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東三河のガタピシ電車と、これから乗る全ての列車がウチへの「最終列車」

浜松から
普通|豊橋
クハ312-2322
仕事が早めに上がったので、小走りで浜松駅へ。土産やら駅弁を勝手にホームに上がったら、ちょうど滑り込んで来た。313系の3連。

帰りの第一投は、お馴染み313系

昨日のことがあるから、クロスシートの中で駅弁食うか…と思ってたら、今回はロングシート。世の中うまくいかないものだ。
それよりも気になってた事があったので、シートに座るや否や携帯で検索。よし、成れりと確信を得た時にはすでに列車は浜松を出てて、高塚に滑り込んでた。

何も無いのが、却って暑さを助長しているかのよう

しかし、今日は昨日とうって変わって天気が良すぎる。弁天島のホームを見ていると、なんだか鉄板の上に駅名板が立ってるような錯覚に陥る。
新所原を出て前面展望を…と思って運転席をふと見たら、運転士の運行時刻表がiPadみたいなタブレット端末になっていた。少し前に行った東京でJR東日本の携帯時刻表がタブレットになっているのは確認済だが、東海管内でも紙から切り替わっていた。地元は…まだ紙だったような気がする…

折り返し浜松行きに

定刻の13時59分、豊橋着。

新豊橋から
普通|三河田原
1810
豊橋鉄道には初乗車。その始発駅はJR駅からはすぐで、豊橋ではなく「新豊橋」を名乗っている。

初豊鉄。東急と上田交通からの電車。

3両編成で、もともとは2両だったのか僕の座ったすぐ横には運転台があった。そしてワンマンかと思いきや、車掌が乗務していた。発車まで15分。

真っ当な幕の内弁当
「納得」の二文字に溢れる自信作

この間に浜松で買った駅弁で、遅めのお昼とする。
「納得の幕の内弁当」…なるほど、卵焼き・煮物・焼き魚で確かに「王道」の組み合わせだ。箸を置いたくらいで発車。

2人乗務かと思いきや、1人は新人車掌

「次は〜です!」
車掌の結構はっきりした声が車内に響く。見ると2人で車内を巡回しながら駅名を連呼している。今どきJRでも見なくなった光景だが、どうやら新人車掌のOJTの一環でやってるようで、未来の鉄道マンの育成現場に立ち会ったような気分だ。

テラスのような愛知大学前駅

単線でガタピシ鳴りながら走るサマは、何となく想像通りで駅も素朴な感じだったが、途中の愛知大学前駅は洒落た感じのホームで意外だった。

松林が美しい高師公園

唐突に松林が出てきたのでしばし見とれていると、高師着。高師緑地という公園だった。そして同線の車庫最寄りでもある。次の芦原で新豊橋行きと交換。

梅田川を渡ると緑が増える

それまでの市街地を抜け、田畑が目立ちはじめ植田着。手を伸ばせば木々に触れそうなくらいに、自然たっぷりな車窓が続く。
大清水の構内に時刻表があったので眺めていると毎時4本…そういえば新豊橋からここまで2本の列車とすれ違っており、地方部の私鉄としてはなかなか健闘している方だろう。
田畑が車窓、ではあるが潅木もチラホラ見えて何となくというか南国的な風情を感じる。

後ろの「乗車券発売所」の看板が渋い…

杉山。国鉄やJRの無人駅の前で「乗車券販売」の看板を掲げているのはよく見かけたが、私鉄では初めてだ。

緑の小径…

林の中の小道のような線路を、三両の電車がガタピシ踏み鳴らしながら進む・・・アニメのいちシーンのような光景だ。
終点からひとつ手前の神戸(かんべ)で最後の列車交換。

終点・三河田原着

終点の三河田原は2面4線の立派な駅だった。

三河田原からは豊鉄バスと伊勢湾フェリーを乗り継ぎ、三重県の鳥羽に着いたのは17時半を回ったあたり。

さあ、まだ陽のある18時。世間はそろそろ帰宅へ動こうとする時間帯だ。僕も浜松からずっと帰宅ルートを進んでいるのだが、皆と違うのはこれから乗る列車が、全て自宅への「最終列車」ばかりであるという点・・・

鳥羽から
普通|亀山
キハ25-1109
伊勢湾岸フェリーを降りて、水族館前から鳥羽市コミュニティバスで鳥羽バスセンターへ。駅と直結なのが有り難い。

ラッシュだというのに、この静けさ…

鳥羽駅はこんな感じで、ラッシュ時にも関わらず閑散としており、ホントに列車が来るのか?と思わず唸ってしまう。
この先、乗り継ぐ列車がすべて自宅への「最終」となるため、食糧確保が困難になると予想し近鉄側の売店でパンやおにぎりを確保。

313系?いいえ、キハ25です

で、駅へ戻るとすでに亀山行きは入線していた。キハ25の2連…313系顔だがブルブル震えているので、気動車であることを再認識。発車10分前になっても客は2人…

入江に沈む夕陽を見ながら…

18時22分、定刻に発車。
入江に輝く夕日にしばし見とれ、廃駅になった池の浦シーサイドを通過。

二見浦で快速「みえ」と交換

33分、二見浦着。ようやく退勤列車っぽくなった。直線区間をかっ飛ばして五十鈴ヶ丘。学生が大挙して乗ってきた。地図を調べると宇治山田商業高校…近鉄線は遠く、彼ら彼女らにとっては参宮線が唯一の通学手段ということか。

伊勢市着。ラッシュは落ち着くと思いきや…

42分、伊勢市着。ここで7分停車。先程の高校生は大半が下車したが、またここからも違う制服の高校生が乗ってきた。鳥羽のひっそり閑が嘘のように賑やかな車内だ。
山田上口から宮川までの間も学生の乗降は激しく、田丸で大半が下車するまでは、まさしく車内はスクールバス状態。本当に一般客が少ない…

ここでようやく落ち着く

19時12分、多気着。再び学生がごっそり降りてロングシートにも空席がチラホラ見え始めた。
櫛田川を渡り紀勢線に入る。といっても、多気〜亀山間は歴史的経緯から紀勢線という感覚はほとんどなく、参宮線の延長のような雰囲気だ。紀勢線らしさは紀伊長島より西側まで行かないと感じられないだろう。

松阪着。精算の行列が印象的

24分、松阪着。ようやく夕焼けも落ち着いてきたが、まだまだ空は明るい。さすが6月だ。
ここで学生もあらかた降りて車内はややひっそりと…駅の改札口が「渋滞」していたが、無人駅からの精算する客が集中している模様。国鉄時代みたいに「精算窓口」が必要なのでは、とふと思ったり。

高茶屋で対向列車の待ち合わせ…

高茶屋でも学生が乗り込んできて、津近郊に入ったんだなと推測。ただ高校生ばかりではなく大学生風の客も混じり始めたのが面白いところ。
思えば、JRでひと駅だけ通学って聞くと何か贅沢に感じるけど地方部のJRでひと駅は、都市部の私鉄で2〜3駅くらいの距離にあたるから、通学距離としては都市部とそれほど差はないのかもしれないなと。

津て小休止

48分、津着。客が入れ替わってほぼ同数のままで推移。さすがに県庁所在地は利用も手堅いようだ。少し長めに停まるな…と思ったら特急「南紀」との接続をとる意味もあったのか。乗り換え客はいなかったが…
一身田、下庄とほぼ動きはなく、終点・亀山着。車内の埋まり具合で、田丸あたりの「熱量」のまま終点まで来れた、というのは紀勢線が参宮線の延伸である、ということの証左のようで興味深い。

亀山から
普通│加茂
キハ120-7

ダッシュで関西線へ

亀山での乗り換えが際どかったが、何とか成功。しかしキハで1両というのもあって、車内はラッシュ状態。

良さげなデザインですが…

「お茶の京都」をアピールする暖簾が吊り広告のスペースに掛かっているが、見る人は皆無…
最初の停車駅・関で学生が下車し、やや空く。津あたりからの乗った学生もいるようで、二社間跨ぎの通学が一定数居る模様。
加太越、中在家信号場跡も闇の中…

1両はキツかったです

20時43分、柘植着。蒸し蒸しした車内の後なので、夜風が心地よい…

柘植から
普通|草津
モハ221-77

221系で草津線へ

柘植駅のホームにいた客全てを飲み込んでも、まだ余裕あるクロスシートは有り難い。
シートの一角に陣取り、ここで鳥羽て買った夕食を摂る。

信楽高原鐵道の列車が待つ貴生川

食事が終わったのは貴生川到着時。ここまでに少しづつ乗ってきたので席はそれなりに埋まっているものの、それでも立ち客はほとんどなく快適そのもの。やはり先程の1両編成が精神的に堪えたか…

ゼッケン駅名板…なかなか良い

石部。
車内はそれなりに混んできたが、まだまだ…駅改良工場で駅名板がまさかのゼッケン方式に…対向待ち合わせてでたかだか数分ほどの停車だけど、たまにホームに出て深呼吸するといい気分転換になる。
56分、草津着。

終点・草津着。電車はこのあと回送で車庫へ。

草津から
新快速|姫路
クハ222-2005

困ったときの新快速

これも自宅への「最終列車」かと思うと感慨深い。
発車後まもなく内側線へ。この転線は今もって理由がわからないが、きっと運行上では大事な意味があるのだろう。
なお、座ると寝てしまいそうなので、敢えて前面展望を見て気を紛らわせる。

山科は割と人少なめ

南草津、石山、大津、山科と停まり、それなりに乗ってはくるが昼間のようなドサッと乗ってきたりすることはなく、静かな車内だ。

京都は時間帯関係なく一杯だった

22時27分、湖西線の221系とランデブーしながら京都着。やっぱり京都はたくさん乗ってくるなぁ…

駅の柵がまるで線みたいだ

京都を出ると「本領発揮」。外側線に転線しみるみるうちに100キロ越え…駅の電気は線のように続き、信号は後方へ矢のように吹っ飛んでいく…昼間もこういう感じで走るが、夜の方が迫力ある。
山崎の緩いカーブで少しスピードを落とした以外は「全力疾走」。この前面展望という大スペクタクルは見逃せない。

先行の緩行線電車をあっという間に…

高槻を出て、少し前に出た各駅停車をJR総持寺で追い抜く。こういう「芸当」が見れるというのも、複々線の強みだ。

新大阪。1日の終わりはまだ先…

52分、新大阪着。ラッシュほどではないが、ホームにはまだまだ人が多い。
56分、大阪着。運転士、車掌ともに交替。ここからの乗車は、やはり多い。

淀川橋梁。幾何学的な模様で美しい…

淀川のトラス橋の支柱がまるで幾何学的な模様に見えて…む、いかんな。疲れてきているかも。

尼崎から
快速|新三田
クハ222-6118

ラストランナーは223系

いよいよ最後のランナー。大阪始発でここまではガラガラだったようだが、ここ尼崎で一気に席が埋まった。
伊丹で数人降りるも、車内に変化なし。
週末の退勤の列車らしく、押し黙った客の表情には明日休みという安堵感が浮き出ているような気がする。

自宅への「終電」乗り継ぎは無事、大団円を迎えた

23時19分、川西池田着。駅前のバス停へ急ぐ・・・

よし!「終バス」に間に合った!
浜松から乗った列車内で、携帯を検索して組んでいたプランが無事「成った」瞬間である。

この「終バス」に間に合うのが、今回の旅の裏テーマ(笑)

こういう「縛りのある乗り継ぎ旅」というのも、昨今鉄道趣味界隈で流行ってる「限界旅」って言えませんかね?

【完乗】豊橋鉄道渥美線
    JR東海 参宮線
    JR西日本 草津線

東海道本線 浜松~豊橋 36.5km
渥美線 新豊橋~三河田原 18.0km
参宮線 鳥羽~多気 29.1km
紀勢線 多気~亀山 42.5km
関西本線 亀山~柘植 20.0km
草津線 柘植~草津 36.7km
東海道本線 草津~尼崎 72.7km
福知山線 尼崎~川西池田 11.0km

小計 266.5km


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