善と有との実在的同一性について トマス・アクィナス『神学大全』第一部5問1項
トマス・アクィナス『神学大全』の第一部第五問から第六問を読んだ。昨年に第四問までを読んだので、今回はその続きだ。翻訳は山田晶『世界の名著 続5』(中央公論社)所収のものである。
ここでは善について探究されており、第五問の方では善一般について、第六問の方では神の善性について論じられている。本稿ではこれらの探究のなかで最初の問題、第五問第一項「善は実在的に有と異なるか」を取り扱う。なおここでいう「善」とはbonum、「有」とはensの訳語である。
今日は先に議論の要約を示してから