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皮膚疾患を色で分類する方法

著書「誰も教えてくれなかった皮疹の診かた・考えかた」では紅斑と紫斑に絞って皮疹の診かたを解説しました。

ですが紅斑、紫斑以外の皮疹の診かたも知りたいというご意見をいただいています。
そこで、まず紅斑、紫斑以外の皮疹にどのようなものがあるのか、皮膚疾患の分類をこのnoteで解説したいと思います。

皮膚疾患の分類法

皮膚疾患には様々な分類法があり、代表的なものは原発疹ごとの分類です。
皮膚科診断学の教科書には、はじめに「皮疹を正確な用語で表現する必要がある」と書かれています。
そのための統一された用語が原発疹・続発疹で、紅斑、紫斑、白斑、色素斑、丘疹、結節、嚢腫、水疱、膿疱と皮膚科独自の言葉が並んでいます。

皮膚科診断学では原発疹の用語を用いて皮膚疾患を分類しており、皮膚科医にとって基本となる重要な知識です。
しかし皮膚科医以外にとってはとっつきにくく、これらをすべて覚えて使いこなすことは難しいのではないでしょうか。

そしてどの原発疹なのかがわかってもそれで終わりではありません。丘疹は紅色丘疹、褐色丘疹、黒色丘疹、常色丘疹などに分類されます。さらに紅色丘疹は紅斑性丘疹、漿液性丘疹、充実性丘疹…と細分化され頭が痛くなってしまいます。

そこで皮膚科医以外の医師は、皮膚疾患を原発疹ごとではなく色で分類するのがよいと私は考えています。

色による分類法

まず皮膚疾患を赤、黒/褐色、白、黄、皮膚色(常色)の5つに分類します。
さらに水疱/膿疱を加えた6つのカテゴリーに分類する方法です。
細かい皮疹の形状ではなく、色に着目するので皮膚科医以外にも理解しやすいと思います。

それではそれぞれのカテゴリーの疾患に出会う頻度はどれくらいなのでしょうか。皮膚科学会のデータをもとにして計算してみました(日本皮皮膚科学会雑誌. 119(9): 1795, 2009)。

以下のように出会う頻度が一番高いのは赤い病変で皮膚疾患の約7割を占めています。

黒/褐色、白、黄、常色の4つのカテゴリーは主に腫瘍性病変であり(ほくろや悪性黒色腫、粉瘤など)、皮膚科医以外が診断しなければならないケースは稀と思われます。
というわけで皮膚科医以外の医師が対応する必要があるのは皮膚疾患の7割を占める「赤い病変」と1割を占める「水疱/膿疱」ということになります。

赤い病変と水疱/膿疱

さらに赤い病変を細かく見ていきましょう。
赤い病変は大きく2つに分類されます。
一つは平らな斑。もう一つは盛り上がった丘疹/結節です。

出会う頻度は紅斑/紫斑が85%で、残りの15%が紅色丘疹/結節になります。
まとめると以下の図のようになります。

この中で皮膚疾患の半分以上を占める紅斑/紫斑については著書で詳しく解説しました。
あとは紅色丘疹/結節と水疱/膿疱のカテゴリーを勉強すればいいということになりますね。

これらの診かたについてはいずれ別の機会にお伝えできればと考えています。


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