フェイクドキュメンタリーQの気になったところ:Q5

Q5「鏡の家」


「Q5」概要

・動画公開日2021/10/24
男性(タカハシさん)が民家の鍵を開けるところから動画が始まっている。撮影はスマホのカメラ。家の中に入り男性が部屋の電気を点けようとするが、電気が通っていないのか明かりが点かない。スマホのカメラで脱衣所や洗面台の鏡を撮影したあと、リュックを置いて懐中電灯を取り出す。
・その後、テロップで「家中の鏡を撮影してきて欲しい」「その依頼はとても奇怪なものだった――」と表示され、タイトルが出る。動画の2:22)
タイトル明け、映像の撮影をしていたタカハシさんへのスタッフのインタビュー映像が入る。その後、タカハシさんの説明にかぶせて、空き家の映像が入る。
タカハシさんの母親から「知り合いの夫婦の家の状態」を撮影して欲しいという依頼がきっかけだったが、「空き家の鏡を撮って欲しい」という依頼になった?
夫婦は認知症のおばあさんと暮らしていたが、ある時、買い物中におばあさんが失踪した(部屋は内側から鍵がかかっていた、密室のままおばあさんだけ消えた)。
・その後、奥さんが「鏡の中に母(おばあさん)がいる」というようになった。責任感からそう思い込むようになった?。そういう状態から立ち直らせるために引っ越した上で、「鏡の中におばあさんはいない」という証明も含めた依頼だったとタカハシさんは感じている。鏡についてはテロップで「各部屋に奥さんの置いた鏡が点在している」とある。
・その後は家の中で、鏡を撮影するタカハシさんの様子が流れ、おばあさんが使っていた化粧鏡を撮影していたときに物置の扉が勝手に開き、その場を去る様子が映っている。
・その後、インタビューに戻り、テロップで「おばあさんは鏡の中にいなかった」と表示され、その後鏡の中に人影が映るカットが差し込まれ、テロップで「あの家には”知らない家族”が住んでいるという」と表示される。
・「現在 家は取り壊され売り地になっている」とテロップで表示され、タカハシさんが「結局…あの家はもうね?「無くした方が 彼女の為にもいい」って やっと何度か観せて 納得して…貰えた様ですよ」と話している音声で動画は終わっている。


気になった所と考察

映像が撮影された年代

空き家の映像はスマホを使っている。
→およそ2010年代後半からの映像だろうか?
・インタビュー映像は背景でマスクをする通行人が映る。
→動画公開日と合わせて、コロナ流行の2020年以降に撮影されたものだと考える。

空き家について

夫婦と認知症のあばあさんの住んでいた空き家は、タカハシさんの動画内ではまだ人が住んでいた痕跡が残っている。
動画内のインタビューでは、この時点で夫婦は別の場所に引っ越している事がわかる。
→歯磨き粉などの生活用品もほぼそのまま置かれているが、おばあさんが行方不明になってから、荷物なども整理せずに引っ越したように思える。
また、ビデオデッキのある部屋にビデオテープのケースとフラワーアレンジメントのかご、未開封のコカ・コーラが置かれている。
(動画の3:49)
もともとどういう部屋だったのだろうか?お供物のような印象を感じる。

家には電気が通っておらず、窓には鍵がかけられており、雨戸も閉まっている。家の中には、奥さんの設置した鏡が各部屋にある。
→奥さんが鏡の中におばあさんがいるのを確認しようと設置したのだろうか?。動画の最後に押入れの扉が開き、おばあさんが愛用している化粧鏡と押し入れの中の鏡で合わせ鏡となっている場面がある。(動画の7:16)
鏡合わせになるようにしたかったのだろうか?押し入れの中に鏡を置くことは不自然に感じる。

インタビュー時には、空き家は取り壊されているということが判明している。タカハシさん「結局…あの家はもうね?「無くした方が 彼女の為にもいい」って やっと何度か観せて 納得して…貰えた様ですよ」
インタビューの最後のタカハシさんの言葉は、おそらくタカハシさんの母親が、知り合いの夫婦にこの映像を見せたとき、旦那さんに奥さんのためにも家を取り壊したほうが良いということを助言した際の言葉だと読み取る。
だとしたらなぜ、この映像を見せて「家を取り壊したほうがいい」という言葉が出てきたのか?

知らない家族が住んでいる

タカハシさんの映像内には、認知症のおばあさんではない人影が、鏡越しに映り込んでいる。それは男性のような姿のものと、セーラー服を着たような女性のような姿である。
テロップにて「あの家には”知らない家族”が住んでいるという」と表示されるが、これはインタビュー映像では使われなかったが、タカハシさんの言葉だと考える。また、正体不明の影が映像内で映ったことが、家を取り壊した理由でもあると考える。

タカハシさんの動画の違和感

タカハシさんの撮影した動画は左右が反転された状態で流されていることが動画内の鏡に写った文字などから分かる。(動画の1:29)
→動画が左右反転されていることについては一切触れられておらず、タカハシさんが左右を反転させたのか、フェイクドキュメンタリーQ側で反転させたのかは不明となっている。なぜ、動画を反転させたのかということについても真相は不明となっている。

家族構成

夫婦と奥さんの母(おばあさん)とあるが、おじいさんは既に亡くなっているのだろうか?また、夫婦の間に子供はいるのだろうか?
→動画に映る2つのダンボールには文字が反転しているが「かき氷用カップ」「コップ・スプーン」「ハツの画用紙」「ゴミ袋」「つりざお」「ヨーヨー(判別不能)」の文字がある。
(動画の5:40) また、「つりざお」「ヨーヨー(判別不能)」には線が引かれているようにみえる。
「かき氷用カップ」があるため、大きくなって家を出ているのか、亡くなっているのかは不明だが、子供がいたような形跡だと思える。
「ハツの画用紙」の「ハツ」はおばあさんの名前だろうか?

Q2「深夜の留守番電話」との共通点

・留守番電話の「鏡のなかにいるんです 鏡とってたとき 私と目が合ったでしょ」というメッセージは、鏡というアイテムで共通している。
・送られてきたテープの箱の緩衝材として介護施設のチラシが使われており、認知症のおばあさんとの関連性がある。
→年代はズレているのではっきりと関係しているとは言い難いが、行方不明になったおばあさんが「鏡の中にいる」と言った奥さんの言葉が、ひょっとしたら真実なのかもしれないと感じてしまう。

まとめ

空き家の中の鏡を撮影する動画と、撮影者のインタビュー映像で構成された映像となっている。空き家の鏡を撮影するシチュエーションとその背景、鏡に写った人影がおばあさんとは関係ないこと、取り壊された空き家など、それぞれの要素が微妙に噛み合っておらず、不穏な空気が出ている。動画が左右反転されていることに一切言及が無いことも、不気味さを感じる作りになっており、演出が光る一本と感じた。