーニングマッチになりました。

4-0で勝利

主な選手の感想

この試合、みんな良かったと思いますが、特に良かったと感じた選手について触れていきたいと思います。

試合後の挨拶
  • タンキ選手・・・前半1ゴール1アシストの活躍。1点目の乾のゴールに繋がった前線プレスとキープ、2点目のヘディングはまさに重戦車の異名の通りの豪快なプレー。乾のコーチングも良かったのか、あまり好きではなさそうな前線からのプレスも頑張っていました。あと驚いたのは足元の技術も高いこと。ちゃんと収めることができるし、パスも正確でした。

試合後のタンキ選手
  • 乾選手・・・前半のみの出場でしたが、30分程度出場した、横浜FC戦の翌日でありながら、コンディションは上がっているようでした。次の水戸戦はスタメンでの出場もあるのではないでしょうか。

試合前の乾選手
  • 西澤選手・・・ここ最近の試合の中では、圧倒的に最高のパフォーマンスでした。特に驚いたのが左足の精度の高さ。2-3度素晴らしいクロスを左から上げていました。西澤選手の適性ポジションは、4-4-2の左SHですね。ここなら左足のクロス、中へのカットインによる右足でのシュートなども期待できますね。横浜FC戦の前に、Jリーグ開幕戦の横浜フリューゲルス対清水エスパルスを見たのですが、当時の澤登選手と、西澤選手はボールの持ち方が本当に似てますね。怪我は心配ですが、何もなければ出場機会も増えると思います。

  • 郡司選手・・・スペインのマジョルカでの「短期留学」を得て戻ってきた郡司選手。気のせいかもしれませんが、プレーに余裕と自信があるように見えました。先輩の唯人と同じく、ドリブルよし、シュートよし、パスよしの何でもできる万能型の選手。この試合は左右のサイドハーフ及びトップに入りましたが、どのポジションでも存在感を示していましたね。オンザボールはもちろん、オフザボールの部分でも走ってスペースでもらえる選手なので、他の清水のFW陣とも合うタイプだと思います。やはり楽しみです。

スペイン帰りの郡司選手
  • 成岡選手・・・この試合2得点の大活躍。特に1点目の流れるようなゴールは、成岡選手にしかできないと思います。現在、中村と宮本のダブルボランチは安定していますが、横浜FC戦のようにもし清水が点を奪いにいかなければいけない時のオプションとして、より攻撃力の優れる成岡を投入するのは面白いと思います。今季こそ花を咲かせてほしい。

  • 白崎選手・・・HONDA FC戦ではまだコンディション上がっていないかなと思いましたが、この試合は周りの選手の質があがったこともありますが、チーム全体のバランスを取るような、気の利いたプレーをしていました。長丁場のJ2リーグにおいて、やはり白崎選手が試合に絡んでこないといけないと思いますし、その実力は間違いなくあると思います。

  • 高木践選手・・・この試合は森重選手とコンビを組みましたが、高木選手の強みが発揮され、良いパフォーマンスでした。何よりカバーリング、危険察知能力が高く、危ない場面でシュートをブロックするなど、ディフェンス面でもいいですし、攻撃面でも足元の技術がしっかりしているので、縦パスなどでビルドアップの起点になっていました。

  • 森重選手・・・前回のHonda FC戦は、コンディションは悪くなさそうなのに出場機会を得られず心配していましたが、この試合はCBとしてフル出場。出場機会がなかったので、よっぽどプレーが良くないのかと思いきや、昨年平塚で観た森重選手から、一回りも二回りも成長している印象を持ちました。まず身長が高いので当たり負けしない。次にガッツがあるので相手に強く前に当たりにいける。そして、FWもこなせることもあり、キックの技術も高い。粗削りな部分はあるけどこの先楽しみです。

試合後に内藤強化部長と話す森重選手
  • 川谷凪選手・・・見れば見るほど次も見たくなるような、そんな選手ですね。昔清水には「つじおが空を飛ぶ」のチャントでおなじみの辻尾真二という攻撃的な右SBがいたのですが、まさにその攻撃的SBとしても可能性を感じさせるような面白い選手ですね。北爪選手はスピードで、走ってボールを受ける選手ですが、川谷選手は、自らボールを運べる選手。思いっきりの良い駆け上がりから、クロス・シュート・ヘディングいろいろなプレーを見せてくれました。本来は前目のポジションが本職だとは思うのですが、SBやWBでも楽しみな選手です。

  • 沖選手・・・やはり明らかにJ2のサブというポジションにいるのはおかしいというか、非常に完成度の高いGKという印象でした。とにかくコーチングの声が大きく、的確で、守備時のポジションのみならず、攻撃の際のポジショニングや、パスの出しどころまで、どうしてあそこまで試合見えているんだろうと不思議になるくらい、声を出していました。あまりピンチはありませんでしたが、ボールの処理も常に安定していましたし、パントキックの精度も高ったです。清水のゴールマウスは、もう5年・10年安泰ですね。今は本人出場機会が得られない悔しさもあると思いますが、権田選手からすべてを吸収して自分のものにしてほしいです。

ここで紹介していない、松崎・北爪・吉田などの主力組はさすがのプレーでした。それ以外の選手も、決して悪いプレーではなかったと思います。菊地脩太や川本梨誉がレンタル移籍となり、何人かけが人もいる関係で、層が厚いとは言えない中で、誰が頭角を現すか。天皇杯も含めて、この日出場したメンバーの活躍が楽しみです。

おまけ

ゴールを運ぶ秋葉監督
松本のコーチ陣と談笑する秋葉監督
西部さんと話す安藤選手
ファンの声援に応える沖選手
白崎選手

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?