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【エッセイ】タオルクラゲ

SNSを見ていたら、ふと目にとまった六文字。 タオルクラゲ。 懐かしい響きである。 わたしが漢字が読めて褒められ、台所に立とうとして怒られた頃のこと。週末になると…

へそ天
2週間前
2

【短編小説】 好きかも知れない

『まい、明日引っこすんだって! てんこーするかもしんない!』 ろう下から、聞こえてきたことば。あとから、男子と女子のおどろくこえ。れんらくちょうをかくためにえん…

へそ天
7か月前
2

大切なひとにしかおしえない名前

へそ天
8か月前
3

あの人もおんなじ空を見ているの 青く広く高く届かず

へそ天
8か月前
3

【短編小説】 ミカ

先生にきつく抱き寄せられた。 珈琲やたばこの入りまじったにおいがして、においだけは立派な大人だなぁと思った。 この先生、いじめられてるって相談したとき、だいじょ…

へそ天
8か月前
6

【エッセイ】 あのこ

これは夢の話である。 中学の宿泊学習、での一面。 友達なんていらない死ぬ、なわたしは相も変わらずひとりだった。 宿泊先はホテルの上階。 大きな窓から街が見渡せた…

へそ天
8か月前
2

【詩】 どうせ

どうせにまみれている世界で きみがいったことばが忘れられない  どうせ、いつか死ぬし そうか きみも死ぬのだ いつしか、死ぬのだ 最期の時が来るのだ 昆虫も爬虫類も…

へそ天
10か月前
3

【エッセイ】とけてる

海。 と言えば、父である。 父はどちらかというとインドアな人間で、休日はずっと家でテレビを見ている。 しかし、夏には毎年海に繰り出すのだ。 わたしと弟を連れて。…

へそ天
10か月前
5

【短編小説】 きみが苦いといったので

珈琲なんて 飲むつもりなかったのに きみが苦いといったので 一口飲んだ その日から、珈琲を頼むようになった 季節は流れ 好きな人ができたという彼女と別の道を歩むも 喫…

へそ天
10か月前
5

ひとくちにっき 6/22から6/28(2023)

もういっそのこと、一週間まとめてランキング形式の日記を書くことにしました。 第3位 6/24 ドリンクうま!母が見つけたかわいらしいケーキ屋さんで、おいしいドリンク…

へそ天
10か月前
2

ひとくちにっき 6/23 (2023)

きょうはびっくりするくらいなにもなかった。 朝起きて、ごはんたべて、バイトして、ねた。 これこそひとくちにっき。ひとくちにっきは、ひとこと書いただけでも日記にし…

へそ天
11か月前

ひとくちにっき 6/22 🌴 (2023)

雨が降っていた。 きょうはお出かけをする予定だったが、あいにくの雨。しかし、雨でもどうでも良いと思えるくらい、気持ちが晴れていた。 母は、先日、かかりつけの病院…

へそ天
11か月前
2

ひとくちにっき 『はずかしいとうれしいの巻』 6/21 (2023)

きょうは朝早くに起きて、1限から2限をぶっ通しで受けた。 ところでわたしは六日前から月の者といっしょにいる。 月の者は例月、せいぜい3日間しか滞在しないはずなのに…

へそ天
11か月前
4

ひとくちにっき 『光、帰還の巻』 6/20 (2023)

最近、光が戻った感じがする。 元は、光に見限られていると思っていた。でも本当は、光はともにあったけれど、わたしが遠ざけていただけだったのかもしれない、と思うよう…

へそ天
11か月前

ひとくちにっき 6/19 『映画について考えるの巻』 (2023)

皆さんは映画を見てすぐに、感想を話せるだろうか。わたしはできない。覚えていないのだ。おぼえているのは印象的なセリフ、シーンの2、3個。そして、面白かったか、面白く…

へそ天
11か月前
1

ひとくちにっき 6/18 『記念日の巻』 (2023)

きょうはカレーをたべた!!!! すごく、すごく、おいしかった!!!!!!!!! 月の者がきているので ほんとうは刺激物を避けなければならないが おいしかった!!…

へそ天
11か月前
2
【エッセイ】タオルクラゲ

【エッセイ】タオルクラゲ

SNSを見ていたら、ふと目にとまった六文字。

タオルクラゲ。

懐かしい響きである。

わたしが漢字が読めて褒められ、台所に立とうとして怒られた頃のこと。週末になると必ず、父と二人でお風呂に入るのが恒例だった。

父は当時単身赴任をしていたため、家にいなかった。しかし金曜の夜には必ず、お土産を持って帰ってきてくれていた。そして日曜の夜には赴任先に戻ってしまう。さびしいと泣きわめくわたしを見かねて

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【短編小説】 好きかも知れない

【短編小説】 好きかも知れない

『まい、明日引っこすんだって! てんこーするかもしんない!』

ろう下から、聞こえてきたことば。あとから、男子と女子のおどろくこえ。れんらくちょうをかくためにえんぴつをうごかしながらも、ろう下のほうに耳がむく。

全校生徒に聞いてほしいみたいに、おおきな声だった。

さっきのははるみちだ。

はるみちはあたまがよくてあしがはやくて、とにかくすごい。にんきもの。まいちゃんははるみちがすきだってきいた

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大切なひとにしかおしえない名前

あの人もおんなじ空を見ているの 青く広く高く届かず

【短編小説】 ミカ

【短編小説】 ミカ

先生にきつく抱き寄せられた。

珈琲やたばこの入りまじったにおいがして、においだけは立派な大人だなぁと思った。

この先生、いじめられてるって相談したとき、だいじょぶだいじょぶ! って言ってた。それから幼なじみが容姿のことでからかわれてると相談したときも、気にしない気にしない! って言ってた。

でもこんなふうに全身で後悔するんだ。
死んだら。

死ななきゃ理解してくれないし、行動しなきゃ誰にも見

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【エッセイ】 あのこ

【エッセイ】 あのこ

これは夢の話である。

中学の宿泊学習、での一面。

友達なんていらない死ぬ、なわたしは相も変わらずひとりだった。

宿泊先はホテルの上階。
大きな窓から街が見渡せた。
ここには誰も来ない。
わたしだけの夜。

「隣いい?」

はっとなって固まる。

ゆっくりと声のした方を向くと、名前も顔も知らない、美しいひとが立っていた。

白い肌に短かな髪。血色の良い唇。

「きれいだね」

「う、うん」

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【詩】 どうせ

どうせにまみれている世界で
きみがいったことばが忘れられない

 どうせ、いつか死ぬし

そうか
きみも死ぬのだ
いつしか、死ぬのだ
最期の時が来るのだ

昆虫も爬虫類も哺乳類も、ひとしく終わりを迎える 機械だって同じだ

きみに終わりが似合わなくて困る
ぼくには似合うけれど

しかもふたりで終わりに迎えるとも限らないなんて

ぼくは
なにもかもどうせで諦め
救われてきたはずなのに

きみのどうせ

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【エッセイ】とけてる

【エッセイ】とけてる

海。

と言えば、父である。

父はどちらかというとインドアな人間で、休日はずっと家でテレビを見ている。

しかし、夏には毎年海に繰り出すのだ。

わたしと弟を連れて。

とある夏の朝。
小さな弟、幼いわたし。

朝が苦手な弟はもう目覚めている。
かくゆう、わたしも。

窓の外。
庭に父。

日差しにさされて、首にかけたタオルで汗を拭いながら、タンクに水をため、車の後ろに乗せている。

わたしと弟

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【短編小説】 きみが苦いといったので

珈琲なんて
飲むつもりなかったのに
きみが苦いといったので
一口飲んだ
その日から、珈琲を頼むようになった

季節は流れ
好きな人ができたという彼女と別の道を歩むも
喫茶店の中、すれ違う

きみは苦いといった珈琲を懲りずに啜って
少し顔をしかめて、また啜った

この苦い汁が
ぼくの80%になってしまった
責任を取ってほしいけれど

きみは
後からやってきた人の前で
苦そうに珈琲を啜り
その人はそれ

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ひとくちにっき 6/22から6/28(2023)

もういっそのこと、一週間まとめてランキング形式の日記を書くことにしました。

第3位 6/24 ドリンクうま!母が見つけたかわいらしいケーキ屋さんで、おいしいドリンクが売っており、それを飲んだときの衝撃をここに記す。

甘い……うまい……涙……。

はちゃめちゃにおいしかった。何杯でもいける。

からだは何杯でもいけると叫んでいたが、お財布が号泣しちゃうため、無理だった。

第2位 6/28 光る

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ひとくちにっき 6/23 (2023)

きょうはびっくりするくらいなにもなかった。

朝起きて、ごはんたべて、バイトして、ねた。

これこそひとくちにっき。ひとくちにっきは、ひとこと書いただけでも日記にしちまえという、継続のためならなんでもいいとというスタンスの元はじめたのだから、スタンス通りである。

ごはんをたべました。
おいしかったです。

バイトに行きました。
がんばったです。

ひとくちにっき 6/22 🌴 (2023)

雨が降っていた。

きょうはお出かけをする予定だったが、あいにくの雨。しかし、雨でもどうでも良いと思えるくらい、気持ちが晴れていた。

母は、先日、かかりつけの病院の近所におしゃんてぃなケーキ屋さんを見つけていた。母は美味しいお店を見つける能力がある。

母に連れられて店の中に入ると、いやあもう、おしゃんてぃ。

どこもかしこもおしゃんてぃ。おしゃんてぃがこんにちはと挨拶をしてきて、おしゃんてぃが

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ひとくちにっき 『はずかしいとうれしいの巻』 6/21 (2023)

きょうは朝早くに起きて、1限から2限をぶっ通しで受けた。

ところでわたしは六日前から月の者といっしょにいる。

月の者は例月、せいぜい3日間しか滞在しないはずなのに今回は6日間も一緒にいた。

どゆこと?

気まぐれにもほどがある。

年齢が関係しているのだろうか?

早く帰ってくれないかなと思っていたら、突然帰っていった。突然だった。

いつも突然いなくなる。
寂しくはない。

月の者を見送っ

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ひとくちにっき 『光、帰還の巻』 6/20 (2023)

最近、光が戻った感じがする。

元は、光に見限られていると思っていた。でも本当は、光はともにあったけれど、わたしが遠ざけていただけだったのかもしれない、と思うようになった。

小中高と人になじめず過ごしてきた。

通信制高校に転入学してからすべてががらりと変わった。

大学に通うになってから、ようやく、人とまともに話せるようになった。夢も、できた。

あかるい。
外はこんなにあかるいのだと知った。

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ひとくちにっき 6/19 『映画について考えるの巻』 (2023)

皆さんは映画を見てすぐに、感想を話せるだろうか。わたしはできない。覚えていないのだ。おぼえているのは印象的なセリフ、シーンの2、3個。そして、面白かったか、面白くなかったか。

以前、友人と映画を見に行ったことがあるが、まったく覚えていないため、相手の『ここよかったよね!』という話にうなずくこと、それから芋ずる式に思い出した補足情報を足すことしかできなかった。

自分発信ができない。

ここがよか

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ひとくちにっき 6/18 『記念日の巻』 (2023)

きょうはカレーをたべた!!!!

すごく、すごく、おいしかった!!!!!!!!!

月の者がきているので
ほんとうは刺激物を避けなければならないが

おいしかった!!!

弟のおすすめカレー屋さんに、ひょんなことから家族で行った!!!

チーズナンが泣きそうなくらいおいしかった!!!!!!

ラッシーもおいしかった!!!!!

マンゴーラッシーー!!!!!
おいしかった!!!!

好きだったカレー

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