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プロ野球のユニフォームから、一体感のデザインの仕方を考える。

こんにちは!designing plus nine(DP9)のgengenです。今東大の1年生をしております。この記事はDP9のアドベントカレンダーの一環として記事を書いていこうというものなのですが、何書こうかな〜〜〜〜〜〜〜〜〜とゴロゴロしていたらあっという間に公開当日になってしまいました。ということでこれは公開当日に書いた記事であることをご承知おきの上お読みください。無駄に日を過ごしたことへの後悔の念がパソコンにも伝わったのか、最初書いた時は公開当日の変換が後悔当日になっていましたね。慌てて直しましたが。

さて、これから何を書くのかという話ですが、僕は読売巨人軍のファンです。

アッそこの阪神ファンの人待って…読むのやめないで…

それで先日東京ドームに試合を観に行った時にもらったユニフォームがこちら。

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(画像はジャイアンツオンラインストアから。僕も持ってはいるもののいい写真にならなかった…)

こちらは橙魂ユニフォームと呼ばれるもので、東日本大震災の翌年の2012年からチャリティーも兼ねて行われてきた企画です。毎年数試合行われており、観客にもレプリカユニフォームが配布されます。

このようなプロ野球チームが主催試合のうち数試合で特別なユニフォームを配布し盛り上がるイベントはほとんどの球団に存在しており、今回の記事では主に今年の企画にフォーカスし、どのような方向性のユニフォームが作られているのか、それを考えてみようと思います。結論が早く知りたいよ!という方は読み飛ばしつつまとめに行っていただけると幸いです。

普段のユニフォームと比べてみる

それではまず各球団の普段のユニフォーム(ホームゲームのもの)と、特別なユニフォームを見比べていきます。まずはジャイアンツから。

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引用元:ジャイアンツオンラインストアジャイアンツオンラインストア

ジャイアンツのシンボルカラーであるオレンジを前面に押し出したデザインとなっています。橙魂ユニフォームのオレンジ色には毎年若干の変化があり、今年はやや主張が控え目です。袖のところを黒くした去年のデザインが最高だった…!(このノリで行くと他の球団についても歴史を語らなきゃいけなくなるのですがあまりよく知らないので割愛させてください…!)

お次はタイガースです。

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引用元;タイガーズオンラインストアタイガースオンラインストア

テーマカラーの黄色、そして名前にもあるとおり虎を全面にあしらったかなり攻めたユニフォームです。大阪のおばちゃんが好きそう。選手も苦笑いだったという記事をどこかで読んだような気がします。

次はドラゴンズを見ていきましょう。

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引用元:ドラゴンズオンラインストアドラゴンズオンラインストア

これも青というテーマカラーを全面に用いたユニフォームです。昇竜ユニフォームと呼ばれています。かっこいいですね。胸元のDや袖の雰囲気など、控えめなデザインがおしゃれです。過去には竜をあしらったデザインもありましたが、それと比べて見るとやっぱりシンプルイズベストなのだという教訓を与えてくれます(個人の感想です)。

お次は同じ青系の球団、ベイスターズです。

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引用元:ベイスターズオンラインストアベイスターズオンラインストア

こちらもテーマカラーは青ですがやや濃紺気味の色でしょうか。凝ってますね…近くで見るとわかるのですが細部までとても凝っています。胸元に大きく書かれているXYDBはベイスターズの親会社がDeNAになってから10周年であることを意味しています。今年の選手のトレーニングウェアにも書かれていますね。袖は星の金色と地の色がよく似合っていて好きです。北斗星の機関車を想起させる色合いです。

次はカープです。

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引用元:カープオンラインストアカープオンラインストア

カープは特にはユニフォーム配布などは行っていないのですが、同じく広島を本拠地とするサッカーチーム、サンフレッチェ広島のテーマカラーが紫であることから紫のユニフォームを着て(逆にサンフレッチェの選手は赤のユニフォームを着て)プレーする試合がありました。

セリーグ最後はスワローズです。

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引用元:スワローズオンラインストアスワローズオンラインストア

こちら左側のユニフォームはビジターユニフォームなのですが、なんでこれにしたかというと、ホームユニフォームは白地に赤や青の線が入っている感じでその二つを並べると右のユニフォームが突飛な感じがするかなと思ったからです。このユニフォームは「TOKYO燕プロジェクト」の一環で配られているのですが、過去のユニフォームから胸元の文字が白から紺になったり、袖の紺の比率が変わったのが変更点です。あまりよく知らないので偉そうなことは言えないのですが。胸元の文字を紺に変えたことで主張が強くなってとてもいいと思います。鮮やかさとシンプルさを兼ね備えていて僕は好きです。実際球場で着ている人も割と多いような気がします。気のせいかも知れませんが。

ここからはパリーグにいきましょう!まずはホークスです。

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引用元:ホークスオンラインストアホークスオンラインストア

右のユニフォームは鷹の祭典というイベントの際に配られています。2006年からやってるのすごいですね。ユニフォームは毎年デザインが激変し続けていて、赤、黄色、青、紫、水色、緑と実に多彩な色が今まで使われてきました。毎年要素は多くないのに色のせいで派手な印象を受けます。まあ球場が派手な色に染まるという点で言うとイベントの効果はありそうです。今までの紹介でその観点で物を見るのを忘れていた…

次はマリーンズです。

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引用元:マリーンズオンラインストアマリーンズオンラインストア

いや冷静にこのユニフォームはカッコ良すぎる。これはサマーユニフォームとして使われたものなのですが、今までのアロハシャツみたいなデザインから一新されて黒地にミントグリーンという落ち着きと斬新さを兼ね備えたデザインとなりました。親会社がロッテだしミント味の商品の販促になりそうな気もする。実際にその効果があったかは知りませんが。あとは特設サイトがかっこいいからみんな見て。

次はライオンズいきましょう。なんか派手だぞ…?

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引用元:ライオンズオンラインストアライオンズオンラインストア

左と右の温度差が凄まじいですね。右のユニフォームは彩虹ユニフォーム(最高ユニフォーム)と呼ばれており、選手それぞれの個性やカラーを出すことで最高の結果を出し、彩の国埼玉で王者に返り咲く、というメッセージが込められているようえす。確かに派手ながらも割と調和が取れているようには感じられます。

次は楽天です。

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引用元:イーグルスオンラインストアイーグルスオンラインストア(右二つ)

真ん中のユニフォームはFAN'S MATCHで配られるもので、地の色は濃いネイビーになっています。この色は伊達の勝ち色と呼ばれており、「調和や協力、勇気、栄光、深い知恵を表す」とされています。イーグルスのイメージカラーともあっていて素敵です。なんか学ランぽいですね。

右のユニフォームはTOHOKU BLUE ユニフォームと呼ばれており、東北の空をイメージした青色となっています。袖の部分にも特に色などは用いず、縦のストライプだけとなんだか高校野球をイメージさせます。胸元にTOHOKUと書かれているのが東北を背負っている感じがしてとてもいいと思います。キービジュアルは箭内道彦さんによるデザインだそうです。

次はファイターズです。

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引用元:ファイターズオンラインストアファイターズオンラインストアファイターズオンラインストア

一番左がいつも使っているユニフォームで、真ん中が「WE LOVE HOKKAIDOシリーズ」で用いられたもの、右が「HOKKAIDO be AMBITIOUSユニフォーム」となっています。普段のユニフォームと線の箇所などが似ている分だけ、他の球団に比べて派手派手しさは少なく感じるかもしれません。ただどれも同じ青でも少しずつ違う色を用いていますし、真ん中は肩口に海をイメージしたグラデーションとライラックの花が用いられているのが特徴になっています。個人的には胸元の文字がHOKKAIDOになっているのが北海道を代表しているんだぞ!という意識が感じられて好きです。

最後はオリックスです!ここまで長かったですね。

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引用元:バファローズオンラインストアバファローズオンラインストア

右のユニフォームはBs夏の陣と呼ばれるイベントで用いられたもので、色以外にはほとんど変化がありません。が、濃い灰色と鮮やかなグリーンのコントラストが素敵です。グリーンをユニフォームに用いると割と微妙な感じになりがちですがこれは文字など限られた部分に使用しているのがいいのかもしれません。

まとめ?

本来ならここで全体の傾向を見ようと思っていたのですが、これ全体の平均的な傾向を見たところであまり意味なくね?という事実に思いあたったので、どのようなパラメーターがあるのかをまとめてみようと思います。

配布ユニフォームに求められることは、普段ファンが見ているものとは違うのだという印象を与えること、そして球場でみんながそのユニフォームを着ることで一体感を感じられるようにすることだと思います。その上で大きく構成要素を3つに分けるとすれば、それは色と情報量、そしてストーリーだと思います。

色については各チームがテーマカラーを用いている場合が多いようです。しかしこの場合でも、全面にその色をあしらったり(ジャイアンツ、ドラゴンズなど)、普段の色とほぼ同じ方向性であっても明度などが普段と異なる色を用いたりする(ファイターズなど)ことで、新鮮な印象を与えることができます。また、普段と違う色を用いることは、端的に非日常性を演出することができます。その場合、他の球団が用いている色を用いる(ホークス、イーグルスのTOHOKU BLUEなど)場合と、プロ野球のユニフォームではあまり用いられない色を用いる(カープ、マリーンズ、バファローズなど)場合に分けられそうです。

次に情報量です。非日常性を演出するために、あえて情報量が多めのデザインをしている場合が多そうです。ただ、その場合は、色の派手さや意外性とのバランスが重要になりそうです。例えば、ベイスターズのユニフォームデザインは文字やその装飾などでかなり情報量が多いデザインとなっていますが、色は普段のテーマカラーを用いているため、程よいバランスとなっています。ファイターズのデザインにも同じようなことが言えそうです。逆に、マリーンズのユニフォームはミントグリーンを用いるという点ではかなり奇抜ですが、その使用範囲を抑え、全体としてのレイアウトなどは大きく変えないことで、バランスの取れたいいデザインになっています。

最後に言及しておきたいのはストーリーについてです。近年は商品を売り出す際にストーリーとともに売り出すことで購買意欲を高める、という手法が広まってきているようです。それは今回の事例についても例外ではありません。みんなでそのユニフォームを着て一体感を感じるという体験をデザインするには、その裏にそれ相応のストーリーが必要です。例えば、イーグルスがFAN'S MATCHで配られていたユニフォームに「伊達の勝ち色」を用いていたのは仙台を拠点とした東北の英雄伊達政宗にあやかってのものですし、これはイーグルスの本拠地が仙台であることからして最適なデザインといえます。

以上、長くなりましたが2021年のキャンペーンユニフォームについてまとめてみました!思った以上にデザインっぽい話になってちょっと安心してます笑。ここまで読んでくれた方、ありがとうございました!




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