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あなたへの手紙 #誰かにささげる物語

酷暑の候、ソフトクリームのように溶けてしまいそうな日中、でも突然の驟雨に降られたり、気まぐれで移り気な天候に腹立たしくもちょっと楽しくなったりもしています。

そちらのお天気は今日はどうですか?
あなたはお元気でしょうか?
仕事はお忙しいですか?
プライベートに変わったことはありませんか?
食事は召し上がれてますか?
夜は眠れてますか?

先日あなたの心細げな不安を感じている呟きを拝見しました。気持ちが痛いほど伝わってきました。

私もここ数年感じていることがあります。
華やかな舞台の終演時間が告げられ、幕が降り始めたような風景。すくった砂が手からこぼれ落ちるような感覚で、築いてきたものなんて僅かなのに多くのものを失っていくような気がして、積み重なっていく喪失感と焦燥感そして微量の絶望感。輝いて見えていた周りの世界が色褪せ、欲しいものや会いたい人が浮かばなくなり、気持ちがときめかなくなりました。不具合を調整しても結局は違う故障の出る身体。心と身体と脳は連動しているので、気持ちが前向かず、頭痛に悩まされ、なぜかおもだるい心を持ったまま思考も凝り固まって、それを繰り返して続いていく日々。

もしかしてそれは多分結果を出して評価されて誰かの役に立っているという実感が感じられなくなったからかもしれません。役目を終えたような気持ちかもしれません。
全ての人に当てはまるわけではないと思いますが、結婚して子供に恵まれ、懸命に子育てして、家族がチームになっていったあの時代。仕事にも携わり、それなりのポジションで人と関わりあって人間関係を構築しながら責任も増えていったあの頃。やっと子供が自立し、子離れを決意した矢先、仕事のゴールが見え始め、使い古した身体と古びた住まいを抱えて親の介護が始まりました。
年齢を重ねるという現実は容赦なくダメージを与えてきて、出来ないことが増えていき、自分の身体に不調が訪れます。

けれどもそんな時にTwitterやnoteでそしてたくさんの人に出会いました。もちろんあなたにも。
日々の呟きや美しい花や空や風景の写真がタイムラインに流れていきます。優しい健気な言葉や時にはユーモア、そして真摯な文章やワクワクする小説に気持ちが解れていきました。下降しかなかった心向きがフラットに心地好い時間が増えていきました。みんな誰かに寄り添い、想いを重ね、静観し、時には熱く語りかけてくれます。私はその向こうに見える願いや祈りに救われました。

出会いと別れを繰り返しながら、様々なアクシデントも乗り越えながら本当に私たちよくやってきましたね。
でもまだもしかしたら私にも出来ることはあるのかもしれません。人生の残り時間を逆算して積み重ねた経験という辞書が誰かの悩み事や困り事のほんの少し役に立つよう差し出せればこんな嬉しいことはありません。もちろんあなたにもまだまだ出来ることはたくさんあるはずです。
小さな綻びが大きなダメージに繋がるお年頃です。メンテナンスは小まめに贅沢に。ご褒美はたっぷり、休みはゆっくり。自然を愛でて、音楽聴いて、楽器を奏でて、本を読んで、好きなもの食べて、美味しいお酒を飲みましょう。おしゃれして街に出かけましょう。たくさんおしゃべりしましょう。猫がそばに居れば最強です。犬も最高。
ご機嫌スパイスを自分から振り撒いていきましょうね。

少し先行く私からの言葉が道を照らす光になれば幸いです。またお手紙書きます。


誰かにささげるように、あなたに届くように、自分に宛てるように書きました。ありがとうございました。

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