見出し画像

第115回歯科医師国家試験の現実

これは都内の私立大学歯学部に現役で進学し、修学年限(6年)で卒業し、新卒で国家試験に合格した個人の経験に基づく回想である。
※最新の情報(入試情報など)は自身で調べていただくことを勧める。

第115回歯科医師国家試験の合格発表について

2022年1月29、30日に実施された第115回歯科医師国家試験の合格発表が3月16日14時にあった。

今年の出願者・受験者・合格者と合格率は以下の表の通りである。

画像1

合格者数は全体で2000人を割り込み、第110回以降、平成30年度版歯科医師国家試験出題基準になって初めての数字となった。
また合格率(合格者数÷受験者数)も過去10年で最低の割合となり、本格的に歯科医師の数を減らしに来ていると感じた。
以下の表は過去10年(第106回から第114回まで)の出願者・受験者・合格者と合格率をまとめたものである。

画像2

〈操作前の合格率について〉
操作前の合格率は出願者を分母として取り扱っている。
歯科医師国家試験の出願は11月に行われるため、その時点では各大学の卒業者はまだすべて決まっているわけではない。
最終的に受験票をもらうことができる者は、歯科医師国家試験の受験直前に確定するので、出願者と受験者には乖離が生じる。
各大学の新卒の 出願者 - 受験者 は多くの場合は【6年次留年】ということである。

さらにこの表から、第115回歯科医師国家試験まで使用されていた「平成30年度版歯科医師国家試験出題基準」の採用された試験のみを抽出してグラフを作成した。

画像3

直近5回分のグラフからも読み取れるように、第115回歯科医師国家試験は合格者数・合格率ともに最低値となった。

出題基準の改訂前後は難易度が大きく変わるか

歯学部生ならば一度は耳にしたことがある「出題基準が変わる年は簡単なる」という迷信だが、第115回歯科医師国家試験はこれまでの歯科医師国家試験とは条件がことなる。
本来であれば第115回歯科医師国家試験は出題基準の改訂が行われ、採用される年であった。(第111回から平成30年度版歯科医師国家試験出題基準が採用されているため)

歯科医師国家試験出題基準改定の経緯
歯科医師国家試験出題基準は、昭和60年に策定されて以来、歯科医療・歯学教育の変化に合わせて4年毎に改定し、内容の見直しを継続的に行っている。
(歯科医師国家試験出題基準より抜粋)

しかし、コロナウイルス感染症などの影響により第115回においても平成30年度版が採用されることとなった。
これによって難易度はどちらにも転ぶ可能性が出てきてしまい、結果的に第115回歯科医師国家試験は過去10年の歯科医師国家試験で最も低い合格率となった。(直近5回分のグラフからも読み取れるように、第115回歯科医師国家試験は合格者数・合格率ともに最低値となった。)
第116回歯科医師国家試験からは新出題基準となるため、今後もデータを集めてこの迷信については分析して行きたい。

実際に問題を解いてみて

私は今回の第115回歯科医師国家試験を初受験で合格したので、実際に1月29、30日に会場で問題を解いた。
直近5回分すなわち平成30年度版歯科医師国家試験出題基準が採用されている試験における新卒者の合格者数と合格率をグラフに示した。

画像4

巷では昨年度に実施された第114回歯科医師国家試験は難易度が高く、大変難しい試験だったと言われているが、このグラフからは直近5回で一番合格者・合格率ともに最高値が出ている。確かに第114回歯科医師国家試験の設問はブラッシュアップされていない荒削りな問題が多く感じた。コロナウイルス感染症が猛威を振るった年でもあり、「大学で勉強をすることができなかった」という声も耳にするが、それは全国の学生が同じような境遇であったため、置かれた環境で最大限努力をするしかない。

昨年度に続き、コロナウイルス感染症が猛威を振るう中で私を含めた第115回歯科医師国家試験の受験者は思うような実習や大学の講義を受けることができなかったと思う。6年生進級から受験までの約10か月、歯科医師国家試験の対策をしていくなかで、国家試験の対策は「自分でいかに過去問を研究して知識を固めるか」それに尽きると感じた。

上グラフから第115回歯科医師国家試験の合格率は直近5回で最低値であることを考えると、難易度は比較的難しかったと言えるのかもしれないが、実際に問題を解いて「第114回と比較して解きやすい問題が多く、臨床系(現場思考型)に重点がおかれている」と思った。
第116回歯科医師国家試験では現在の出題基準に加え、

歯科医師として必要な和漢薬を服用する高齢者や全身疾患を持つ者等への対応に関する内容
医療のグローバル化に伴い歯科医師による国際貢献がこれまで以上に求められている現状を踏まえた国際保健に関する内容
(歯科医師国家試験制度改善検討部会報告書についてより抜粋)

が出題されるようだ。
現在の出題基準を踏襲しつつ、さらに拡充を図るわけなので、来年度以降の受験生は過去問から得られる様々な情報を噛み砕いて、応用力をつけて受験にのぞんでほしい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?